大谷翔平が活躍しても所属するエンゼルスが勝てない。チームの未来が見えない中で、トレード期限の締め切り前までに動く可能性も浮上していたが、結果的には残留することとなった。

 しかし、大谷が「勝てるチーム」でのプレーを望んでいること、そして来季のオフにフリーエージェント(FA)となることもあり、エンゼルスの大谷に関する処遇については今後も議論が続きそうだ。

「エンゼルスがここまで負けるとは思わなかった。大谷、マイク・トラウト、アンソニー・レンドンをはじめメジャーを代表する選手がいる。解雇されたが名将ジョー・マドン監督の下、開幕時には上位進出の可能性も感じさせた。2002年の世界一からは強い時代が続いたが、あの頃の輝きが完全になくってしまった」(在米スポーツライター)

 エンゼルスは2014年シーズンを最後にプレーオフ進出から遠ざかっており、大谷が加入した18年から昨年まで4年連続で地区4位と苦しんでいる。だが、2002年にワールドシリーズを制し、07年からは3年連続にプレーオフに進出するなど、00年代はリーグを代表する強豪だった。ここ最近も低迷はしているが、チーム強化に力を入れていないわけではない。

「オーナーのアルテ・モレノ氏は野球好きで有名。必要と思えば思い切った投資をする。かつてアルバート・プホルス(当時カージナルズ)と10年総額2億4000万ドル(約324億円)の超大型契約を結んだ。資金力は飛び抜けてはいないものの、他球団に引けを取らない」(スポーツマネージメント会社関係者)

 今季もエンゼルスの年俸総額はメジャー30チーム中10位と上位のほうだ。だが、度々指摘される補強戦略の“拙さ”もあり投資が結果に表れていないのもご存知のとおり。今シーズンも開幕直後は好調だったが、5月下旬から14連敗を喫するなど、トレード期限前には残念ならが“売り手”に回ることになってしまった。

 先発右腕のノア・シンダーガード、抑えのライセル・イグレシアス、若手外野手のブランドン・マーシュを放出。チームは来季以降に備えるという状況になっている。

「(今回のトレードで)獲得した選手を見ても戦力強化にはつながりそうもない。チームの予算に余裕を作るための移籍なのが明白でしょう。大谷は23年オフにFAとなるが、まずは契約延長のために必要なお金を作り出す必要がある」(MLBアジア地区担当スカウト)

 大谷をめぐる今後のシナリオとしては3つある。FA前にトレードで他チームに放出されるか、またはエンゼルスと契約を延長するか、その2つでない場合は来シーズンのオフにFAとなり移籍先を探すかのいずれかだ。

 大谷の「ヒリヒリする9月を過ごしたい」という願望を叶えるにはトレード、もしくはFAでの移籍が自然な流れではあるだろう。だが、今やリーグの顔にも成長したエンゼルスが大谷を簡単に手放すとも考えらない。

「大谷が在籍してくれることで球団のメリットは大きい。今や日本ではエンゼルスを知らない人はいないほど球団の知名度は高くなっている。スポンサーも集まり、グッズなどマーチャンダイジングもMLBトップクラス。チームが勝てなくとも、マーケティングという部分で大きな戦力になる」(スポーツマネージメント会社関係者)

 また、大谷は投打の“二刀流”でプレーするチームを探さなくてはならず、他チームへの移籍は一筋縄ではいかない。起用法が特殊であるため、仮にトレードが起きるならシーズン中は難しく今オフとなる可能性が高いという見方もある。また、打撃では昨季ほどの活躍ではないが、今季は投手として素晴らしいパフォーマンスを維持している。トレード要員として価値があるうちに売るという考えが出てきてもおかしくない。

「他球団が大谷獲得に動く場合、難しいのは二刀流を希望した場合に投手編成を作り直す必要があること。通常5人の先発投手を中4日で回すが、もう1人増やして6人必要になる。前もって大谷がプレーすることを踏まえたチーム編成をしなくてはいけない。シーズン中の獲得は他の投手との絡みなど、準備期間がないので考えにくい」(MLBアジア地区担当スカウト)

 大谷の移籍候補の球団としては、ヤンキース、ドジャースなど勝てるチームの名前が挙がることが多いが、どのチームも戦力的には揃っており、そこに“二刀流”の大谷が入り込むのは難しい面もある。ただ単に強いチームに行きたいと言っても、大谷の獲得には大金も用意しなければならない。トレードを含め、“理想の移籍先”を見つけることは簡単ではない。

「最終的に本人が何を目指すか。二刀流を続けたければエンゼルスにいるのがベスト。勝ちたいのなら強豪チームを選ぶべき。イチローも勝つためにヤンキース移籍を選んだ。大谷はエンゼルスへの愛着があるだろうが、晩年にシアトルに戻ったイチローのように、最後にアナハイムへ戻れば良い。自分自身の本能に従うべき」(在米スポーツライター)

 大谷の進路については、シーズンが終わりに近づくにつれて再び盛り上がるのは間違いなさそうだ。先述したようにトレードで移籍するのであれば、今季のオフになる可能性が高いという指摘もある。シーズン終了後も大谷が“主役”の状況が続くだろう。