29日から始まったプロ野球交流戦。西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、がパ・リーグの上位2球団が不調である今が、他球団にとってはチャンスになると解説する。



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 プロ野球の交流戦は2005年から始まって今年で14年目。セ・リーグが勝ち越したのは09年の1度だけ。今年も力としてはパ・リーグが上にいるのは間違いないだろう。

 理由については、ここ数年何度も議論されているから必要はないと思う。パは、投手は「かわすだけではだめ」、野手は「うまいだけではだめ」ということがわかっている。体の芯から来る強さがある。セはうまさや小技など“オールラウンダー”が結果を残してきた。その野球の差がDH制の有無なども重なり、大きな差になったわけだが、そこを嘆いても仕方がない。セ各球団がどうやって対抗していくのかを今年は楽しみにしている。

 パは上位にいる昨年王者のソフトバンク、そして西武にちょっと元気がない。ソフトバンクは柳田が素晴らしい活躍を見せているが、デスパイネも含めて少し低調気味である。投手陣も守護神のサファテがおらず、試合終盤に絶対的な安心感はない。西武も開幕直後から爆発的な得点を挙げてきたが、5月中旬以降は一気に下降した。どこかで上がってくると思うが、上位2球団に元気がない分、日本ハムやオリックス、ロッテあたりが一気に星を伸ばすチャンスといえるかもしれない。

 この期間は同一リーグとの対戦がなくなるため、リーグ内のつぶし合いもなく、勢力図が変わりやすい。直接対決がないため、連勝、連敗で大きな差がついてしまうから1試合を大事に積み重ねていかねばならない。

 セは1点をどうやって取るか、1点をどうやって守るかを考え、取れる試合で確実に勝つことだ。昨年同様、「セで通用したのは広島だけ」となれば、交流戦が終わるころには早くも独走態勢に入ってしまう。今や映像やデータを多角的に分析できる時代となった。球団としての総合力で「パ・リーグ上位」の図式を崩してほしいと思う。

 今は、日大のアメリカンフットボール問題が連日メディアを騒がしており、社会現象ともなっている。私も「ケンカ投法」などと呼ばれ、死球数の日本記録を持っているが、「当ててやる」と思って顔面めがけてめいっぱい速球を投げたことなどない。野球はコンタクトスポーツではないし、投手と打者には18.44メートルの一定の距離がある。だから、同じスポーツでも、今回の一連の騒動を語ることは難しいし、完全に理解することは難しい。「言った」「言わない」の部分は、なおさらである。

 ただ、一つ言えることは、ルールを無視すれば、それはスポーツではなくなるということ。そして、指導者と選手という立場において、会社で言えば上司と部下という関係において、受け取る相手(選手や部下)がどう感じるかが大事である。経験豊富な指導する立場の人間が部下をどう導くのかが「指導力」である。仮に間違った形で伝わっているのなら、すぐに正す必要があるし、それがルールを逸脱するものであるのなら、即座に過ちを指摘しなければならない。ルール順守が第一であることは、スポーツも、社会も同じであろう。

 野球界、広く言えばスポーツ界に身を置く人間として、その点だけは肝に銘じなければと思う。

※週刊朝日 2018年6月8日号