春季キャンプ真っただ中で各球団の練習が熱気を帯びている。巨人の桑田真澄投手チーフコーチ補佐は一挙手一投足が注目され、ソフトバンクからヤクルトに移籍した内川聖一もすぐにチームに溶け込んだ。楽天は田中将大が8年ぶりに電撃復帰。間もなくキャンプに合流予定で、メディアの注目度が高まるばかりだ。



 だが、チームの調整が順調にいくとは限らない。巨人は先発で復活が期待された田口麗斗が右太もも裏の張りを訴えてキャンプ3日目に早々と離脱。キャンプ地の宮崎から緊急帰京した。テレビの巨人担当記者はこう話す。

「ポスティング・システムでメジャー挑戦を視野に入れたエースの菅野智之がオフに残留したとはいえ、先発陣は決して盤石ではありません。菅野以外で計算できるのは戸郷翔征ぐらい。サンチェス、畠世周は好不調の波が激しく、メルセデスは故障が多くスタミナにも不安を抱えています。ドラフト1位右腕の平内龍太(亜大)の評価が高いですが、新人は未知数です。フリーエージェント(FA)移籍した井納翔一もDeNAで扱いがよくなかったとはいえ、先発ローテーションに入れなかった投手ですから、あまり多くは望めない。先発陣が機能するかが最大の懸案事項です」

 3年目左腕・横川凱、2年目左腕・井上温大などイキの良い若手が出てきているが、長いシーズンを考えると実績のある投手が一人でも多くいるに越したことはない。

 巨人は昨年、ウィーラー、高梨雄平を楽天から補強するなど、トレードに積極的なスタンスを取る。セ・リーグ3連覇を盤石なものにするために、先発で軸になる投手を他球団からトレードで獲得する可能性は十分にある。もちろん、実績のある投手を簡単に獲得できるわけではない。出血覚悟で主力を放出する必要性に迫られる。

「明らかに戦力がダブついているポジションは捕手です。打撃に定評があり、正捕手をつかんだ大城卓三、ベテランの炭谷銀仁朗、頭角を現した未来の正捕手候補・岸田行倫がいます。さらに、昨季は故障で10試合出場のみに終わった小林誠司もいます。

 特に小林は2016年から4年連続リーグトップの盗塁阻止率をマークし、他球団の評価が高い。正捕手が固定できない楽天、日本ハムだけでなく、セ・リーグの球団からも『小林を使わないならほしい』と聞きます。エース・菅野智之から絶大な信頼を寄せられてバッテリーを長年組んでいましたが、昨年の菅野は大城とのコンビで最多勝、最高勝率、リーグ最優秀選手(MVP)に輝きました。小林の存在感が明らかに薄れています」(在京スポーツ紙デスク)

 過去にも春季キャンプ後にトレードが敢行されたケースはあった。18年3月に阪神・榎田大樹と西武・岡本洋介のトレードを両球団が発表。阪神で伸び悩んでいた榎田は西武で4月から先発ローテーションに入り、11勝4敗、防御率3.32の大活躍で10年ぶりのリーグ優勝に貢献した。

 もちろん、小林の評価が巨人の中で決して低いわけではない。ある投手は絶大な信頼を口にする。

「盗塁を刺してくれるというのは大きな安心感です。走者を過度に気にせず、打者に集中できるから打ち取れる可能性も高くなります」

 確かに打撃を考えれば大城に見劣りするが、小林の鉄砲肩は他の捕手にない大きな魅力だ。巨人で正捕手奪回を目指す今季はどんな運命が待ち受けているだろうか。(牧忠則)

※週刊朝日オンライン限定記事