MLBのホームランダービーに日本人として初出場したロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手(27)を、NHK総合が13日午前9時5分から、地上波で生中継した。



「いやあ、大谷君は残念でしたね。まさか、延長、延長でこういう展開になるとは思わなかった」と、競技を見た直後に語るのはメディア文化評論家の碓井広義氏だ。

「私はNHKのBSでは、いつも大谷君の試合を見てます。NHKが総合(1チャンネル)で生中継したのは異例の編成と言っていいと思います。この時間帯は普段なら情報番組の『あさイチ』(午前8時15分〜9時54分)を放送していますが、それを午前9時までに短縮するという事態は国会中継くらい。それくらいの国民的関心事という判断です」(碓井氏)

 MLBのアメリカ・コロラド州のロッキーズの本拠地クアーズ・フィールド球場で開催されたホームランダービー。大谷は1回戦で対戦したナショナルズのソトに、ドロー2回の末、「3スイング」の延長戦で敗れた。優勝賞金100万ドル(約1億1000万円)をせしめたのはメッツのアロンソだった。

「彼が1回戦で敗退したのは予想外だったかもしれないけれど、NHKは普段、BSでも常に大谷君の出る試合を放送しているわけですから、日本で一番、『大谷押し』の放送局ではないかと思います」(同)

 NHKは受信料をめぐり様々な疑問や議論が出ている。

「そういった状況で、皆さんが関心のあることに関しては全力でそれをお伝えしますという姿勢を見せている。少なくともNHKは大谷君に関しては全部見せますよというのが伝わって来ました」

 現地のレポーターには元NHKアナウンサーで、現在はフリーアナの久保純子を起用した。

「『あさイチ』を見ている視聴者は主婦層が多いし、年齢の高い人たちが多い。今どきの若いアナではなく、49歳のアラフィフのクボジュンを持って来たのは違和感がなかった。NHKなりの配慮もしくはサービスだったのでしょう」(同)

 7月14日(日本時間)朝、ホームランダービーと同じくクアーズ・フィールド球場で開催される「MLBオールスターゲーム2021」では、今年はNHKのBS1だけではなく、テレビ朝日が地上波での生中継で参戦。テレビ朝日関係者はこう話す。

「うちはこれに賭けてます。生中継は『羽鳥慎一モーニングショー』の終わりの部分と『大下容子ワイド!スクランブル』の枠を使って放送します。スクランブルの視聴率は平均5〜6%くらいで、日テレの『ひるおび』よりもちょっといいくらい。大谷でそれ以上の視聴率が取れると思って、生中継します」

 オールスターで大谷投手は先発投手で指名先頭打者として出場予定。実現すれば、オールスター史上初の二刀流となる。

「メジャーリーグも大谷を大事なアイテムとして扱っているんですよ。メジャー人気を煽るために、大谷をいい意味で活用している。うちもそれに乗っていきたい」(テレビ朝日関係者)

 コロナ禍ということもある。

「朝のワイドショーでは毎日のように、コロナの感染者数を報道し、それとワクチンや変異株の放送。それ以外のニュースはネタ枯れ状態で、今、一番強いコンテンツが大谷選手なんですよ。オールスターではインターネット番組ではこういうふうにはいかないという地上波ならではの見やすさ、楽しさ、迫力をお届けしたいです」(同前)

 前出の碓井氏は大谷の試合を毎回見ている理由をこう話す。

「夜のスポーツニュースでダイジェストで、いい場面だけを見るのとはわけが違う。球場の雰囲気の中で、大谷君と一緒に2時間過ごすみたいな感じがいいんですよ。それにまた、毎回のように大谷君がちゃんと応えてくれている」

 現在、大谷は打者トップのホームラン33号を打ち、日本人最多本塁打記録を更新した。だが、ホームランダービーの競技中、「疲れた」を連発し、オールスターにも出場となると、後半戦への影響が心配されてもいる。

「大谷君は異次元の選手だから心配が杞憂に終わるのではないかなぁと勝手に思っちゃってます。心配よりも、史上初の二刀流で記録を塗り替えることを目撃しているありがたさがあります」(碓井氏)

 東京五輪も7月23日から開幕する。

「本当は五輪こそ、スポーツコンテンツとして最強だったはずなのに、開催や無観客をめぐって、いろいろな複雑な問題があって、手放しで楽しめなくなっています。それがあるから余計に大谷君の活躍は手放しで楽しんで、応援していいわけだし、スポーツをめぐる閉塞感を吹き飛ばしてくれている」(同前)

(AERAdot.編集部・上田耕司)