今季限りでソフトバンクを退団する一塁手・内川聖一(38)の動向が注目されている。プロ20年目で初めて1軍出場がなかったが、ファームでは打率3割2分7厘と好成績だった。在京球団のスコアラーは言う。



「内川はまだまだできるでしょう。球界屈指の右打者として打撃技術はさびついていない。若手の生きた教材としても大きなプラスアルファになる」

 セ・パ両リーグで首位打者を獲得し、通算2171安打を積み上げた安打製造機を巡り、早くも中日、ヤクルトが獲得を検討しているとの報道が出ている。中日は一塁に4番のビシエドがいるが、代打が手薄だ。ヤクルトではレギュラーも狙える。今季は村上宗隆、坂口智隆が主に一塁を守ったが、村上は三塁、坂口は外野が本職だ。

 巨人も獲得レースに参戦する可能性がある。原辰徳監督が侍ジャパンの監督として優勝した2009年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、打撃を評価して抜擢(ばってき)し、攻守にシンデレラボーイとなったのが内川だった。

 セ・リーグの球団から人気なのは、内川の打撃スタイルも影響しているかもしれない。中距離打者として広角に安打を打ち分けてきたが、近年は速い直球に差し込まれる場面が目立っていた。150キロを超える直球で力勝負の投手が多いパ・リーグに比べ、セ・リーグは変化球主体で組み立てる軟投派の投手が多い。ある球団の主砲は、こう話す。

「ベテランになってパ・リーグはきつい。セ・リーグと違って内角に速い球がどんどん来るから、力勝負になるとしんどくなる。36歳のバレンティンがヤクルトからソフトバンクに来て全然打てないのも納得できる。内川は打撃技術を生かすならセ・リーグの球団に移籍したほうがいい」

 ただ、パ・リーグで獲得レースに参戦するのではないかとささやかれているチームがある。ソフトバンクとシーズン終盤まで優勝を争ったロッテだ。リーグ5位の445得点(11月6日現在)と得点力不足が課題の中、内川が加入すれば心強い。昨オフにソフトバンクからロッテに移籍した、気心の知れた後輩の福田秀平もいる。

 内川と同世代の82年生まれは巨人の中島宏之、亀井善行、西武の内海哲也、楽天の藤田一也らがいる。崖っぷちだった中島は今季復活した。内川ももう一花咲かせたい。(梅宮昌宗)

※週刊朝日  2020年11月20日号