8月28日、巨人は編成会議を行い、10月26日のドラフト会議では即戦力の野手を最優先で狙うという方針が発表された。若手のパワーヒッターが不足しているということから、大学球界で圧倒的な飛距離を誇る佐藤輝明(近畿大)が筆頭候補と見られているが、ここから更に絞り込みが行われていくことになるだろう。



 その一方で取材に応じた大塚淳弘球団副代表からは、気になる発言も飛び出した。支配下登録の選手を来季のスタート時点で63〜64人にするために、10人程度の選手を戦力外、もしくは育成契約に切り替える方針だと語ったのだ。果たしてこのリストラの波に飲み込まれてしまうのは誰なのか。崖っぷちに立たされている選手を探ってみたいと思う。

 投手で真っ先に名前が挙がるのが岩隈久志だ。メジャーでの実働6年間で63勝をマークし、その経験を買われて2018年オフに巨人に入団したものの、右肩の状態が思わしくなく昨年は二軍で2試合に登板しただけに終わった。今年も開幕から復帰に向けて調整を続けているが、8月まで二軍はおろか三軍のマウンドに上がることもできていない。これまでの実績に対する敬意や、若手へのお手本になるというチームへの影響力はあるかもしれないが、来年で40歳となる大ベテランだけに、よほどの復活の兆しが見えなければ、支配下での契約は難しいだろう。

 投手でもう一人候補となりそうな大物が沢村拓一だ。2016年には37セーブをマークして最多セーブのタイトルも獲得したが、それ以降は故障もあって成績が大きく悪化。今年は開幕一軍入りを果たし、一時は離脱したデラロサに代わるクローザー候補とも言われていたが、結局ここまで防御率6点台と結果を残すことができずに7月26日に一軍登録を抹消されると、二軍でも調子が上がらず現在は三軍での調整となっている。

 登板すれば常に150キロを超えるスピードのボールを投げるものの、単調なピッチングで打者から見ると怖さがないという評価が完全に定着してしまった印象を受ける。来年で33歳と年齢もベテランの域に差し掛かってきており、このまま改善が見られないようであれば見切りをつけることも考えられる。オフにいきなり戦力外ということはないかもしれないが、大幅な年俸ダウン、もしくは他球団へのトレードの可能性も十分にありそうだ。

 一方の野手も大物の名前が挙がる。その筆頭が陽岱鋼だ。日本ハム時代は盗塁王1回、ゴールデングラブ賞4回とリーグを代表する外野手として活躍していたが、FAで2017年に巨人に移籍してからは一度も規定打席に到達することができず、完全に準レギュラーという地位に甘んじているのだ。今年のキャンプではファーストの練習にも取り組んでいたが中島宏之とのレギュラー争いに敗れ、更に外野手としてもシーズン途中に加入したウィーラーの後塵を拝する格好となっている。

 高い守備力とスピードが持ち味だったが、その点でも若手で売り出し中の松原聖弥が台頭してきたこともあって、完全に存在感を失っているのが現状だ。そしてチームにとって大きなネックとなるのが高額な年俸だ。2017年から5年間の大型契約を結び、年俸は3億円と言われているが、これはチームの野手では坂本勇人、丸佳浩に次ぐ三番目の金額である。5年契約の内容がどのようなもので、年俸の変動や途中での打ち切りが可能かは不明だが、このような状況が続くようであれば、シーズンオフに退団という事態になったとしても全く不思議ではないだろう。

 その他も投手であればFAで加入しながら結果を残せていない野上亮磨、かつてエース候補とまで言われたものの低迷が続いている宮国椋丞、野手では2015年に103安打を放つ活躍を見せた立岡宗一郎といった中堅の選手も今シーズンは戦力となっておらず、厳しい状況と言える。また在籍年数の少ない若手でも、二軍、三軍での結果が芳しくない選手は少なくない。そういった選手にとっても残りのシーズンは生き残りをかけた戦いとなりそうだ。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。