ブルージェイズ傘下の3AからFAとなっていた筒香嘉智がテキサス・レンジャーズとマイナー契約を結んだ。筒香は2月のスプリングキャンプに招待選手として参加し、開幕ロースター入りを目指す。
メジャー挑戦3年目の昨季はパイレーツでクリーンアップの一角として期待されたが、50試合出場で打率.171、2本塁打、19打点。腰痛の影響もあり本来の力を発揮できず、8月に自由契約に。マイナーで計38試合出場し、打率.301、7本塁打、30打点の好成績を残したが、メジャー昇格はかなわなかった。オフの去就が注目されていたが、筒香が決断した道は米国でマイナー契約だった。
スポーツ紙記者は、「日本の複数球団が獲得に興味を示していました。メジャーでは思うような結果を残せなかったが、日本球界ではまだまだ十分に通用する。シーズンを通じて試合に出続ければ30本塁打は固い。31歳と衰えがくる年齢ではないですしね。ただ、筒香がメジャーで成功したいという思いが強かった。子供の頃から憧れていた舞台ですし、あきらめきれないのでしょう」と語る。
筒香に限った話ではない。日本人野手がメジャーで活躍する道は険しい。西武で2015年にNPB最多記録の216安打を樹立するなど最多安打を4度、首位打者を1度獲得した秋山翔吾も19年オフに筒香と同じタイミングでメジャーに挑戦。レッズに移籍したが、長打力不足がネックとなり外野のレギュラーをつかめなかった。昨年の開幕ロースターから外れて退団し、パドレス傘下からメジャー昇格を目指したがかなわず、日本球界復帰を決断。シーズン途中の6月に広島に電撃入団した。鈴木誠也もカブスに移籍1年目の昨季は111試合出場で打率.262、14本塁打、46打点。左手薬指を負傷して1カ月戦線離脱するなど、試練を味わった。
メジャー昇格を目指す筒香だが、置かれた状況は厳しい。長打力は大きな魅力だが、速い球への対応が課題とされ、確実性に欠ける。
米国では一塁、指名打者で起用されるケースが多いが、レンジャーズは一塁にネイト・ロウ、指名打者にブラッド・ミラーがいる。かつてレイズで筒香とチームメートだったロウは昨季打率.302、27本塁打、76打点をマーク。今年も主軸として期待が大きい。ミラーは21年に20本塁打をマーク。三振が多く、確実性が高い選手ではないが長打力が魅力の選手だ。共に左打者で筒香と重なる。レギュラーが固定できていない左翼でチャンスをつかみたい。
いばらの道にあえて飛び込む筒香に対し、SNS上では「結果を出すのも大事だけど、筒香の生き方に尊敬する。悔いが残らないように最後までやりきってほしい」、「日本に戻る方が簡単だと思う。でも米国での挑戦を選んだのが筒香らしい。どこにいても応援します」など激励のコメントが目立つ。
スポーツ紙デスクは、「少ないチャンスを生かせるかどうか。今年がメジャーに上がれるラストチャンスだと思います。レンジャーズが所属するア・リーグ西地区にはエンゼルスがいます。大谷翔平との対戦を実現してほしい。侍ジャパンの4番を務めた男ですから意地を見せてくれるでしょう」と期待を込める。
米国での3年間は得難い経験になっているだろう。紆余曲折を経て、メジャーの舞台に昇格して活躍できるか。(今川秀悟)