今年のプロ野球ドラフト会議まで1カ月を切った。各球団最終候補の絞り込みの時期となったが、やはり注目が集まるのはドラフト1位の選手である。チームの将来を考えてもドラフト1位の選手が成功するかどうかは非常に重要と言えるが、過去5年間のドラ1選手がモノになっている球団はどこなのか、現時点での成績から評価してみたいと思う。今回はセ・リーグの6球団だ(成績は9月19日終了時点)。

■1位:ヤクルト
村上宗隆:542試合 537安打 159本塁打 428打点 40盗塁 打率.283
清水昇:178試合  8勝16敗1セーブ104ホールド 防御率3.13
奥川恭伸:20試合  9勝5敗0セーブ0ホールド 防御率3.57
木沢尚文:52試合  8勝3敗0セーブ8ホールド 防御率3.14
山下輝: 一軍出場なし

■2位:広島
中村奨成:70試合  26安打  2本塁打  10打点 3盗塁 打率.228
小園海斗:296試合 295安打 15本塁打 87打点 7盗塁 打率.269
森下暢仁:67試合  28勝18敗0セーブ0ホールド 防御率2.76
栗林良吏:98試合  0勝2敗68セーブ6ホールド 防御率1.02
黒原拓未:12試合  0勝0敗0セーブ1ホールド 防御率6.52

■3位:阪神
馬場皐輔:87試合  5勝3敗0セーブ19ホールド 防御率3.72
近本光司:528試合 626安打 31本塁打 170打点 118盗塁 打率.293
西純矢:14試合   7勝4敗0セーブ0ホールド 防御率2.97
佐藤輝明:263試合 238安打 43本塁打 143打点 16盗塁 打率.252
森木大智:2試合   0勝2敗0セーブ0ホールド 防御率6.23

■4位:巨人
鍬原拓也:73試合 5勝5敗0セーブ15ホールド 防御率5.73
高橋優貴:63試合 18勝24敗0セーブ2ホールド 防御率3.59
堀田賢慎:8試合  2勝3敗0セーブ0ホールド 防御率6.29
平内龍太:54試合 4勝5敗0セーブ12ホールド 防御率5.20
大勢:53試合   1勝3敗34セーブ8ホールド 防御率2.04

■5位:DeNA
東克樹:43試合   17勝14敗0セーブ0ホールド 防御率3.05
上茶谷大河:55試合 13勝18敗0セーブ0ホールド 防御率4.58
森敬斗:102試合   50安打 1本塁打 10打点 9盗塁 打率.211
入江大生:55試合  4勝5敗0セーブ7ホールド 防御率4.30
小園健太:一軍出場なし

■6位:中日
鈴木博志:104試合    6勝9敗18セーブ13ホールド 防御率5.30
根尾昂(投手):22試合  0勝0敗0セーブ1ホールド 防御率3.52
根尾昂(野手):129試合 40安打 1本塁打 20打点 0盗塁 打率.172
石川昂弥:51試合     37安打 5本塁打 20打点 0盗塁 打率.224
高橋宏斗:17試合     5勝6敗0セーブ0ホールド 防御率2.41
ブライト健太:一軍出場なし

 1位のヤクルトに関しては異論のある人はいないのではないだろうか。2017年シーズンは5位に大差をつけられる最下位で、投手陣はかなり苦しい状況だったが、清宮幸太郎(早稲田実→日本ハム)を抽選で外しても、投手に方針転換することなく村上に再度入札し、3球団競合で引き当てた。当時は投手に向かうべきという声も多かったが、結果としてこれが大成功となっている。

 その後も中継ぎの中心となっている清水と木沢を獲得している点も大きい。奥川が今年故障で戦力とならず、山下も未知数ではあるが、2017年に野手を優先したことをその後しっかり取り返した印象だ。また奥川以外の4人はいわゆる外れ1位、もしくは外れ外れ1位であり、そこからここまで主力が出ているというのも非常に珍しい現象と言えるだろう。

 2位の広島は抽選の強さと、一本釣りが成功している印象が強い。過去5年間で抽選を外したのは昨年の隅田知一郎(西日本工大→西武)だけ。中村、小園という高校生の人気選手を引き当て、その後の2年間は森下、栗林を単独指名で獲得している。この4人の中で中村は少し苦しんでいるものの、小園はショートのレギュラー、森下は先発の柱、栗林はクローザーとしっかり主力に定着している。この5年間の1位指名の選手がいなければ、現在のチームは相当苦しいことになっていたことは間違いないだろう。

 3位の阪神は近本、佐藤の野手2人が何よりも大きい。特に近本は藤原恭大(大阪桐蔭→ロッテ)、辰己涼介(立命館大→楽天)を続けて外した後の“外れ外れ1位”で、アマチュア時代の知名度の低さからファンから辛辣な声も多かったが、良い意味で期待を裏切って見せた。

 また佐藤も注目度が高い中で2年目のジンクスに大きくはまることなく、今年もしっかりと結果を残している。1番センターと、クリーンアップという重要な役割を担う選手を補強できた点は非常に大きい。また投手も西純矢が3年目の今シーズンは先発として結果を残し始めており、今年のルーキーである森木も早くも一軍デビューを飾っている。この2人がエース格となれば、近い将来広島を上回ることも期待できそうだ。

 4位の巨人と5位のDeNAは大きな差はない印象だが、現時点では大勢が大当たりした巨人がわずかに上と判断した。巨人は過去5年間すべて抽選を外しており、全員が投手という顔ぶれになっている。この中からは高橋が昨年ブレイクし、今年はそれ以外の4人が揃って一軍で試合に出場しており、それなりの成果は出ている印象だ。高橋が今年大きく成績を落としているのは気がかりだが、来年も5人がステップアップしていけば、今年大きな課題となった投手成績の改善も期待できるだろう。

 一方のDeNAも東が1年目に新人王を獲得し、上茶谷と入江もそれなりの成績は残しており、ある程度狙った通りの成果は出ている。そしてそれ以上に今後を左右するのが森と小園の2人だ。森は今年一軍出場を増やしており、小園も実戦デビューは遅くなったが素質の片鱗を見せている。森がショートのレギュラーに定着し、小園がローテーションの柱となることができれば、巨人を上回る可能性は高いだろう。

 ここまでの5球団と比べて少し寂しい印象なのが中日だ。鈴木は滑り出しこそ悪くなかったものの、制球難とフォーム改造に苦しみ3年目以降は一軍の戦力になっていない。期待の大きかった根尾も打撃に苦しんで投手転向となり、石川も度重なる怪我に苦しんでいる。昨年獲得したブライトも怪我で出遅れ、二軍でも結果を残せていないのが現状である。

 そんな中で大きな希望の光となっているのが2年目の高橋だ。1年目は苦しんだものの、今年はローテーションの一角に定着し、次期エース候補としての期待を抱かせるピッチングを見せている。ただチーム事情を考えるとやはり野手の底上げが大きな課題だけに、今後の石川とブライトの奮起に期待したいところだ。

 こうして見るとやはりヤクルトが頭一つリードしていることは確かだが、広島、阪神もしっかり主力を獲得しており、1位は狙い通りの補強ができている印象を受ける。またヤクルトは早々に村上をサードで育てるという方針を固めたことが奏功し、一方の中日は根尾のポジションを固定できずに4年目のシーズン途中に投手転向させるなど、入団後の育成方針も大きいように感じられる。他球団と少し離されている中日がこの5年の反省を生かして今後にどう繋げていくのか。最下位に低迷するチームの大きなテーマの一つとなりそうだ。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。