杜の都に暗雲が立ち込めてきた。

 激しい首位攻防の中でも勝負強い戦いを見せて着実に貯金を増やしてきた楽天だったが、後半戦に入って故障者が続出。7月27日から29日にかけて今季3度目の3連敗を喫するなど、勝負の8月を前に大きな試練の時がやって来た。

 事の始まりは、開幕から計4本の先頭打者弾を放って強力打線の切り込み隊長として存在感を見せてきた茂木栄五郎の離脱。その穴は島内宏明がうまく埋めて一応は取り繕うことができたが、オールスター後の1週間の間に藤田一也が腰痛(7月19日抹消)、ペゲーロが左太もも裏の筋肉損傷(7月24日抹消)、岡島豪郎が左肩関節唇損傷(7月24日抹消)と主力が次々と離脱した。

 さらに7月27日には、今季ここまで43試合に登板して防御率0.20で29セーブを挙げていた絶対的守護神・松井裕樹が左肩痛で登録抹消となり、復帰まで4週間と診断されると、同日の試合では今江年晶が守備中に走者と交錯し、左尺骨骨幹部骨折で今季中の復帰は絶望的となった。

 この窮地に巨人でくすぶっていたクルーズを緊急補強して二遊間は強化したが、最大の懸念は約1カ月の間、43試合で自責点1のみだった守護神を欠くことになるリリーフ陣だろう。今季41試合で防御率0.74の福山博之が代役守護神を務めることになる予定だが、これまでとは異なる場面でのマウンドで感じる重圧、そして疲労は大きくなる。

 来日1年目のハーマンの働きも大きな鍵を握る。そして森原康平、菅原秀、高梨雄平のルーキートリオが、夏場の連戦の中でどこまでコンディションを維持できるか。プロ1年目でフルシーズンを戦った経験がないだけに非常に心配だ。そして彼らが奮闘しても、駒不足が否めないのが実情だ。

 あとは、ソフトバンクとのデッドヒートの中で、チームの強みである先発陣がいかに踏ん張れるか。今季の先発防御率3.31はリーグナンバー1(ソフトバンクは先発防御率3.64)を誇る(7月30日終了時点)。則本昂大、岸孝之、美馬学、辛島航、釜田佳直に加えて、6連戦が続く8月は「6人目」が必要不可欠となるだけに、塩見貴洋、古川侑利、安樂智大、森雄大、さらには高卒ルーキーの藤平尚真らの候補者が、“救世主”として名乗りを上げる必要がある。

 先発が崩れれば当然リリーフ陣に負担がかかり、疲労が蓄積すればさらに打ち込まれるという悪循環に陥る。先発陣の働きはより一層、重要になるだろう。
今季最大と言える正念場。本拠地がドーム球場ではない楽天にとっては、蒸し暑さとの戦いにもなる。

 実りの秋を迎えるためには、けが人続出、守護神不在で迎えた「試練の夏」を、這いつくばってでも乗り越えなければならない。