今年のプロ野球ドラフト会議まで1カ月を切った。各球団最終候補の絞り込みの時期となったが、やはり注目が集まるのはドラフト1位の選手である。チームの将来を考えてもドラフト1位の選手が成功するかどうかは非常に重要と言えるが、過去5年間のドラ1選手がモノになっている球団はどこなのか、現時点での成績から探ってみたいと思う。今回はパ・リーグの6球団だ(成績は9月19日終了時点)。

■1位:オリックス
田嶋大樹:85試合  30勝24敗0セーブ0ホールド 防御率3.50
太田椋:106試合   54安打 6本塁打 17打点 1盗塁 打率.182
宮城大弥:49試合  25勝12敗0セーブ0ホールド 防御率2.80
山下舜平大:一軍出場なし
椋木蓮:4試合     2勝1敗0セーブ0ホールド 防御率1.02

■2位:ロッテ
安田尚憲:354試合   273安打 23本塁打 159打点 3盗塁 打率.237
藤原恭大:152試合   92安打 8本塁打 36打点 18盗塁 打率.215
佐々木朗希:30試合  12勝6敗0セーブ0ホールド 防御率2.12
鈴木昭汰:29試合    2勝7敗0セーブ1ホールド 防御率4.52
松川虎生:66試合    30安打 0本塁打 14打点 1盗塁 打率.183

■3位:楽天
近藤弘樹:17試合    0勝4敗0セーブ1ホールド 防御率7.00(※退団)
辰己涼介:468試合   315安打 31本塁打 117打点 42盗塁 打率.241
小深田大翔:342試合  310安打 8本塁打 79打点 41盗塁 打率.267
早川隆久:42試合    14勝15敗0セーブ0ホールド 防御率3.86
吉野創士:一軍出場なし
※近藤は楽天在籍期間の成績

■4位:日本ハム
清宮幸太郎:352試合  207安打 38本塁打 119打点 6盗塁 打率.204
吉田輝星:57試合     3勝9敗0セーブ5ホールド 防御率6.19
河野竜生:69試合     6勝13敗1セーブ9ホールド 防御率4.07
伊藤大海:47試合     20勝18敗0セーブ1ホールド 防御率2.94
達孝太:一軍出場なし

■5位:西武
斉藤大将:22試合    1勝4敗0セーブ2ホールド 防御率7.71
松本航:83試合      29勝25敗0セーブ0ホールド 防御率3.96
宮川哲:122試合     4勝3敗1セーブ20ホールド 防御率3.93
渡部健人:6試合     1安打 1本塁打 2打点 0盗塁 打率.063
隅田知一郎:16試合  1勝10敗0セーブ0ホールド 防御率3.75

■6位:ソフトバンク
吉住晴斗:一軍出場なし(※引退)
甲斐野央:110試合  4勝7敗9セーブ33ホールド 防御率3.75
佐藤直樹:65試合   3安打 1本塁打 2打点 1盗塁 打率.081
井上朋也:一軍出場なし
風間球打:一軍出場なし

 セ・リーグのヤクルトほど頭一つ抜けたチームは不在という印象だが、オリックス、ロッテ、楽天の3球団は一軍の戦力になっている選手が目立つ結果となった。オリックスはやはり田嶋、宮城とローテーション投手を2人獲得できた点が大きい。田嶋は最初の2年間は少し苦しんだものの、3年目からは順調に成績を伸ばしており、今年は安定感が増した印象を受ける。

 宮城も高校卒ながら2年目に早くも大ブレイクし、今年も少し苦しんだ時期はあったものの2年連続で二桁勝利をマークするなど先発の柱と言える存在となった。太田が昨年から成績を落とし、山下も二軍で苦しんでいるが、ポテンシャルの高さは誰もが認めるところで今後の成長も期待できる。椋木もまずまずのスタートを切っており、全体的に見ても良い補強ができていると言えそうだ。

 ロッテはやはり佐々木朗希の存在が大きい。1年目は一度も実戦登板させないという方針に批判の声も多く、今年も休ませながらの起用となっているが、万全の状態であれば既に球界全体でもトップと言えるピッチングを見せるまでに成長している。来年以降、シーズンを通じて投げられる体力さえつけば、投手タイトルを総なめすることも期待できるだろう。

 佐々木以外の高校生3人はいずれも野手を指名。安田は一昨年から横ばい傾向で、藤原も故障に苦しむなど期待値からすると物足りなさはあるものの、それでもある程度の数字は残している。またルーキーの松川が早くも正捕手候補と言えるだけのパフォーマンスを見せていることも非常に大きい。彼ら3人が不動のレギュラーとなれば、オリックスを上回ることも十分期待できそうだ。

 楽天は辰己、小深田といずれも外れで指名したリードオフマンタイプの野手2人がレギュラーを獲得したことが大きい。特に辰己は年々成績を伸ばしており、センターを固定できたというのは大きなプラスと言えるだろう。少し気になるのが投手で指名した2人だ。近藤はわずか3年で自由契約となり、ヤクルトに移籍後に短期間ではあったものの活躍を見せている。また早川は投手では一番人気で1年目は9勝と期待に応えたものの、今年は成績だけでなく投球内容も悪化している印象が強い。現在の先発投手陣はベテランが多いだけに、早川の今後はチームにとっても重要であることは間違いない。

 4位とした日本ハムは伊藤の存在が大きい。1年目から侍ジャパンにも選ばれるなど大活躍を見せ、今年も2年目のジンクスにはまることなくしっかりと二桁勝利をマークした。同じく大学から1位指名でプロ入りした早川と比べても安定感は明らかに上であり、今後も先発投手陣の柱として期待できそうだ。そしてやはり今後の大きなカギを握っているのは清宮だ。昨年はプロ入り後初めて一軍出場がなかったが、今年は打率こそ低いもののホームラン、打点でキャリアハイを大きく更新する成績を残している。今後確実性も増して、不動の中軸になることができれば、上位の3球団を上回ることも期待できそうだ。

 西武は松本がローテーションの一角に定着し、宮川もブルペンに欠かせない存在となっているが、斉藤は故障で育成契約となり、唯一の野手である渡部が二軍でも今年成績を落としている点がマイナスとなった。隅田は勝敗ほど投球内容は悪くなく、来年以降成績を伸ばすことも期待できそうだが、やはり将来の中軸として期待された渡部を一人前にしないとチームの将来は明るくならないだろう。

 そして気になるのは最下位としたソフトバンクだ。直近で指名した井上と風間は現時点でどうこう言う段階ではないのはもちろんだが、それ以前の3年間も含めてとても成功しているとは言い難い。2017年に指名した吉住は既にユニフォームを脱いでおり、社会人出身の佐藤も二軍暮らしが続いている。この2人に関してはプロ入り前の他球団からの評価は決して高いものではなく、将来性と長所の部分を過剰に評価した印象は否めない。さらにこの5年以前を見ても、1位指名の選手で完全な中心選手になったのは2012年の東浜巨までさかのぼることになる。これだけ1位指名の選手が機能していなくても常に優勝争いをしてきたのは見事という他ないが、1位指名の戦略は少し見直しが必要ではないだろうか。

 セ・リーグに比べるとまだ結果が出ていない選手も多いだけに、5年後に評価するとまた違った結果となる可能性は高いが、やはりソフトバンクが苦しい印象は否めない。常勝軍団復活のために今後どのような戦略をとっていくのか。パ・リーグの大きな注目ポイントとなるだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。