今オフのストーブリーグで最も活発に動いているのが、中日だ。

 立浪和義監督が就任した今季は6年ぶりの最下位に低迷。最近10年間で9シーズンがBクラスとファンの期待に応えられないシーズンが続いている。指揮官は現有戦力で戦う限界を感じたのだろう。チームを抜本的に改革しなければ、生まれ変われない。クリーンアップを務めた阿部寿樹を放出し、楽天から涌井秀章を獲得。チームの顔だった京田陽太とDeNA・砂田毅樹の交換トレードも成立した。

 京田は今季攻守に精彩を欠き43試合出場にとどまったため、「トレード要員」という見方が多かった。だが、阿部は今季チームで日本人トップの57打点をマークしている。貧打の中日打線で核となっていた選手だけに、トレードで手放すことに疑問の声が少なくないが、中日を取材するスポーツ紙記者は違った見方を示す。

「落合博満前監督の黄金時代に象徴されるように、中日が強い時は投手力がしっかりしている。今季のチーム防御率3.28は決して悪い数字ではないが、先発ローテーションが揃わずに苦しい時期が多かった。涌井が加入することで大野雄大、柳裕也、小笠原慎之介、高橋宏斗、松葉貴大と6枚が固まる。涌井は36歳でピークを越えたとささやかれますが、直球の球威を取り戻しており、スタミナも健在です。広いバンテリンドームできっちり試合を作る術は持っている。砂田の補強も効果的です。救援陣の左腕は手薄で、福敬登は黄色靱帯骨化症の手術を受けて実戦復帰まで時間がかかる。DeNAでセットアッパーとして活躍していた砂田を獲得できたのは大きい」

 外国人補強も積極的に動いている。ミート能力が高いソイロ・アルモンテが3年ぶりに復帰し、内外野守れるユーテリティープレーヤーのオルランド・カリステを獲得。さらに、アリスティデス・アキーノと契約を結んだことを今月28日に発表した。アキーノは2019年に1試合3本塁打を放つなど19本塁打をマーク。メジャー通算244試合で打率.211、41本塁打、108打点の成績を残している。待望の長距離砲に掛かる期待は大きい。

 他球団の編成担当は、生まれ変わった中日への警戒を強める。

「近年の中日は助っ人の外国人野手が期待外れの成績に終わり、ビシエドに負担が掛かっていた。アキーノ、ビシエド、アルモンテが中軸に並ぶようだと破壊力が一気に増す。今季最多セーブのタイトルを獲得した守護神のライデル・マルティネス、最優秀中継ぎ投手に輝いたジャリエル・ロドリゲスの2人は勝利の方程式で稼働してきたので、立浪監督が外国人枠をどう使うか。春季キャンプから動きを注視しなければいけない」

 ドラスチックな改革には痛みが伴う。ただ、京田は遊撃・土田龍空の台頭で厳しい立場に置かれていた。打撃で試行錯誤を繰り返し、このまま中日にいても出場機会を得るのは厳しかっただろう。阿部も故郷の東北に本拠地を置く楽天でポイントゲッターとしての期待が掛かる。日本ではトレードにマイナスイメージがまだ残っているが、メジャーでは下位に低迷している球団が積極的にトレードを敢行し、主力を放出してチームを再建することが日常だ。強竜復活へ。立浪監督の新たな挑戦が始まる。(今川秀悟)