今年の国内プロゴルフツアーは、3月2日からスタートする女子ツアーのダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントで開幕する。

 同ツアーは昨年同様、38試合の開催を予定しており賞金総額は44億9,000万円となった。下部のステップアップツアーは4試合増の21試合で賞金総額4億5,500万円。国内女子の賞金総額は、両ツアーを合わせると初めて50億円を超え、相変わらずの人気を象徴する数字となった。

 一方、3月30日からの東建ホームメイトカップで開幕する男子ツアーは、新規トーナメント2大会が追加。6月15日から千葉夷隅GCで行われる韓国プロゴルフ協会との共催競技・ハナ銀行インビテーショナルと、8月3日から横浜CCで始まる予定の横浜ミナト Championship 〜Fujiki Centennail〜が加わった。しかし、現段階での大会数は26試合でこれは昨年より1試合少ない。開催調整中の大会もあるため、最終的には昨季の試合数を上回る可能性もあるが、引き続き女子ツアーとの人気の溝は深いようだ。

 このように試合数、賞金総額、人気とも「女高男低」が続く国内ゴルフだが、今年はどのような新スターが生まれるのだろうか。

 ここ数年、女子ツアーは、24歳くらいまでの“○○世代”と呼ばれる若手の活躍が目覚ましい。しかも昨年、5勝して史上最年少で年間女王になった山下美夢有が21歳なら、前半戦で5勝しツアーを盛り上げた賞金ランク5位の西郷真央も同じく21歳。ツアー初勝利が公式戦の日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯で、その後もNOBUTA GROUPマスターズGCレディースで2勝目を挙げて一気にヒロインとなった川崎春花も今年20歳を迎えるなど、20歳前後の躍進が著しい状況だ。

 そして、2023年もこれまで同様に新たな若いヒロインが誕生する予感が漂う。

 そのヒロイン候補の筆頭に挙げられるのが櫻井心那だ。2004年2月生まれでもうすぐ19歳になる櫻井は、昨年のステップアップツアーで新記録となる年間5勝を記録し獲得賞金で2,500万円を突破してトップ。獲得賞金だけにとどまらず、平均ストローク、パーオン率、平均バーディ数、バーディ数などのスタッツでも軒並み1位に輝き注目を浴びた。

 また5試合プレーしたレギュラーツアーでも、北海道meijiカップでは優勝したイ・ミニョン(韓)に1打差の2位タイと文字通り初優勝にあと一歩と迫る活躍。今年に入ると、台湾女子ツアーの開幕戦・日立レディースクラシックでツアー初勝利を挙げ優勝賞金約1,080万円をゲットした。

 各部門で好成績を挙げている櫻井だが、一番の魅力は身長166cmという恵まれた身体から放たれるティーショット。下部ツアーで圧倒的な強さを発揮した飛ばし屋が、レギュラーツアーでシーズンを通じてその実力を発揮できるか注目だ。

 菅沼菜々もヒロイン候補の一人。昨季の菅沼は、ツアー5位となる合計15回のトップ10入りを果たすなど賞金ランク9位と大躍進した。

 初優勝こそ逃したが、リゾートトラスト レディスとスタンレーレディスホンダゴルフトーナメントで2位タイに入ると、日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯でも単独3位。2019年のルーキーシーズン以降、賞金ランクは2019シーズン62位、2020−21シーズン47位、そしてお伝えした通り2022年シーズンが9位とステップアップしているだけに、2023シーズンは念願のツアー初Vを飾りたいところだろう。

 そしてその動向が気になるのが、アマチュアの17歳の馬場咲希だ。2022年は日本人として37年ぶりに全米女子アマチュアゴルフ選手権を制し時の人となった馬場は、その後に国内ツアーにも出場し、日本女子オープンでは11位タイに食い込んだ。

 2023年は、4月のザ・シェブロン選手権、7月の全米女子オープンなど、プロしか出場しない全米女子プロ以外の海外メジャー4試合に出場することを明言し、上位進出することを目標としている。アマチュアなだけに国内ツアーにどのくらい出場するかは未定だが、実力を見れば優勝候補になることは間違いなく、参戦する大会があれば2019年富士通レディースの古江彩佳に続き史上8人目のアマチュア優勝も夢ではないだろう。

 では、男子ツアーはどうだろうか?

 昨季の男子ツアーは、賞金ランキング対象大会26試合のうち20試合で20代(大会終了時)のプレーヤーが優勝。若返りが進んだ。賞金王に輝いた比嘉一貴は27歳、シーズン2勝の河本力は22歳、ともに初勝利を挙げた大西魁斗、桂川有人はそれぞれ24歳と、女子ほど低年齢ではないがヤングパワーの活躍が目立った。

 スター不足と揶揄される国内男子ツアーだが、こうして若手が成長しツアーを席巻しようとしているのは明るい兆しだ。しかも今年は、昨年、パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップでツアー史上6人目のアマチュア優勝を成し遂げ、日本オープンゴルフ選手権で95年ぶりとなるアマ優勝を達成した蝉川泰果がフル参戦する見込みで、一足先にプロとなった中島啓太も日本と米国を行き来しながらプレーする予定となっており、国内ツアーにも参戦予定。こうした話題性のある若手プロも加わり、例年にない盛り上がりになる可能性も秘めている。

 注目は上記のプレーヤーたちだけではない。例えば24歳の清水大成は、初優勝が期待される若手だ。昨年は25試合で3,600万円以上を稼ぎ賞金ランク25位。Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメントで単独3位、ダンロップフェニックスで4位タイと優勝争いにも加わった。

 パットやショットでステディなプレーを見せているが、清水の売りは飛距離。昨年は平均302.72ヤードを飛ばし、河本に続いてドライビングディスタンス部門で2位に食い込んでおり、今年はティーショット以外もレベルアップすればニュースターになれる可能性は十分だろう。

 昨季ツアーの入場ギャラリー数は、女子ツアーが合計38万8,772人で1試合平均1万231人だったのに対して、男子ツアーは合計18万3,380人で1試合平均だと7.335人だった。新型コロナウイルス感染対策でギャラリー数を制限する大会があった他、天候などギャラリー数を左右する要素はあったが、それでも男子ツアーが女子ツアーに人気で差をつけられていることは間違いない。

 今回挙げた男子プロたちが、昨年ブレークした比嘉、河本たちと迫力あるプレーを見せて、ツアーを盛り上げてくれることを期待したい。