多くのスター選手が毎年のように誕生するプロ野球界。しかし中には完全な主力、レギュラーではないが、チームに欠かせない選手も存在している。そこで今回はそんなベンチにいると助かる選手をベストナイン形式で選んでみた。前回のパ・リーグ編に続いてセ・リーグ編をお届けする。



 選出基準は下記3点とした。

・プロ在籍10年以上(2020年シーズン含む)
・投手は規定投球回、野手は規定打席の到達経験なし
・ベストナイン、ゴールデングラブ賞含むタイトル獲得経験なし

■セ・リーグ
・投手:谷元圭介(中日)
415試合 26勝21敗6セーブ121ホールド 防御率3.65

・捕手:原口文仁(阪神)
305試合 196安打20本塁打101打点1盗塁 打率.279

・一塁: 荒木貴裕(ヤクルト)
474試合 215安打17本塁打104打点14盗塁 打率.238

・二塁:立岡宗一郎(巨人)
320試合 218安打2本塁打46打点37盗塁 打率.252

・三塁:中井大介(DeNA)
424試合 201安打14本塁打61打点10盗塁 打率.245

・遊撃:小窪哲也(広島)
702試合 384安打18本塁打153打点7盗塁 打率.259

・外野:藤井淳志(中日)
1093試合 634安打45本塁打273打点46盗塁 打率.262

・外野:上田剛史(ヤクルト)
744試合 338安打9本塁打107打点70盗塁 打率.240

・外野:俊介(阪神)
840試合 309安打9本塁打86打点28盗塁 打率.250

 長く中継ぎとしてプレーしてきた選手では今村猛(広島・21勝36セーブ114ホールド)も基準に該当したが、わずかにホールドポイント数で上回る谷元を選んだ。167cmと小柄だったこともあって入団テストを受けて、その後ドラフト7位で日本ハム入りし、3年目からは一軍に定着。一時は先発を任されたこともあったが、2014年からは中継ぎの柱として活躍した。2017年途中に中日に移籍してからは成績を落としたが、昨年は38試合に登板して13ホールドと少し持ち直している。今年も中継ぎの一角として期待される。

 捕手の原口は故障で2013年から3年間は育成選手としてプレーしたが、2016年4月に支配下選手として復帰を果たすと、その打棒が爆発し5月には月間MVPを受賞。最終的にも95安打、11本塁打、46打点と見事な成績を残した。昨年のキャンプイン直前に大腸がんが発覚したが、驚異の回復を見せて5月には実戦復帰を果たすと、「プラスワン投票」で自身2度目となるオールスター出場を果たして2本のホームランを放った。梅野隆太郎の台頭で捕手としての出場は減ったが、勝負強い打撃で代打の切り札としてファンからも絶大な支持を集めている。

 勝負強い打撃ではファーストで選出した荒木も光るものがある。近畿大時代は大型ショートとして注目を集めたが、プロでは年々打力が向上。ここ数年はファースト、外野のバックアップとして一軍に定着し、昨年は代打で3割近い打率を残した。今年も勝負所での起用が多くなりそうだ。

 立岡は外野手登録だが、元々は内野手でどこでも守れる器用さからセカンドで選出した。高校入学当時から高い野球センスが評判で、2008年のドラフト2位でプロ入り。ソフトバンク時代は一軍出場わずか1試合だったが、2012年シーズン途中、トレードで巨人に移籍し、左肘の故障から左打ちに転向してその才能が開花。2015年にはセンターに定着して103安打を放った。その後は徐々に成績を落としているが、高い運動能力を生かしたスピード溢れる攻守は健在だ。

 サードの中井も高校時代、投打に注目を集めて2007年の高校生ドラフト3巡目で巨人に入団。10年目の2017年には開幕スタメンを勝ち取り、キャリアハイとなる57安打を放ったが、翌年大きく成績を落として戦力外となり、昨年からはDeNAに移籍した。セカンドでの出場が多いが、ファースト、サード、外野もこなす器用さがある。移籍一年目の昨年も内野のバックアップ要員として役割を果たした。

 小窪はプロでの成功者が多いPL学園のショート出身。青山学院大でも4年春には首位打者を獲得している。プロでも一年目から一軍に定着し、いきなり74安打を放つ活躍を見せた。その後は堂林翔太、菊池涼介、田中広輔などの台頭もあってレギュラーを掴むまでは至らなかったが、長く一軍でプレーを続けている。2016年から2年間は選手会長も務め、チームのリーグ三連覇に貢献した。

 外野で最も実績があるのが藤井だ。2009年と2017年には規定打席にあとわずかまで迫っており、2018年には1000試合出場も達成した。守備の堅実さに欠け、打撃に波があるためレギュラーを獲得することはできていないが、高い運動能力と左右両打席からのパンチ力のある打撃で長くチームに貢献している。また地元である豊橋でのゲームで無類の強さを発揮しているのも特徴的だ。

 運動能力の高さでは上田も球界で屈指のものがある。高校時代からそのスピードと強肩は評判で、プロでもそれを生かして外野の守備と代走要員として一軍に定着。2013年、2014年と2年連続で二桁盗塁もマークした。なかなか体が大きくならず、打撃の安定感の無さからスタメン出場の機会は少ないが、外野のバックアップ要員として現在でも存在感を発揮している。

 俊介は広陵高時代から強打者として評判で、近畿大ではファーストで選出した荒木と同学年でプレー。プロ入り後も安定した外野守備が評価されて、1年目から守備固めを中心にいきなり124試合に出場した。打撃に関しては好不調の波が大きく、長打力にも乏しいものの、高い守備力で長年チームに貢献している。昨年は近本光司の台頭もあってプロ入り後最低の6試合の出場に終わっただけに、今年は正念場のシーズンとなりそうだ。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。