秋到来とともにJ1リーグは優勝&残留争いの正念場を迎える。最終節(11月5日)まで残り2カ月を切って各チームの“最終形”が固まってきた中、勝敗以外で気になるポイントのひとつに「外国人選手たちの去就」がある。すでに今夏に退団した選手もいるが、まだまだ今季限りで“お払い箱”となりそうな助っ人たちはいる。

 特に下位に低迷しているチームの助っ人たちは苦戦している。その一人が、G大阪のウェリントン・シウバだ。U−17ブラジル代表やプレミアリーグの名門アーセナルと契約した経歴を持つブラジル人アタッカー。2021年3月に来日したが、同年はリーグ戦21試合出場もスタメンは8試合のみ。

 背番号を28から11に変更して臨んだ今季も定位置は掴めず、5月8日の神戸戦で途中出場から待望のリーグ戦初ゴールを奪ったが、守備力に問題があり、ここまでリーグ戦出場11試合すべてベンチスタートでプレータイムは165分だけ。ボールテクニックを生かしたドリブル突破は魅力ではあるが、周囲との連携が噛み合わずに効果薄。今夏にファン・アラーノが加入したことで序列をさらに下げ、今季終了までの契約を延長する理由が見当たらない状況だ。

 残留争いに引きずり込まれた札幌は9月に入って今季初の連勝を飾ったが、依然として結果を残せていない助っ人FWが2人いる。1人目は昨夏に来日したスロベニア人FWミラン・トゥチッチ。1トップを張れる大型ストライカーとして期待されたが、昨季リーグ戦出場11試合(スタメン5試合)に出場して2得点に終わると、今季も信頼を掴めずにリーグ戦出場14試合(スタメン2試合)で無得点と苦しんでいる。

 もう1人、在籍3年目を迎えた愛称ドドのブラジル人FWドウグラス・オリヴェイラも、今季リーグ戦は途中出場7試合のみで1得点と結果を残せず。チームには今夏、韓国代表FWキム・ゴンヒが加入。20歳の“大器”中島大嘉もおり、例えトゥチッチとドドが控え扱いでも文句を言わない優等生であろうとも、来季も在籍する必要性は低い。

 湘南の34歳FWウェリントンはどうなるだろうか。身長186センチの高さが武器のブラジル人ストライカー。2013年6月に初来日して翌2014年にリーグ戦20得点を挙げて湘南のJ1昇格に貢献。その後、福岡や神戸、ブラジルでのプレーを経て2021年に7年ぶりに湘南に復帰してリーグ戦出場26試合(スタメン17試合)で6得点。迎えた今季もなかなか結果が残せず、町野修斗が成長したこともあって5月下旬から控えに降格した。9月7日の横浜FM戦を終えた時点でリーグ戦出場21試合(スタメン4試合)1得点のみとなっている。

 それでも同10日の清水戦で試合終了間際のラストプレーで執念の同点弾。引き続きベンチスタートからでも存在感を示してチームのJ1残留に貢献することができれば、来季もライトグリーンのユニフォームに袖を通す可能性が高まる。だが、年齢的には以前のように多くは望めず、助っ人としては物足りないことは確か。あとは契約条件次第だろう。

 G大阪所属のFWレアンドロ・ペレイラも微妙な立場だ。広島時代の2020年にリーグ3位の15得点をマークした実績を買われて2021年1月にG大阪に加入。身長190センチの高さと左右両足からの強烈なシュートで点取り屋として大きな期待を背負ったが、同年はリーグ戦24試合(スタメン15試合)で5得点と物足りない成績。仕切り直して臨んだ今季も片野坂知宏監督の求めるサッカーに適応できず、5月21日のC大阪戦では味方DFの昌子源と試合中に激しく口論する前代未聞の“仲間割れ”もあった。

 しかし、松田浩新体制となってからは見違えるような献身的プレーを披露。今夏に鈴木武蔵が加入し、来季は宇佐美貴史も復活予定の前線は人員整理が必要な状況ではあるが、残りの試合でチームをJ1残留に導く活躍、何よりゴールという結果を残すことができれば、来季も大阪にいるはずだ。

 上位陣では、鹿島のDFブエノが戦力になれていない。身体能力の高さを武器とするブラジル人センターバック。2014年に初来日して以降複数クラブを渡り歩き、母国でのプレーを経て昨夏に鹿島に復帰したが、リーグ戦出場は1試合のみ。チーム内のCB不足が指摘された今季も控えの立場は変わらず、ここまでリーグ戦7試合(スタメン4試合)の出場で、プレー自体も能力不足を露呈。クラブは新たなセンターバック獲得に動くはずだ。

 同じく、柏の万能型FWアンジェロッティも首脳陣およびサポーターの期待に応えられず。昨年1月にオルンガと入れ替わる形でチームに加入した昨季もリーグ戦出場10試合(スタメン4試合)で無得点だったが、今季もここまでリーグ戦出場13試合(スタメン1試合)で無得点。下部組織から多くの若手が台頭する中、日本に馴染めないブラジル人の居場所はない。

 また、広島在籍4年目のブラジル人FWドウグラス・ヴィエイラも、今季はリーグ戦出場9試合(スタメン1試合)のみ。少ない出番の中で3得点を挙げているが、唯一のスタメンだった9月10日の川崎戦は0対4の惨敗と印象は良くない。今季新加入のベン・カリファが能力の高さを見せており、序列は低い。

 能力的には申し分なくても退団危機と直面しているのが、名古屋のポーランド人FWシュヴィルツォクだ。強さと巧さを高次元で兼ね備えた点取り屋。昨年7月に来日し、昨季はリーグで14試合に出場(スタメン9試合)して7得点をマーク。ACLでもゴールを決め、ルヴァン杯優勝にも貢献し、新エースとして信頼を掴んでいた。しかし、昨年10月のACL・浦項戦後のドーピング検査で陽性と判定され、以降は暫定的な活動禁止状態が続いている。クラブとは2024年1月まで契約を結んでいるというが、正式な処分内容が発表されて来季も試合に出られなくなれば、高額な年俸を考えても契約解除となる可能性は高い。

 すでに今夏、神戸の元U−20ブラジル代表FWリンコンは期限付き移籍ながら母国に戻り、FC東京の元ブラジル代表DFブルーノ・ウヴィニは契約解除となった。彼ら同様にここまで期待に応えられていない助っ人たちにとっては、最終節までの約2カ月間はチームの勝利とともに自身の来季契約をかけた戦いにもある。果たして、生き残れるか。ここからの“逆転残留”に期待したい。(文・三和直樹)