今年は新型コロナウイルスの影響もあり、60試合と大幅に試合数が短縮されたメジャーリーグ。今季から海を渡った筒香嘉智(レイズ)、秋山翔吾(レッズ)、山口俊(ブルージェイズ)は苦しいシーズンとなっているが、ダルビッシュ有(カブス)がナ・リーグのサイ・ヤング賞争いを引っ張るなど、今年もMLBから目が離せない状況が続いている。

 そして、もう一つ日本と関係があるところで注目して欲しいのは、かつて日本のプロ野球で活躍した元助っ人リリーバーたちが大車輪の活躍を見せていることだ。



■ラファエル・ドリス(元阪神、ブルージェイズ)
 20試合登板、2勝1敗7ホールド3セーブ、24奪三振、防御率1.77

■アンソニー・バース(元日本ハム、ブルージェイズ)
 20試合登板、2勝3敗2ホールド5セーブ、15奪三振、防御率3.10

■ジョエリー・ロドリゲス(元中日、レンジャーズ)
 12試合登板、0勝0敗3ホールド0セーブ、17奪三振、防御率2.13

■クリス・マーティン(元日本ハム、ブレーブス)
 11試合登板、0勝1敗3ホールド1セーブ、12奪三振、防御率0.82

■ピアース・ジョンソン(元阪神、パドレス)
 17試合登板、3勝1敗1ホールド0セーブ、18奪三振、防御率3.29

※成績は現地9月9日時点

 バース、ジョンソンの防御率3点台以外は2点台以下と並み居る強打者が揃うメジャーリーグで見事な安定感を見せている。特にドリスは現在12試合連続で自責点ゼロを継続中で、登板数もア・リーグで6位タイ。チームはア・リーグ東地区で2位と決して高くなかった前評判の中で健闘を見せているが、これはドリスやバースが重要な場面で勝利に繋がるピッチングを見せているのも大きな要因だろう。

 マーティンもナ・リーグ東地区で首位を走るブレーブスで防御率0点台の好成績をマークし、ロドリゲスも左脚を負傷して今季の残りゲームは全休の可能性が出てきたが、ケガ前は安定した投球でチームを支えていた。

 先発投手はライアン・ボーグルソン(元阪神、オリックス)、コルビー・ルイス(元広島)、マイルズ・マイコラス(元巨人)などがメジャーリーグに出戻った後に活躍を見せた過去はあるが、昨シーズンの1年限りのプレーでMLB復帰を果たしたジョンソンのケースを見ても、日本で活躍した救援投手がメジャーで高い評価を受けているのが分かる。

 今季のパフォーマンスから考えても、これからも日本で好成績を残した助っ人リリーバー獲得にメジャーリーグのチームが動くというケースは増えていきそう。そうとなれば、NPBで好成績を収めている助っ人リリーバーにはメジャーも熱視線を送っているはずだ。

 今シーズン、ここまで最も安定した投球を見せているリリーバーはモイネロ(ソフトバンク)になるだろう。圧倒的な奪三振能力を誇る左腕は今シーズン、34回1/3を投げてイニング数の倍近くの62奪三振をマーク。防御率も1.31と見事な数字を残している。(以下、NPBの成績は全て9月11日終了時点)

 チームとは2017年から5年契約を結んでおり、まだ日本では数年プレーすると思われるが、契約終了後時点でも年齢は26歳と若い。最近はモイネロと同じキューバ出身のメジャーリーガーも増えてきており、MLBの球団が獲得に興味を示す要素は多いにある。

 他では中日のR.マルティネスも候補だろう。モイネロと同じキューバ出身の右腕は、190cmを超える長身から投げ下ろす最速160キロの直球が武器。今季はこれまで27試合に登板して2勝7ホールド11セーブ、防御1.00と圧巻の数字をマークしている。昨年オフに2年総額1億2000万円の契約を中日と結んでいるが、来年も今年のような成績を残せばメジャーへの“ステップアップ”を果たすかもしれない。

 昨オフにソフトバンクから阪神に移籍したスアレスも30試合で1勝6ホールド14セーブ、防御率1.44と新天地でブレーク。昨シーズンは先発に転向して低迷していたが、今季の成績を見てもリリーフ投手としての適正の方が高いようだ。これまでメジャーでプレーの経験はないが、メキシカンリーグ時代もMLB球団が獲得に興味を示していたとされ、契約期間も今年の1年のみ。近い将来アメリカでプレーする可能性は十分にある。

 助っ人リリーバーをメジャーが狙うのはもちろん実力的な部分もあるが、経済的にも“win−win”の関係が見込めるのも理由の一つだろう。昨年、阪神でプレーしたジョンソンは日本時代には年俸9000万円(推定)だったが、オフにパドレスと2年総額500万ドル(約5億3000万円)で契約。倍以上の年俸でかつ複数年契約を得ることに成功した。一方でメジャーの平均年俸が440万ドル(約4億7000万円)と高額であることを考慮すると、ジョンソンの契約は安価ともいえる。メジャー球団からしてみると、低いリスクで優良な戦力を獲得することが可能なルートと考えているようだ。

 また、同じく昨オフにブルージェイズと1年契約を結んだドリスも年俸100万ドル(約1億500万円)と、NPB最終年の年俸1億7000万円(推定)から下がったが、1年で結果を残すことが出来れば、日本での年俸を超える金額を得る可能性は高い。仮に1年契約で多少年俸が減ったとしても、米国での挑戦は大きな成果を得るチャンスでもある。

 このように、NPBで活躍した助っ人リリーバーがアメリカで好成績を収めれば、今後もこの流れは止まることはないだろう。ジョンソンのように、日本で活躍→即メジャー復帰の流れはファンにとっては寂しい気持ちもあるが、短いキャリアの中で選手がステップアップする姿を見るのも、プロスポーツファンにとっては喜ばしいことでもあるだろう。