Jリーグでは目下、新型コロナウイルス対策に追われながらも各地で熱戦が繰り広げられている。その中で注目したいのが、働き盛りの30歳前後の選手たちだ。これまでA代表未招集ながら、それに値する能力を持つ男たちを今回、「A代表未招集“アラサー”ベスト11」として選出し、スポットライトを当てたい。



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 まず、最後尾を守るGKには、高木駿(大分)を選びたい。1989年5月22日生まれの31歳。明治大から2012年に川崎Fに入団し、千葉への期限付き移籍を経て2017年から大分でプレー。2018年に正GKとしてJ1昇格に貢献すると、昨季は片野坂知宏監督が唱えるビルドアップ戦術の中で、GKながらゴールマウスから離れてボール回しに加わり、優れた足元の技術も披露した。今季は8月8日の第9節から控えに回っているが、昨季9位と大健闘したチームの中で年間セーブ率ランキング3位(75.2%)を記録した実力に疑いの余地はない。

 DF陣では、首位を快走する川崎Fの左サイドバックを務める登里享平を最初に選びたい。1990年11月13日生まれの29歳。高い攻撃性能を持ち、重心の低いドリブルからの鋭いクロスでチャンスを演出する。年代別の代表経験はあるが、A代表は未招集。今こそ、長友佑都の後継者として試しても面白い存在だ。

 同じ左サイドバックになるが、タフさが売りの吉田豊(名古屋)も注目したい1人。1990年2月17日生まれの30歳。2007年のU−17W杯に柿谷曜一朗らとともに出場した後、甲府、清水、鳥栖と渡り歩き、昨季から名古屋でプレー。類まれな運動量と馬力でサイドを上下動し、攻守両面においてチームに活力を与えている。一部で安田大サーカスのクロちゃん似として話題だが、A代表に選ばれてもおかしくない確かな実力を持っている。

 センターバックでは、大崎玲央(神戸)をピックアップしたい。1991年8月7日生まれの29歳。北米サッカーリーグ(2部)でプレーした後に横浜FC、徳島を経て2018年途中に神戸に加入すると、すぐにレギュラーを確保。身長187センチの高さと対人守備の強さに加えて足元の技術も高く、周囲に華麗な経歴を持つ選手たちが揃う中で堂々たるプレーを続けている。

 もう1人、福森晃斗(札幌)も魅力のある選手だ。1992年12月16日生まれの27歳。桐光学園高から川崎Fに入団し、2015年から札幌でプレー。最大の武器は精度の高い左足のキックで、2017年には1試合2本の直接FK弾を決める離れ業をやってのけた。適性は3バックの左になるが、FKという飛び道具を武器に“和製ミハイロビッチ”として、さらなる飛躍を期待したい。

 すでに多士済々のメンバーが揃う日本代表のMF陣だが、Jリーグにもまだ未招集の男たちがいる。その1人が、小野瀬康介(G大阪)だ。1993年4月22日の27歳。横浜FC、山口とJ2を舞台に結果を残して2018年夏にG大阪に加入すると、右サイドを主戦場に切れ味鋭いドリブル突破で幾度となく好機を演出。昨季はリーグ戦30試合で8得点をマークするなど得点力の高さも見せた。ライバルは多いが、代表レベルの能力を持っている選手だ。

 同じく、稲垣祥(名古屋)も代表クラスの実力を持つ1人。1991年12月25日生まれの28歳。帝京高、日体大を経て甲府に入団し、2017年から3年間は広島でプレーしたボランチ。豊富な運動量と素早いプレスからの高いボール奪取能力が魅力で、新天地の名古屋でも幅広い範囲をカバーして中盤を支えている。黒子役として、チームへの貢献度は非常に高い。

 J2にも目を向け、2人の30代プレイヤーに注目したい。1人目は、庄司悦大(京都)。1989年9月14日生まれの30歳。背番号10を背負うゲームメイカーで、静岡育ちの卓越したテクニックを土台に多彩なパスを全方位に繰り出す。2018年から半年間在籍した仙台時代以外は、町田、山口、岐阜、京都とJ1以外のチームでのプレーが続くが、キッカケとチャンスさえあればJ1の舞台でも十分に活躍できるはずだ。

 もう1人、小池純輝(東京V)も注目のアラサー。1987年5月11日生まれの33歳。ユースから2006年にトップ昇格を果たした浦和では出番に恵まれなかったが、2009年の草津へのレンタル移籍を皮切りに水戸、東京V、横浜FC、千葉、愛媛で出場を重ね、昨季は6年ぶりに復帰した東京Vで日本人3位となる16得点をマークした。サイドアタッカーとしてDFからFWまでこなし、豊かなスピードを活かした突破力に加えて、シュート技術にも磨きをかけている。

 FWには、遅咲きのシンデレラストライカー、藤本憲明 (神戸)がいる。1989年8月19日生まれの31歳。近畿大卒業後に佐川印刷SCでプレーしながらコツコツと得点力に磨きをかけ、鹿児島時代には2年連続でJ3得点王に輝き、2018年に加入した大分で脚光を浴びた。ライバルの多い神戸ではまだ出番が限られているが、JFL、J3、J2、J1の全カテゴリーでゴールを奪った男に「代表ゴール」の勲章を得るチャンスを与えてみてもいい。

 そして最後の1人、江坂任(柏)は外せない。1992年5月31日生まれの28歳。流通経済大から草津(J2)に入団した1年目に13得点を奪うと、翌年からは大宮で2年間プレーし、2018年に柏に加入して背番号10を背負う。そのプレーは万能そのもの。左右両足でのパス、ドリブル、シュートだけでなく、ボールコントロール、運動量、キープ力、空中戦の強さと、すべての攻撃能力を高水準に備え、今季は怪物FWオルンガとのホットラインで多くのアシストを記録している。間違いなく日本代表レベルの能力を持っており、今後さらに多くのサッカーファンに知ってもらいたい存在だ。

 以上を「A代表未招集“アラサー”ベスト11」としたいが、彼ら以外にも確かな実力を持つ選手は多く存在する。代表戦の実施が不透明な今だからこそ、改めてJリーグを舞台に奮闘する男たちに注目すべき。彼らのプレーは、見る価値がある。

 以下、今回選出したメンバー

【GK】
高木駿(大分)
【DF】
登里享平(川崎F)
吉田豊(名古屋)
大崎玲央(神戸)
福森晃斗(札幌)
【MF】
小野瀬康介(G大阪)
稲垣祥(名古屋)
庄司悦大(京都)
小池純輝(東京V)
【FW】
藤本憲明 (神戸)
江坂任(柏)