ミスタードラゴンズと呼ばれた立浪和義、ビッグボスこと新庄剛志とともに新監督を迎えながら最下位に沈んでいる中日と日本ハム。リーグ優勝は既に絶望的な状況だけに、早くも来シーズン以降を考えているファンも多いのではないだろうか。そこで今回はそんな両チームで後半戦に思い切った抜擢を期待した若手選手を探ってみたいと思う。

 まず中日だが、やはり大きな課題となっているのは得点力不足だけに、野手陣のテコ入れが必要となる。現在の一軍では岡林勇希が完全にレギュラーとなり、チームでトップとなる安打数、盗塁数をマークしているだけに、それに続く存在を1人でも多く発掘したいところだ。

 まず筆頭となるのはルーキーの鵜飼航丞だろう。開幕当初は積極的に起用され、打率こそ2割台前半ながら4本塁打を放っている。とらえた時の打球は広いバンテリンドームナゴヤでも軽々とスタンドインする飛距離はやはり大きな魅力だ。また二軍降格後は少ない出場ながらそれなりの打率を残しており、成長ぶりも見せている。現在は自打球を受けたことによる怪我で戦列を離れているものの、貴重な和製大砲候補だけに後半戦も積極的な抜擢に期待したい。

 また同じルーキーのブライト健太、福元悠真の2人もある程度二軍で結果を残したのならば、早めに一軍に引き上げることも必要だろう。ルーキー以外では郡司裕也、土田龍空の2人も候補となる。郡司は現在二軍で規定打席には届いていないものの、3割を大きく超える打率を残しており、チームトップタイの3本塁打をマーク。元々打撃には定評があるだけに、本職の捕手ではなく継続して外野としての起用も検討したい。土田も打撃には課題が残るものの、ショートの守備では度々素晴らしいプレーを見せている。京田陽太の状態が上がらないのであれば、後半戦も継続して多くスタメンとして起用したいところだ。

 一方の日本ハムは野村佑希、清宮幸太郎、万波中正といった強打者タイプの若手に成長が見られているだけに、投手陣の底上げが重要になってくる。先発投手で筆頭候補となるのは2年目の根本悠楓だ。昨年は高卒ルーキーながら二軍で12試合に登板して1点台の防御率をマーク。今年もここまで一軍で6試合に登板し、5月29日の巨人戦ではプロ初勝利も記録している。使い勝手の良いタイプだけにリリーフでも起用されているが、左の先発が不足しているだけに器用貧乏にならずに先発として大きく育てたい選手である。

 もう1人先発候補となるのが5年目の田中瑛斗だ。昨年オフには育成契約となったが、7月には支配下復帰を果たすと、7日のロッテ戦ではプロ初勝利をマーク。故障を経験して体作りが進んだことで腕の振りもボールも力強くなった。エースの上沢直之が骨折による長期離脱となっただけに、その穴を埋める存在として期待したい。投手でもう1人面白い存在になりそうなのがドラフト5位ルーキーの畔柳亨丞だ。二軍ではここまでリリーフとして8試合、8イニングに登板して防御率は2.25、12奪三振と見事な成績を残している。ストレートはコンスタントに150キロに迫り、コントロールも安定している。高卒1年目だけに無理使いは禁物だが、高校時代からたくましい体格で体作りが進んでいる印象があっただけに、早くから一軍に抜擢するのも面白いだろう。

 日本ハムの野手で1人挙げたいのが五十幡亮汰だ。4月に椎間板ヘルニアの手術を受けて長期離脱となっているが、リハビリが順調であれば後半戦には戦列に戻れる可能性は高い。前述したように強打者タイプの若手は台頭しているだけに、ここに抜群のスピードと守備力のある五十幡が加われば、野手陣の将来は一気に明るくなるだろう。

 かつて星野仙一監督時代の中日は優勝争いから脱落すると、積極的に若手の抜擢と血の入れ替えを行い、長期低迷を防いでいた印象が強い。今年の中日、日本ハムともに後半戦にはそのような思い切ったやり方でチームを作り替えることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。