セ・リーグでは佐藤輝明(阪神)、伊藤将司(阪神)、中野拓夢(阪神)、栗林良吏(広島)、牧秀悟(DeNA)、パ・リーグでは伊藤大海(日本ハム)、早川隆久(楽天)が既にチームの主力となっており、近年稀にみるルーキーの当たり年となっている。では、その一方で即戦力ではないものの、将来の主力として期待された高校卒の選手たちはどうなのか。ここまでの二軍でのプレーぶりなどから、早く戦力になりそうな候補を探ってみたいと思う(成績は9月14日終了時点)。


 今のところ出世頭となっているのがオリックス3位指名の来田涼斗だ。二軍で早々に外野の一角をつかみ中軸として活躍すると、7月13日の一軍デビュー戦でプロ初打席初ホームランを放ち、3安打猛打賞という離れ業をやってのけたのだ。後半戦に入ってもスタメンで起用されることが多く、打率は2割台前半まで落ちてきたものの20試合の出場で14安打、2本塁打、7打点と高校卒1年目にしては上々の数字を残している。明石商時代からパンチ力には定評があったが、プロでも順調にその長所を伸ばしており、力強いフルスイングは一軍でも全く違和感がないレベルにある。縦の変化球への対応と守備面には課題が残るものの、打つ形は悪くなく運動能力もあるだけに経験を積めば解消できる可能性は高そうだ。


 来田に次いで一軍初安打をマークしたのが土田龍空(中日3位)だ。抜群の守備センスと二軍で9盗塁をマークしたスピードが評価されて9月3日に一軍登録されると、9日、10日と守備から出場した打席で2試合連続安打をマーク。ミート力も非凡なところを見せている。来田に比べるとまだ体つきは頼りないものの、守備と走塁に関してはかなり高いレベルにあることは間違いない。チームは内野の控えが高齢化しているだけに、今後も貴重な若手として抜擢を期待したい。


 二軍で存在感を示している野手としては秋広優人(巨人5位)と内山壮真(ヤクルト3位)の名前が挙がる。秋広はキャンプからアピールを続けて一軍のオープン戦にも出場。ギリギリで開幕一軍入りは逃したものの二軍では中軸を任されており、ここまでチーム3位の7本塁打をマークしている。身長2メートルの長身ながら器用さもあり、将来の中軸候補として期待は高い。内山も二軍では開幕から積極的に起用され、既に二度の一軍登録を経験。ヒットはまだ出ていないが、6打席で1四球を記録している。上背はないものの二軍ではここまで秋広と並ぶ7本塁打と高校卒のルーキーではトップタイの成績を残している。打てる捕手として楽しみな存在だ。



 一方の投手はまだ一軍デビューを果たした選手はいないが、二軍で最も経験を積んでいるのがオリックス1位の山下舜平大だ。ここまで15試合に登板して1勝8敗、防御率5.03と数字的には芳しくないものの、チームのルーキーではダントツトップの53回2/3を投げているところに期待の大きさがうかがえる。高校時代はカーブ以外の変化球をあえて封印しており、これから覚えることもまだまだ多いが、威力抜群のストレートは大きな魅力だけに来年以降の飛躍が期待される。

 もう一人のドラフト1位、高橋宏斗(中日)もここまで二軍で27回2/3を投げて、防御率7点台とプロの壁に苦しんでいるが、そんな中でいち早く結果を残し始めたのが日本ハム5位入団の根本悠楓だ。4月13日のイースタンリーグ、対楽天戦で二軍初勝利をマークすると、その後は先発でも好投。ここまで9試合、24回2/3を投げて防御率1.82と二軍ではチームでもトップクラスの成績を残している。高校時代からコントロールは抜群で、試合を作る能力の高さも光っていたが、二軍レベルでは十分に通用することを証明している。チームは左の先発候補が少ないだけに、早ければ今年中の一軍デビューも期待できそうだ。

 現在一軍の戦力と言えるのは来田だけだが、二軍では野手を中心に頭角を現しつつある選手は少なくない。同期の大学生、社会人ルーキーの活躍も良い刺激となっているはずだ。シーズンは残り少ないが、10月11日からは若手の登竜門ともいえるフェニックスリーグも始まるだけに、そこでも多くの高校卒ルーキーが成長ぶりをアピールしてくれることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員