オリックスの吉田正尚が、26年ぶりの日本一を置き土産にメジャー挑戦する。球団はポスティングシステムによるメジャー挑戦を容認。ヤンキース、マリナーズ、レッドソックス、ジャイアンツなど複数の球団が調査に乗り出しており、争奪戦に進展する可能性が高い。

 米国で取材するスポーツ紙記者は、「吉田正のスタッツで評価されているのはコンタクト能力の高さです。2度首位打者を獲得するなど、最近3年間は毎年3割3分を打っている。フルスイングが持ち味ですが三振が少なく、巧打者という評価です。欲を言えば長打力が物足りないという感じですね。NPBでシーズン30本塁打を一度もクリアしていないので、メジャーでは20本に到達できるか。守備と走塁はメジャーの標準以下なので、アベレージヒッターで活路を見出したい」と分析する。

 メジャーに挑戦する日本人選手は珍しくない時代だが、投手と野手で市場価値が分かれる。投手はダルビッシュ有(パドレス)、田中将大(楽天)を筆頭に評価を高めた選手が多い中、野手は苦戦するケースが多い。日本では球界屈指の強打者、巧打者として活躍した選手がメジャーでは通用していない現実がある。秋山翔吾(広島)は西武で安打製造機として活躍したが、メジャーでは2年間で通算打率.224、0本塁打、21打点。外野の守備能力は高く評価されたが、長打力に欠けた打撃で外野の定位置を確保できなかった。侍ジャパンで4番を務めた筒香嘉智も2019年オフに米国に渡ったが、メジャーに定着できていない。150キロ後半の直球への対応が課題とされており、持ち味の爆発力が影を潜めている。

 一方、日本人投手の評価は高い。ソフトバンクのエース・千賀滉大がFA権を行使して今オフにメジャー挑戦の意向を表明。ヤンキース、レッドソックス、メッツ、パドレス、ジャイアンツ、マリナーズが獲得の候補球団として米国で取り上げられている。三振奪取能力が高い上に、先発だけでなく救援でも実績十分のため起用法の幅が広い。

 メジャーのスカウトは「日本人投手は宝の山。クォリティーの高い投手が多い」と高く評価した上で続ける。

「ナンバーワンは山本由伸だね。変化球が多彩な上、全ての球種がウイニングショットになる。直球も力強いし、制球もいい。彼はメジャーでもエース級の投手になれる。あと、DeNAの今永昇太も面白い。故障で活躍できていないシーズンが続いたが、コンディションが整えば、間違いなくメジャーで2ケタ勝利を勝てる力は持っている。直球は常時150キロ出るわけではないが、キレがあるので通用しないとは感じない。四球で自滅するタイプでなく、クレバーな投球スタイルで打者を抑える術を知っている」

 今永は新人の16年から先発ローテーションで稼働し、19年に自己最多の13勝をマーク。その後は左肩の故障などで20、21年と5勝に終わったが、今年は3年ぶりの規定投球回に到達し、11勝4敗、防御率2.26の好成績をマーク。6月7日の日本ハム戦では球団史上52年ぶりのノーヒットノーランを達成した。1投球回あたり何人の走者を出したかを表す数値であるWHIPはリーグトップの0.94と抜群の安定感を誇り、先発投手が6回以上を投げて自責点3以下の時に記録されるクォリティースタート(QS)もリーグ3位の76.2%をマークしている。

 DeNAにとってエースの今永はV奪回に不可欠な存在だが、来年の活躍次第では海の向こうの評価がさらに高まりそうだ。(今川秀悟)