新型コロナウイルス感染拡大の影響で1年延期された東京五輪・パラリンピックが終わったのもつかの間、2022年北京冬季五輪(開会式・2月4日)まで残り5カ月を切った。

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 出場権を争う戦いは早くも始まっている。9月10〜12日に北海道稚内市でカーリングの女子日本代表決定戦があり、前回18年の平昌五輪銅メダルのロコ・ソラーレ(当時の登録はLS北見)が見事な逆転劇で北海道銀行を下し、12月の世界最終予選(オランダ・レーワルデン)への出場権を手にした。ここで出場9チーム中3位以内に入れば2大会連続の五輪出場が決まる。

 日本代表決定戦は5回戦制の3戦先勝方式で争われた。ロコ・ソラーレは連敗スタートと苦しい展開となったが、3戦目で一つ星を戻すと、勢いに乗って残り2戦でも地力の差を見せた。

 2勝2敗で迎えた第5戦、ロコ・ソラーレが7―6と1点リードして臨んだ最終10エンドだった。最終投はスキップ藤沢五月(30)で、ハウス(円)内には得点につながる北海道銀行のストーン(石)が二つ残っていた。藤沢の投じるショットがよりハウスの近い位置に止まれば勝利が確定する一方、失敗すれば北海道銀行に逆転を許しかねない緊迫した場面で、しっかり決めて8―6と勝ち切った。

「第2戦も同じ展開で、最後に私が決められず負けてしまった。連敗したあとはめちゃくちゃ泣き崩れました。最後のショットはミスすれば負けだし、プレッシャーはありました。でも、最後は根性(笑)。自分の感覚と、味方を信じて投げました」(藤沢)

 4年前の平昌五輪では、ハーフタイムに間食を取るシーンが“もぐもぐタイム”と称され、選手たちが試合中に交わした言葉「そだねー」が流行語になるなど、笑顔で楽しそうにプレーする姿が話題となって一躍人気になった。

 氷の上に立つメンバーはスキップの藤沢のほか、リードの吉田夕梨花(28)、セカンドの鈴木夕湖(29)、サードの吉田知那美(30)と4年前と同じ。3日間で5試合をこなすタイトなスケジュールのなか、ビハインドをはね返すのは簡単ではなかったが、土壇場に追い込まれたことで改めて自分たちらしさを確認したという。

「自分たちらしさは笑顔とも言われますが、喜怒哀楽、すべての感情を100%出せること。正直、追い込まれて吹っ切れた。最後は泣きながらストーンを投げてもいいし、ぜんぶ感情を出して戦おうと気持ちを切り替えました」(鈴木)

 第3戦以降は感情がはじけ、好ショットが決まれば笑顔やガッツポーズがあふれた。

 象徴的なシーンだったのは第3戦の第2エンド。5ロックルールという互いに5投目までガードストーンをはじき出せないルールを勘違いする凡ミスが出たが、笑い飛ばして好ショットで挽回(ばんかい)。結局、そのエンドで2点のスチール(不利な先行の攻撃で得点)で流れをつかんだ。

 ただ、まだ北京五輪出場が確定したわけではない。12月の世界最終予選では残る三つの出場枠を9チームで争うことになる。平昌五輪で銀メダルの韓国や銅メダルをかけて3位決定戦で相まみえたスコットランド(五輪に出場する際はイギリスとしての参加になる)らの強豪も参加するだけに簡単な戦いにはならないだろう。

「世界最終予選は独特の雰囲気がある。カーリングをすることは変わらないが、次は世界で勝つためにシフトしないといけない」(吉田知)

 2連敗で追い込まれた際、吉田知はこんなふうにも話していた。

「崖っぷちは何度も経験してきた。でも、戦うなかで強くなっていくのがロコ・ソラーレのスタイル」

 2大会連続でのメダル獲得に向け、ここからが正念場になる。

(ライター・栗原正夫)

※AERAオンライン限定記事