西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、プロ野球の開幕から調子のいい楽天について、優勝の可能性を示唆する。



*  *  *
 プロ野球が開幕し、熱戦が繰り広げられている。7月10日からは、段階的にファンの方々にも開放していくことを目指すという。大きな声での声援というものは我慢しなければならないけど、選手にとってはこれ以上ない援軍である。Jリーグも開幕、再開しているし、女子ゴルフも開幕した。ようやくスポーツ界も活気が戻ってきたなと感じる。

 ただ、世界的に見ると新型コロナウイルスの感染拡大は続いている。メジャーリーグが7月下旬に開幕することを発表したが、残り1カ月の感染状況を注視しなきゃいけない。メジャーリーグは球団の選手、スタッフに感染者が出続けている。そういった現状で、どこまで選手の安全性を担保できるのか。条件面で大リーグ機構(MLB)と選手会は争ってきたようだが、いざ開幕することが決まったのなら、今後はプレーする選手、そして家族が不安を抱えたままではいけない。

 日本のプロ野球の話に戻そう。今年は準備期間もままならない中で開幕した。以前も指摘したように、必ずコンディションが整わない選手は出ると思っていた。どんなに実績がある主力だろうと、全員が開幕に調子を上げて臨めるわけではない。だからこそ、指揮官の決断が大切になる。その意味で、中日の与田剛監督が、開幕から状態の上がらない平田良介を開幕5戦目で先発オーダーから外した。その決断自体は決して悪いことではない。コーチ陣らが本人と話し合った上での結果であろうから。

 同じ観点で外国人選手もポイントになると思っていた。特に日本の生活に慣れていない中、自宅待機期間もあった新外国人選手の状態はまったく読めない。オープン戦が終わってから練習試合までの期間が空き、その練習試合も少ない。日本の投手に慣れていくという過程も踏めない。だからこそ注目していた。阪神のボーアは腰が引けて当てるような打撃が多い。これでは左投手の外角は見えない。この状態が続くならどこかで決断が必要だろう。外国人選手は投手、野手ともにチームの重要な部分を担うわけで、その好不調はチームの成績に直結する。

 パ・リーグを見てみると、西武とソフトバンクの2強に迫ると予想している楽天がいいスタートを切ったと感じる。救援陣もしっかりしているし、先発も長いイニングを投げられる涌井が加入。則本昂と2人でしっかりとイニングを投げてくれれば、救援陣もうまくローテーションで回せる。今年は延長十回打ち切りだから、六、七回まで接戦に持ち込めば、楽天の勝率は大きく上がるだろう。ここに岸も戻ってくれば、優勝争いに加わってくることになるだろうね。

 高校野球も甲子園での交流試合を行うことが決まり、センバツ出場校の救済もできることになった。また、各都道府県も知恵を絞って独自大会を行うことを発表している。さらに、プロ野球を目指す高校生たちがプロのスカウトへアピールする場も設けられることになるという。ルールに縛られず「できることは何か」をしっかり考えてくれていると感じる。コロナ禍がなかったら、これだけチャレンジすることもなかっただろう。日常が戻ったとしても、新しいことに取り組む意識はずっと持ち続けないといけない。

※週刊朝日  2020年7月10日号