サッカー日本代表は23日、カタールW杯のグループリーグ初戦で強豪のドイツ代表に2対1で逆転勝利を収め、日本中を歓喜の渦に巻き込んだ。

 ゴールを決めた堂安律、浅野拓磨など試合で活躍した選手がスポットライトを浴びているが、それ以上にこの試合で注目を集めたのが、かつて日本代表で活躍した本田圭佑だった。自身も選手として2010年の南アフリカ大会から3大会連続で出場し、全ての大会でゴールを決めた“W杯男”でもあるが、今回は解説者として中心人物になろうとしている。

 本田は今大会の全64試合を無料生中継するインターネットテレビ局「ABEMA」のGM(ゼネラルマネージャー)を担当。ドイツ戦で解説者デビューを飾ったが、戦術的な分析はもちろんのこと、一部の選手を「さん付け」で呼んだことや、時折感情が溢れ“素の声”が飛び出す独特の解説はツイッターなどSNS上で話題となり、早くも「解説者・本田」のファンが急増している。

「選手としては“オラオラ感”を出していたのは誰もが知るところ。今は実業家としても多彩な才能を発揮している。これまでも公の場で冷静かつ辛辣な発言をすることも目立った。内容は至極真っ当でも言い方がストレートの場合が多く、好き嫌いが分かれるタイプでもある。解説をした際に、悪い方向に出ることも予想されていた」(在京テレビ局スポーツ担当者)

 サッカー選手としての優れた能力とともに、歯に衣着せぬ発言、また奇抜なファッションでも注目された。特に印象に残ったのは先日、現役引退したフリーキックの名手である中村俊輔に対し、試合中に「オレが蹴る」とキッカーになることを主張したシーンだろう。サッカーに対しての自己主張が強いのは知られており、「解説者向きではない」という声も聞こえていた。

「試合が始まると、SNS上などでは本田に対する好意的な意見が多くみられるようになった。特に選手の呼び方が話題に。自身が一緒にプレーしたことある吉田麻也、長友佑都などは呼び捨て。そうでない選手は年下であっても『さん』付け。選手との距離感、敬意の両方を感じさせてくれた」(サッカー雑誌編集者)

「本来ハートが熱く、チームメイト思いの良い奴。日本に対する愛情も深く、国歌斉唱時に心を込めて歌うのは日常茶飯事となっていた。ドイツ戦でも逆転後『あとは守るだけっすね』と感情を露わに発言していた。いつもは意識的に冷静を装っているが、本当の本田圭佑が出ていました」(欧州在住サッカーライター)

 ドーハの悲劇の地で強豪ドイツに勝ったことで、代表チームは国民のハートを鷲掴みにした。同時に本田の人間性が中継を通じて伝わってきたことが話題になった。「冷酷」「クール」というイメージも多かったはずだが、「感情豊かな男」と印象が覆された人も数多いはずだ。

「画面に映り込んでいない局面まで、視聴者にわかりやすいように解説していた。昔から理路整然と筋道を立て相手に伝わりやすく話すことに長けていた。ハーフタイムのロッカーでは試合展開によって感情的になりやすい。しかし(本田は)常に冷静沈着、後半に向けて戦術を徹底させるように話している姿を見かけた。今考えると当時から解説者、批評家のようだった」(日本サッカー協会関係者)

 感情的な姿とともに、試合の解説では理論派として分析力の高さも発揮。ABEMA中継を通じて異なった2面性が伝わってきたことで、改めて本田の魅力が広がり始めている。

「(SNSで)2010年南アフリカ大会前に流行った『本田△』をいくつか見かけた。12年前に流行ったワードが蘇ったのは、本田の注目度が高くなっている証拠。大会前は過去の人扱いもあったが、再び注目度の面で復活を見せている。本田自身の今後のビジネスにも追い風になるはず」(サッカー雑誌編集者)

『本田△』とは、当時のエースだった本田を讃えた「本田さんかっこいい」が「本田さんかっけー」、「本田三角形」、「本田△」と派生したもの。ドイツ戦の歴史的勝利を盛り上げた解説者・本田が、幅広く視聴者に受け入れられ、かつて流行った言葉が再び脚光を浴びた。

「日本代表戦はオワコン扱いされ、W杯予選は放映権も絡み地上波放送も行われないほど。ABEMAが今大会の全試合無料放送を発表した際には、ネガティブな見方もあったが風向きは明らかに変わった。日本戦のみならず、サウジアラビアが優勝候補アルゼンチンを撃破した試合も大きな話題になった。今後も同様のケースが考えられる」(在京テレビ局スポーツ担当者)

「ABEMA」の視聴者も日本代表戦が行われた23日に開局史上最高を記録するなど、本田の解説はこれからも勢いを増しそうだ。

「ドイツ戦は地上波のNHK総合でも生中継され、従来同様の堅実なものが見れた。安定感があって年配者などには変わらぬ人気のはず。ABEMAはネット配信の特性を活かし、老若男女の幅広いターゲットを狙っている。その中で本田の果たした役割は大きい。今回の評判の高さもあり、次戦以降ABEMA視聴者が増えるのは間違いない。W杯後のサッカー中継の流れすら変わりそうな感じもある」(サッカー雑誌編集者)

 初戦で大金星を挙げたものの、グループリーグ突破はまだ確定してない代表については「一喜一憂せずに次につなげてほしい」と選手時代と同じく冷静に状況を見つめ、周囲の空気をしめることを忘れない本田。これまではプレーで日本のファンを魅了してきたたが、今大会は選手の気持ちを忘れない解説者としてファンを盛り上げてくれそうだ。