山口俊(前巨人)の獲得に手を挙げる球団は現れるのだろうか。

 山口と同じく昨シーズンのオフに戦力外となり、現役続行を望んでいた金子千尋(前日本ハム)、平田良介(前中日)ら実績のある大物が引退を発表した中、山口の去就に注目が集まっている。

 山口はDeNAからFAで巨人に加入して3年目となる2019年に最多勝、最多奪三振、最高勝率のタイトルを獲得し、翌年にメジャーリーグに移籍。しかし、トロント・ブルージェイズに在籍した2020年には17試合にリリーフ登板して、防御率8.06と苦しむと、翌シーズンのキャンプ前にDFA(事実上の戦力外)に。その後、サンフランシスコ・ジャイアンツとマイナー契約を結んだが、そこでも結果を残せず、2021年6月に古巣である巨人に復帰した。

 巨人ではそのシーズンこそ、一軍で15試合に先発登板して防御率3.56とまずまずの数字をマークしたが、昨年は左膝の故障もあり、一軍での登板は1試合のみ。オフに自由契約となった。

「コロナ禍で各球団の経営状況が打撃を受けたことが影響して、戦力外通告をされた選手に対して、他球団からの評価が一段と厳しくなっている。従来のように過去の実績や名前で期待値を込めて獲得をする余裕がなく、今の実力のみをシビアに評価している」(在京球団編成担当)

「対戦経験の多いセ・リーグ球団からの評価は高いと言われていた。例えば右投手が少ない古巣のDeNA、リーグ2連覇中ながら先発には苦労しているヤクルトなどは獲得の可能性があると思われた。また球威のあるタイプなのでパ・リーグ向きとも言える。獲得球団が現れないのは意外でもある」(在京キー局スポーツ担当者)

 今月8日には自身のインスタグラムで「まだまだ諦めずに頑張ります! もう1度奮い立たせます!」と綴り、改めて現役続行の意欲を示した。だが、キャンプインまでは残り2週間ほど。どの球団もチーム編成はほぼ固まっており、ここから所属先が見つかるかは非常に厳しい情勢だが……。

「現役続行に関しての思いは強く、年末年始もハードトレーニングを行なっていたという。お酒好きで気を抜くと体型に変化がでてしまう選手。身体はかなりシェイプされており、モチベーションの高さが伝わってきた」(巨人担当記者)

 かつて起こしたグラウンド外でのトラブルがあり誤解されやすい部分もあるが、野球に対しては真摯に向き合っている。春季キャンプでは最後までグラウンドに残ってボールを追う姿もよく見られた。野球人生の正念場に差し掛かったことで、必死さを取り戻しているのは間違いない。

 また、「近年の成績を見る限り、NPBで活躍できる可能性は低い」という声も聞こえるが、まだまだできるという評価は意外と多い。

「ボール自体は悪くない。以前は荒れ球が持ち味で力で抑え込むタイプだったが、持ち球を駆使して目先を変えることもできるようになった。制球力も年齢とともに上がっている。リリーフと先発の両方をできるのも魅力。チーム状況によっては手を挙げる球団が出てくる可能性はある」(巨人担当記者)

「今は声がかからなくともキャンプイン、オープン戦と進むにつれ様々な動きが出る。故障者などは必ず出るので、そうなった時に声がかかる可能性はある。支配下選手枠に余裕がある球団もあるので早い段階で獲得球団が現れても不思議ではない」(在京球団編成担当)

 今オフには松田宣浩(前ソフトバンク)が巨人と契約するなど、グラウンド外での影響を加味してベテランが契約を勝ち取るケースもあるが……。

「松田や、広島から巨人へ復帰した長野久義のような役割は誰も期待していないのではないか。求められているのはチームの勝利に直結する結果だけ。先発ならば貯金を作り、リリーフならばチームトップクラスの登板数。そのくらい見込めなければ獲得する価値はない」(在京キー局スポーツ者)

 改めてだが、キャンプインまでは残りわずか。かつて横浜、巨人で圧倒的な投球を見せた剛腕のキャリアはこのまま終わってしまうのか。今後の動向に注目したい。