プロ野球・巨人が11月15日、松田宣浩と長野久義の入団会見を行った。来年は松田40歳、長野38歳のシーズン。選手寿命が延びたとはいえ、珍しい新戦力の発表だった。

「原辰徳監督は、この2人に来季41歳になる中島宏之を加えて『(ほぼ)40歳トリオ』とし、『若々しいプレーを』と言っていましたが、戦力としては無理がありますよね」

 と、ベテラン記者は語る。まず、長くソフトバンクの中心選手として活躍した松田の今季の出場は自己最少の43試合。球団は構想外としたが本人は現役続行を目指し、巨人が声を掛けたという。

「松田は昨オフ、球団史上最大タイの年俸3億円ダウンを受け入れて契約してましたよね。球団が引退→コーチ就任という道筋を示したのを本人が受け入れなかった訳です。ムードメーカーとしては期待できますが、1年前の時点で優勝を狙う球団が戦力外とした選手です」(前出のベテラン記者)

 そして、FAで巨人にやってきた丸佳浩の人的補償として広島に移籍し、今回、無償トレードで帰ってくる長野。日本ハムとロッテの指名を拒否し、3度目のドラフトで巨人から指名されて入団した経緯から“ジャイアンツ愛”の印象が強いが、今回の復帰にはいろいろな意味があると言われている。

「タダで手放すのだから広島は戦力外と考えている訳ですが、単なるクビではなく、ジャイアンツ愛に引っ掛けて巨人に戻すことで、選手を大事に扱う球団だってアピールになりますよね」(同)

 巨人のほうも、かつて長野がつけていた背番号7を彼に戻し、選手思いの球団という印象を残した。ウィンウィン?

「長野も松田同様、戦力以外の部分での期待が大きいでしょう。人が良く、気配りの達人と言われてますから、人間関係の潤滑油としてね」(同)

 長野はポスト原と見られている阿部慎之助ヘッドコーチの派閥なので、近い将来、誕生する阿部監督と選手との間を取り持つ人材として期待されている、との声もある。

「それ以前に来季、件のスキャンダルで要注意人物となっている坂本勇人の“お守り”役を期待されているはず。坂本は長野を兄貴分と慕ってますから。飲んでも乱れない長野に対し、坂本の飲み癖の悪さは有名。坂本が荒らしたところを長野が謝って歩く関係でしたからね。そんな坂本の打力を捨てたくない原監督は、長野に面倒を見てもらい、坂本に気持ちよく働いてほしいはず」(球界関係者)

 そういえば今オフのFAの大物、西武の森友哉捕手のオリックス移籍が決まったが、前出のベテラン記者はこう語る。

「巨人も取りにいってましたが、はなから関係者が『敗色濃厚』と言ってました。水面下で動いたけど相手にされなかったということでしょう」

 FAの大物は巨人入りが当たり前という時代は、とうに終わったという。

「高校生のアンケートで全国的に人気があるのはソフトバンク。セ・リーグで人気なのはヤクルト。両方とも強くて明るい印象だそうで、若い世代に巨人はブランドじゃなくなっているんですよ」(同)

 余計なお世話だが、巨人の補強はこれで大丈夫なのか。会見での原監督が空騒ぎに思えてならない。(渡辺勘郎)

※週刊朝日  2022年12月2日号