西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、昨今のプロ野球界の傾向をもとにセ・リーグの改革について語る。



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 新年あけましておめでとうございます。新年の過ごし方も、昨年から続く新型コロナウイルスの影響で変わった方も多いのではないでしょうか。

 東京五輪は果たして行えるのかな。新型コロナウイルスの変異種なども出てきているという。その中で開催することが、アスリートにとって、世界にとって、プラスになるのか、IOCと開催国である日本の判断を待ちたい。

 プロ野球界は昨年、「スピード」「パワー」がクローズアップされた。ソフトバンクが2年連続でセ・リーグ王者の巨人に日本シリーズで4連勝した。このオフに巻き起こっているDH論争。これをセ各球団が受け入れるかどうかは前回のこのコラムでも書いたが、それ以前にセ・リーグ選手のプライドもあるだろう。このまま「パの選手が上」という印象をファンに与え続けるわけにはいかない。

 私が注目しているのは、セの各打者の対応である。150キロを打てるようにインパクトの瞬間までの時間の何を省略するのか。テイクバックの取り方なのか、スイングスピードを上げるのか、タイミングの取り方をかえるのか。それでいて、打球速度やパワーを落とさないための方策を探さなきゃいけない。

 改革には勇気がいる。今まで築いたものが失われる危険性もある。通常どおりなら今年は交流戦も再開される。また、パ・リーグがセ・リーグを圧倒する形になれば、またセはパにかなわないのかといった議論になる。

 本来なら、2月のキャンプに行って、そういった選手の改革、新たな取り組みを実際に見たいところだが、今年のキャンプも、敏感にならざるを得ない。野球界OBも、気軽に打撃ケージ裏まで行ったり、ブルペンで投手の投球練習を見たりすることは難しいかもしれない。テレビで見る機会は増えるだろう。

 ベテランには少々酷だなと思う。少々芯やタイミングが外れても、スタンドまで運ぶ野手が増えているのだから、球速が衰え、技術でカバーする投手は苦しい。ベテラン打者はバットコントロールで勝負しようにも、150キロ台後半を投じる投手がいる。パワーと技術が高いレベルで融合しないと通用しないほどレベルは上がっている。

 西武の松坂大輔が来シーズンも契約延長した。20年シーズンで一度も実戦で投げていない40歳が、今年になって1軍のマウンドに戻ることは容易ではない。ただ、気持ちが切れそうなところをつなぎとめ、「まだ野球をやりたい」という思いの強さは伝わってくる。契約してくれた球団のために何ができるのかを考えてほしい。プロだから結果が出ないと周囲の目は厳しくなるが、自分のパフォーマンス向上だけを見つめて、一歩一歩進んでもらいたい。

 コロナが蔓延(まんえん)する世の中になって、今まで当たり前と思えたことができなくなった。周囲の人々との接触も減っている。そんな中で、野球界は見る人に何を与えることができるのだろうか。2021年。今年も考えさせられる年になる。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95〜2001年)に2度リーグ優勝

※週刊朝日  2021年1月15日号