サッカーW杯のカタール大会が開幕した。明日に初戦のドイツ戦を控える日本代表への期待が高まる中、水面下では“大会後”に向けての動きも始まっている。

 最も重要なことの一つに次期監督の選考があるが、ここへきて現在チームを指揮する森保一監督が続投する可能性が急浮上しているのだ。

 前回のロシア大会では決勝トーナメント1回戦で強豪ベルギー相手に大健闘したが、2点を先制した後に逆転され、ベスト16の壁に阻まれた日本代表。カタール大会では前回の雪辱を果たし、躍進を求める声が大きい。日本サッカー協会(JFA)も具体的な目標を8強と定め、森保監督も「(8強以上の)新しい景色を」とコメントしているが、今大会の結果がまずは重要となる。

「日本代表は前回大会、(3位決定戦で敗退した)東京五輪と国際試合で世界を驚かす戦いを見せている。目標として8強を掲げてもおかしくないが、強豪のドイツ、スペインと同組となった抽選は最悪だった。戦う前から負けることは考えたくないが、現実的にはグループリーグ突破は厳しいと言わざるを得ない」(サッカー関連スポーツライター)

 森保ジャパンはW杯アジア予選では苦戦したこともあり、監督を代えるべきとの声も多く上がった。しかし結果的に最終予選グループB組を2位で突破し、本大会出場権を獲得した。本大会へ向けてはW杯前最後の試合となったカナダ戦こそ敗れたが、9月の米国戦では完璧な試合運びで勝利(2対0)を収めるなど、チームは上り調子になっているようにも見える。

「守備面の安定感が出てきたのは大きい。2010年の南アフリカ大会でグループリーグを突破できたのも守備が強固だったから。しかし今大会の対戦相手を考えると守備だけでは勝ち上がれない。得点力ある選手の招集を期待したが、選出メンバーを見て落胆した人は多い。点が取れず面白くないサッカー、下手をすれば無得点で大会を終わる可能性もある」(在京テレビ局スポーツ担当)

 本大会のメンバー選考においては、海外組ではFW古橋亨梧、MF旗手怜央(ともにセルティック)、MF原口元気(ウニオン・ベルリン)。国内組ではFW大迫勇也(神戸)など、得点力ある選手が選考から漏れたことで疑問の声を上がった。

「『負けないサッカー』で結果を求めるているように感じる。やり方がハマれば南アフリカ大会のようにグループリーグを突破し、その先のベスト8進出も果たせるかもしれない。しかし結果が出たからといって、即座に森保監督続投とは限らない。近年JFA自体の求心力が低下している中、世間的にインパクトがある監督招集が必要な部分もある」(選手エージェント会社関係者)

 W杯開幕直前、一部マスコミが「JFAがW杯後の森保監督続投を視野に入れていること」を報じた。W杯8強を達成すれば文句なし、仮に届かなくとも一定の結果を残した場合には続投を要請する可能性もあるというが……。最近は日本代表の人気の低下が叫ばれ、単純に結果だけで決めるべきではないという声もある。

「今大会前は一時期の日本代表人気が嘘のように静かだった。サッカー人気低迷が顕著に見られJFAの経営を圧迫していた。日本代表を強化して世界の舞台で結果を出すことは重要だが、同時に人気復活も求められる。日本代表監督はJFAにとって最大の営業マンなので、監督選びは慎重に行われるはず」(在京テレビ局スポーツ担当)

「日本代表人気に頼りきりだったJFAは、時代に取り残された感がある。ビジネスモデルを急激に変えることはできないので、まずは世間的インパクトが大きい監督が必要ではないか」(選手エージェント会社関係者)

 これまで代表チームは外国人の監督が多く指揮してきた。初めて外国人として日本代表を指揮したハンス・オフト氏。自国開催となった2002年のW杯で監督だったフィリップ・トルシエ氏。現役時代には鹿島をJリーグ屈指の強豪に作り上げたジーコ氏。そして病で志半ばで職を辞したが世界的名将として知られるイビチャ・オシム氏……。各人ともに“個性”があり、選手たちとともに代表チームの歴史を彩ってきたのが外国人の指揮官だった。

 そして、今回も森保監督続投を視野に入れつつ、外国人監督も候補なのは間違いない。かつて横浜Fマリノスで指揮を執り、現在はセルティックの監督を務めるアンジェ・ポステコグルー氏との接触をJFA側も認めている。背に腹は変えられない状況の日本サッカー界だけに、どうなるか読むのは難しい。

 とはいえ、日本代表監督を日本人が務めるのは理想でもある。国民性を熟知した自国生まれの監督が掲げた戦術で戦うことで、「ジャパンズ・ウェイ」の構築につながる。そういう戦い方がレガシーとして受け継がれることで、日本でのサッカー文化も成熟するのは間違いないだろう。

「サッカー関係者の多くが日本人監督を求めているも事実。森保監督が続投しても文句は少ないだろうし、日本人指導者の中に素晴らしい人材は多い。しかし以前から続くJFAの経営状態の停滞は深刻。今も安心できないコロナ禍への対応もあり、トップを任される田嶋幸三会長は頭が痛いところ」(サッカー関連スポーツライター)

 チーム強化だけでなく、ビジネスやサッカー界の方向性を大きく左右する代表監督選び。JFA技術委員長の反町康治氏はW杯が終了するまでは次期監督についての話題は封印すると語ったという。様々な条件が絡み合って次期監督が決まるが、どうなるのか。まずは日本代表のカタールでの戦いに注目したい。