11月にカタールで開幕するサッカーW杯。大会を控え誰が代表メンバー入りを果たすのか各国で議論となっているが、強豪国ともなれば世界的なプレイヤーでも当落線上になってしまうことも少なくない。そこで今回は、もしかすると今年のW杯では代表メンバーから漏れてしまう可能性のある“大物”4選手の現状を紹介する。

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■マーカス・ラッシュフォード(イングランド代表)

 7歳から名門マンチェスター・ユナイテッドの下部組織に所属し、18歳でのトップチームデビュー戦でいきなり2ゴール、マンチェスター・ダービーでは最年少ゴールをマークし、華々しくキャリアをスタートさせたラッシュフォード。2017年にはヨーロッパリーグ優勝も経験し、2018年からはエースナンバーを任せられるなど、一気にスターダムを駆け上がっていった……。

 しかし、ここ数年はチームとともに大きくパフォーマンスを落とし、批判の対象に。2016年から負傷以外では招集され続けてきた代表チーム“スリー・ライオンズ”でも、1年以上呼ばれていない。指揮官ガレス・サウスゲイトは「やることはたくさんある」としつつ、「クラブで良いプレーをしていれば構想に入る。単純なことだ」と奮起を促しているが、大会まで残り3カ月と非常に厳しい状況だ。

 そんなラッシュフォードは今季開幕前、代表招集がなかったことを「夏にこんなに長い間休んだことはなかった。少しスイッチを切り替える時間が必要だったのかも」とプラスに捉えてシーズンへ臨んでいる。しかし、開幕2試合ともフル出場したが、絶好機を逃すなどゴールなし。そのプレーからは数年前の自信は感じられず、焦りからか強引にシュートを狙う場面も散見される。これまでのサウスゲイト監督の扱いを見るに、このままではメンバーから外れることは確実だ。大会まで残り3カ月。ワールドカップ出場だけでなく、自身のキャリアのためにも、とにかく今すぐにでも結果が必要だ。

■ポール・ポグバ(フランス代表)

 2013年に20歳でデビューした“レ・ブルー”で90キャップ以上を数え、中心選手として長く活躍してきたポグバ。2021年のUEFAネーションズリーグ優勝、そして何よりも2018年ワールドカップで世界王者になった。決勝戦で見せた衝撃的なパスやゴールで、母国に20年ぶりのトロフィーをもたらした。

 そんなポグバは、近年マンチェスター・ユナイテッドで度重なる負傷や去就問題に大きく揺れ、その巨大な才能のわずか一部しか発揮できていなかった。それでもフランス代表には継続して招集され、さらに今夏にはワールドカップを見据えてユヴェントスへの2度目のフリー移籍を決断するなど、連覇へ向けて着々と準備を整えているように思われた。

 しかし、セリエA開幕前に再び負傷。右膝半月板を痛めてしまった。幸い手術は回避できたようで、現在は5週間の保存療法で復帰を目指している。とはいえ、復帰は最短でも9月半ば。同月23日、26日のワールドカップ前最後の試合には間に合わないことが予想される。さらに大国らしく、フランスではオーレリアン・チュアメニやマテオ・ゲンドゥージといった同ポジションの若手選手も台頭しており、競争は激しい。コンディションに不安が残る中でポグバの経験を買うか、フレッシュな若手選手を選ぶか、決断はディディエ・デシャン監督次第だろう。まずは候補者リストに復帰するためにも、できるだけ早くピッチへ戻ってこなければならない。

■フィルミーノ(ブラジル代表)

 ユルゲン・クロップの下で最も才能を開花させた1人。サディオ・マネ、モハメド・サラーとの「フロントスリー」は世界中のクラブの脅威となり、2019年にはビッグイヤー、2020年にはプレミアリーグ優勝の主役に。新たなリヴァプール黄金期に欠かせない選手として、ファンからも愛されてきた。

 しかし近年、“セレソン”では状況が異なる。2021年のコパ・アメリカでは先発わずか2試合に留まると、そこから1年以上招集されていない。その原因は、世界最高レベルのポジション争い。リシャルリソンやガブリエウ・ジェズスが3トップのセンターに、右サイドはハフィーニャが定着し、左サイドには絶対的エースのネイマールが君臨。さらにフィリペ・コウチーニョの復活、アントニーやガブリエウ・マルティネッリら若手の台頭と、現チームで居場所がないのが現状だ。

 そしてリヴァプールでも、ディオゴ・ジョタやルイス・ディアスにポジションを奪われつつある。クロップやチームメイトの信頼は厚いものの、今夏にはダルウィン・ヌニェスといった強力なストライカーが加わったこともあり、スタメンで毎試合出番を得ることは難しくなっている。チームを活性化させるプレーや献身的な守備はどんな監督も欲しがるものだが、昨季リーグ戦5ゴールにとどまっていることもあり、わかりやすい結果を示してアピールすることも必要だろう。

■セルヒオ・ラモス(スペイン代表)

 正真正銘“ラ・ロハ”の生けるレジェンド。18歳でのデビューから絶対的な中心選手としてEURO連覇やワールドカップ優勝を支え、これまで築き上げてきたキャップ数は「180」。幾多のスター選手を生んできたスペインにおいて、歴代最多を誇っている。またレアル・マドリーでもチャンピオンズリーグ3連覇など、スターと呼ばれるような選手でもたどり着けないような栄光の数々を手にしてきた。

 だが彼も、ケガがキャリアにストップをかけることに。レアル・マドリー最後のシーズンとなった2020−21シーズン後半から、パリ・サンジェルマン初年度の2021−22シーズンの前半戦にかけて、およそ1年近くピッチから離れることに。その間に行われたEURO2020も欠場、最後の招集は2021年3月と1年以上呼ばれていない。

 ルイス・エンリケ監督はEUROでの選外を決断した後、「将来的にはまた代表に戻ってきてほしい」と期待の言葉をかけていた。そして日本でのプレシーズンを送った今季は、開幕から公式戦3試合すべてに先発出場。トロフェ・デ・シャンピオンではゴールも記録し、復活を猛アピールしている。36歳となった今でも、ベストコンディションであれば世界有数のディフェンダーであることは間違いない。残された時間はわずかだが、自身5度目のワールドカップへ滑り込めるだろうか。

(文・三上凌平)