シーズン終盤の大失速でリーグ3連覇を逃し、かろうじてCS進出を決めた巨人。短期決戦で意地をみせたいところだが、来季に向けての補強ポイントは明確だ。

「先発陣ですね。今季精彩を欠いたエース・菅野智之が来季復活するとは限らない。今季11勝とブレークした高橋優貴も7月以降は3勝のみ。疲労が見えて直球が走らなくなり、相手から徹底的に分析されていた。この陣容では来季も厳しい。広島・九里亜蓮がFA権を行使すれば獲得に乗り出す可能性は十分にありますが、トレードも積極的に活用する球団なので動向が注目されます」(スポーツ紙記者)

 原監督の続投が決定的となり、フロントも全面的にバックアップする。今年は開幕前に左腕・田口麗斗と廣岡大志のトレードが成立。シーズン途中には炭谷銀仁朗が金銭トレードで楽天に移籍。中田翔が日本ハムからトレードで電撃加入した。

「原監督は選手個々の野球人生を考えて、プラスになるならトレードを厭わない。田口も先発の台所事情が厳しかったヤクルトの方がチャンスは多いと考え、炭谷も出場機会を望む本人の意向を尊重してトレードに同意した。昨年も楽天からトレード移籍した高梨雄平、ウィーラーがリーグ連覇に貢献したように、トレードが成功すればプラスアルファは非常に大きい」

 今季2ケタ勝利を挙げたのは高橋のみ。不動のエース・菅野は故障やコンディション不良で4度登録抹消され、出場が内定していた東京五輪も出場辞退。19試合登板で6勝7敗、防御率3.19はプロ9年目で自己ワーストの成績だった。戸郷翔征もシーズン後半に失速して9勝止まり。夏場に登板間隔が中4,5日になりへばっていたように見えた。シーズン途中に米国から復帰した山口俊も2勝8敗、防御率3.56。打線の援護に恵まれない登板が多かったが、34歳という年齢を考えると過度な期待はかけられない。昨オフにFAで加入した井納翔一は5試合登板で0勝1敗、防御率14.40。先発ローテーションで期待されたが、戦力にならなかった。今季7勝のメルセデスは左腕エースになれる素材だが、故障の多さがネックだ。

 先発ローテーションで1年間回れる投手が1人でも多くいれば、救援陣に掛かる負担も軽減される。そこでトレード補強は選択肢の一つになる。

「ソフトバンクの武田翔太は魅力的だと思います。他球団も調査しているでしょう。能力の高い投手ですが、近年は伸び悩み今年も4勝止まり。7月中旬以降はファーム暮らしで1軍の戦力になれなかった。ただこのクラスの選手をトレードで獲得するなら出血覚悟で出さなければいけない。複数トレードで今村信貴、北村拓己がその候補になるでしょうか」(スポーツ紙デスク)

 他球団を見ると、ロッテは「トレード巧者」の筆頭格だ。今年はシーズン途中にDeNAとの間で国吉佑樹と有吉優樹のトレードを敢行。国吉は25試合登板で2勝0敗17ホールド2セーブ、防御率1.44とセットアッパーで「勝利の方程式」に不可欠な存在になった。また、中日で出場機会がなかった加藤匠を加藤翔平とのトレードで獲得。シーズン終盤の熾烈な優勝争いの中、田村龍弘を押しのけて正捕手としてチームに貢献していた。

 巻き返しを誓う来季に向け、巨人はどのように戦力を整備するか。(桜庭嘉男)