ともにトレード移籍となった江越大賀(阪神→日本ハム)、阿部寿樹(中日→楽天)。そして、中日に復帰した助っ人のアルモンテ、日本ハムとの契約報道があったアリエル・マルティネス(前中日)……。今オフの補強で“効果的”になりそうな雰囲気を漂わせているのが4選手だ。

 各球団主力クラスがFA権を保持して迎えた今オフだったが、これまで権利を行使して移籍したのは森友哉(西武→オリックス)だけ。実績のある選手の多くが残留し、静かなストーブリーグにも感じるが、トレードなどで積極的に補強を敢行したチームも多い。

 活発に動いたチームの一つが新庄剛志監督率いる日本ハム。長年チームを支えた“安打製造機”近藤健介がFA権を行使しての移籍が濃厚との見通しもあるため、各球団のバックアップ選手を中心に積極的な補強を行っている。

 10月18日には、渡辺諒、高浜祐仁両内野手との2対2の交換トレードで、江越、斉藤友貴哉を獲得。両選手ともに大きな戦力になる可能性を秘めているが、江越については「ボス(新庄監督)からも名前が挙がっていて、気になっている選手という話は以前からあった」と稲葉篤紀GMが語るなど、新天地での飛躍が期待されている。

「江越の獲得を第一に考えたトレード。稲葉GMのコメント通り、新庄監督が惚れ込んでいる。(江越の武器でもある)スピードと肩はセンスの部分もあるので鍛えようがない。打撃も長打力があり、大化けできる可能性は十分。自身の現役時代を照らし合わせている部分もあるはず。中堅のレギュラー候補です」(日本ハム担当記者)

 29歳の江越は2014年のドラフト3位で阪神入り。50m5秒台、遠投120m超を誇る俊足強肩の右打者。阪神でも「ロマン砲」として活躍が期待されていた。プロ2年目の2016年には4試合連続のホームランを記録するなど実力の片鱗は見せていたが、その後は低迷。今季は一軍でわずか24試合の出場にとどまっているが、その潜在能力を評価する声は多い。

「打撃練習では甲子園の外野席上段に軽々と叩き込むなど、飛距離はチームトップクラス。キッカケをつかめば、本塁打王争いできる打者にもなれる。真面目で好かれる性格なので、日本ハムでの活躍を誰もが願っている」(阪神関係者)

 江越とともに右の大砲として期待されているのが、中日を戦力外となったマルティネス。現状、正式に入団は発表されておらず不透明な部分はあるが、当初の報道どおり日本ハムに加入となれば大きな戦力になる可能性を秘める。

「中日でクリーンアップを任されたほどの強打が持ち味。本来は捕手だが内外野も守ることができ、パ・リーグにはDHもある。右打ちの強打者が欲しい日本ハムにとっては補強ポイントと合致する。NPBでの実績もわかっている分、ハズレる心配も少ない。(入団となれば)江越とともに強力打線が組める可能性がある」(日本ハム担当記者)

 マルティネスはキューバ出身で育成契約からスタートして中日には5年間在籍。今季は82試合に出場して打率.276、8本塁打、24打点の成績をマークした。捕手としては強肩でブロッキング能力に優れている。日本ハムは正捕手が定まらない状況もあり、場合によっては捕手としても起用できる。年齢も26歳と若いのが魅力だ。

 一方、毎年のように大型の補強を繰り返してきた楽天は、先発ローテーションの一角としてチームの顔になりつつあった涌井秀章とのトレードで阿部を獲得した。

 阿部は15年のドラフト5位で社会人・ホンダから中日に入団。本職の二塁に加え、一塁と三塁、そして今季は左翼も守ったユーティリティープレイヤーヤーだ。今季は133試合に出場し、打率.270、9本塁打、57打点とレギュラーとして活躍。新天地でも主力選手としての役割が期待される。

「涌井は石井GM自ら望んで獲得しただけに、(放出については)誰もが驚いた。楽天は投手力が充実した反面、攻撃面では右打者不足が目立った。来季は監督としては3年目、優勝という結果を求められる中で多少の痛手には目をつぶったのだろう。阿部は勝負強い好打者で、チームの得点力アップは確実でしょう」(楽天担当記者)

 全国的な地名度はない阿部だが、中日ファンからは絶大な信頼を勝ち得ていた。「マスター」と呼ばれ愛された男の放出には、SNS上などで反対意見が相次いだ。楽天にとってはリーグ制覇に向け大きな戦力を手に入れたことになる。

 一方、阿部が抜けて“打力の低下”が懸念された中日は、かつてチームでプレーした助っ人を呼び戻した。

「不気味なのは中日復帰のアルモンテ。前回在籍していた時には横浜で場外弾を放つなど、飛び抜けたパワーを発揮していた。30本塁打を打つ可能性もある。スペイン語しか話せない部分もビシエドがフォローするので心配ない。肉体的衰えさえなければ、長打力不足の中日にとって救世主になれる」(在京球団編成担当)

 アルモンテは中日では18年から3年間プレー。通算で打率.316(876打数277安打)、31本塁打、131打点の結果を残した。20年シーズン限りで退団し、その後は韓国リーグを経て、今季はメキシコリーグでプレー。打率.322、27本塁打、95打点と好成績を残している。日本の野球には慣れているだけに、来季は古巣でこれまで以上の活躍を見せてくれるかもしれない。

「FAという派手な補強が注目されるが、トレードや助っ人との再契約も見逃せない。日本ハム、楽天、中日の編成担当者は適材適所の補強を敢行した。これらの選手がチームにハマり結果を出せれば、両リーグとも勢力図が大きく変わるかもしれない」(在京球団編成担当)

 今オフは巨人が“FA補強解禁”という情報もあったが、残留が相次ぎストーブリーグは活発化することはなかった。その一方で、トレードが6件成立するなど、地道に来季へ向けての戦力補強に動くチームも現れた。ここで触れた4人は来シーズン大きな戦力となれるのか。加入したチームは今季Bクラスに低迷しているだけに、チーム躍進のために活躍が期待される。