バンクーバー五輪(2010年)のフィギュアスケートで入賞した織田信成氏(32)が、母校の関西大学のアイススケート部監督を退任したことについて大学側が伝えた「多忙のため」という辞任理由を9月29日、自らのブログで否定、「リンク内で嫌がらせやモラハラ行為があったため今春から体調を崩し、リンクに行くことができなかったため」などと公表した。

 ブログによると、織田氏は7月に大学側と話し合ったが、大学が調査結果を伝えてこないことを不誠実に感じ、辞任を決めたという。大学は9月9日に「織田氏が監督としての時間が十分に取れないと申し出た」として辞任を報道発表していた。織田氏は「事実とは違う内容が関大側から発表され、精神的に耐えられず、自分で説明することとなりました」とした。

 関大のHPの説明では「織田氏から指導方法などに関する強い要望があった。複数の関係者に聞き取りをして織田氏の体調などを考え、検討していた中、辞任の申し出があった」とする。取材に対し広報課は「取材してきたマスコミさんが『忙しいんでしょうね』と言ってきて、そんなやり取りをしていたら『多忙を理由に』と報道された。発表文書では『多忙』とは書いていない」と説明、「要望の内容については言えない」とした。

 一方、織田氏の所属事務所は「指導方法をめぐってではなく、織田氏が学校の方針を踏まえて変えようとしたらあるコーチと衝突してその人から嫌がらせなどを受けていた。織田氏は十分に学生指導の時間はとっていた」と反論する。

 織田氏は選手たちがもっと学業を大切にすることを提案していたという。

 アイススケート部はフィギュアとスピードの両競技で活動、織田氏が監督、正式委託のコーチが男女一人ずついるほか、外部コーチが複数いる。織田氏と衝突したコーチとして、宮原知子、紀平梨花らの指導で国際的に高い評価を受ける濱田美栄コーチの名前が報じられた。織田氏の退任は「関大スケート部の女帝」とも報じられた濱田コーチとの確執が引き金になったのか。

 関大の芝井敬司学長は4日、「事態を適切に収拾できなかったことを深く反省しています」とHPでコメントを出した。ここは、織田氏の美しいジャンプと同様、しなやかな着地による決着を期待したい。(粟野仁雄)

※週刊朝日  2019年10月18日号