GM職も兼ねる楽天・石井一久監督の来季去就に関して様々な噂が飛び交っている。

「チーム低迷の責任を取り、今季限りでは」という声も聞かれるが、GMとして今オフにはこれまで以上に動き、監督として来季のチームを優勝に導く……。そんな「大逆襲」のシナリオを描いているという。

 日米通算182勝を挙げるなど名左腕として活躍した石井監督は、現役引退後の2018年9月に楽天のGMに就任。西武時代にともにプレーした涌井秀章、浅村栄斗ら大物選手を次々と獲得すると、20年オフにはかつてのエースでヤンキースでも活躍した田中将大を復帰させた。GMとして積極的な補強で常にプロ野球界に話題を振りまいてきた。

「チーム編成に関しては素晴らしい手腕を発揮している。生え抜きのエース則本昂大、4球団競合の末にドラフト1位で獲得した早川隆久らと、自身が獲得した投手たちをミックスさせ豪華な投手陣を作り上げた。野手もロッテから鈴木大地、日本ハムから西川遥輝を獲得するなど適材適所の補強をした。GMとして良い仕事をしている」(在京球団編成担当)

 だが、思ったようにチームは成績を残せていない。監督を兼任することとなった昨季はリーグ3位となったが、クライマックスシリーズ(CS)のファーストステージでロッテに敗退。19年には同じくリーグ3位で、CSファーストステージで敗れた平石洋介監督を解任していたこともあり、監督を続投することには批判の声も上がった。今季もまだCS出場のチャンスは残されているが、ここまでBクラスの4位。監督2年目のシーズンも苦しい戦いとなっているが、来季もチームを指揮するという見方も強い。

「指導者経験なしに監督となったため、選手の能力をフルに発揮させられなかった。2年間の監督経験を経て自分一人では指揮できないことを学んだ。特に攻撃、守備面などは担当コーチに任せるなど、役割分担も少しずつだが明確化している。モチベーターとしては人一倍長けているので、やり方次第では結果につながるはず」(楽天担当記者)

「通常、新監督を招聘した場合は3年で一区切りと考える。これまで撒いてきたタネが3年目の来季に花開くと考えれば続投も妥当。石井監督の場合、GMとして平石監督を解任したことでハードルが高くなってしまった部分があった。また故障者や不調の選手が続出したのも苦しんでいる原因の1つ。普通に選手がそろえば負けるチームではない」(楽天関係者)

 このオフはグラウンド外でGMとしての手腕も問われる。ともにFA権を取得した田中、浅村の残留交渉。そして、森友哉(西武)、岩崎優(阪神)、西川龍馬(広島)など大物がこぞってFA権を行使する可能性のある移籍市場でどう動くかだ。

「チームの状況的に勝つには即戦力の選手を揃えるしか方法はない。まずはチームでFA権を取得した田中、浅村との契約延長が重要となる。2人とも石井監督への信頼度は高いので残留の可能性はある。また今オフはFA選手の争奪戦への参戦が確実視されている。加えて日本の他球団で実績を残した外国人選手の獲得もあるのではないか。“石井GM”の本領発揮となるはず」(楽天担当記者)

 これまでもオフでは“勝ち組”となってきた楽天だが、早期に結果を残すことを重要視する三木谷浩史オーナーも石井監督のGMとしての敏腕ぶりを高評価。両者の関係は良好とされており、これまで以上の戦力補強に動くことが予想される。

「先発投手は何人いても良い。ブルペンもクローザー松井裕樹につなぐ安定感ある投手が欲しい。森が正捕手、炭谷がバックアップになれば攻守に言うことなし。巧打の西川龍馬、長打が魅力の外国人が加入すれば弱点が見当たらない打線となる。今年のように故障者など欠員が出てもカバーできる。GMとして手腕の見せどころ、監督としては心配要素がゼロに近づく」(在京球団編成担当者)

「三木谷オーナーは勝利と人気の両方を重視する。Jリーグ・ヴィッセル神戸でもスペインの至宝、アンドレス・イニエスタ獲得に大金を注ぎ込んだ。仮にチームが勝てなくとも、世間にチーム名が広まればビジネス的に大正解とも考える。野球でも同様のことが言えるはず。アクシデントがあってもカバーできるように大型補強をするのではないでしょうか」(関西地区テレビ局スポーツ担当)

 また、監督として選手からの信頼も厚い。ノンビリとした性格がチーム全体の潤滑油にもなっており、雰囲気の良さは折り紙付き。9月8日のソフトバンク戦の後には、福岡市内のチーム宿舎で、選手、コーチ、チームスタッフから1日早い誕生日の祝福を受けた。選手からはナイキとティファニーがコラボした高額スニーカーをプレゼントされたという。「この球団で勝ちたい」と思っている選手が多いのは間違いなさそうだ。

「負けず嫌いの石井監督が最も勝ちたがっている。米国時代、自宅に関係者を招いて開催したテレビゲーム大会でも負けるのを嫌った。勝つまで続けて明け方になったこともある。ヤクルトや西武時代にトレーニングでやっていたサッカー・フットサルも本気でやっていた。現状の不甲斐なさに対して悔しさをを一番感じており、誰よりも勝利を望んでいる」(楽天担当記者)

 マスコミへの受け答えなどから「天然」「宇宙人」と形容されることもある石井監督。しかし勝負に対するこだわりは誰よりも強い。監督を兼任する以前からGMとして立てた周到なプランが頓挫したままで逃げ出すわけがない。「石井一久の大逆襲」を見せようと、今も色々と思考を巡らせているはずだ。