過去に他球団から巨人にFA移籍した選手は計28人。12球団で最多の人数だ。

他球団のエース、4番打者を獲得していた時代は、FA補強が巨人の代名詞だった。ただ、期待通りの活躍をした選手は多くない。広澤克実、清原和博、江藤智、村田修一と強打者たちも打撃不振が続くとベンチ要員になった。注目度が高い球団のため、不振になれば批判の的になる。心身ともにタフでなければ、巨人では活躍できない。今回は新聞、テレビ、ネットなどメディア関係者30人に「巨人へのFA移籍で最も輝いた選手」を聞いた。

1位 小笠原道大(日本ハム→巨人) 7票  
現役通算成績 1992試合出場、打率.310、378本塁打、1169打点、63盗塁巨人での通算成績 701試合出場、打率.296、138本塁打、413打点、8盗塁

2位 丸佳浩(広島→巨人) 6票
現役通算成績 1613試合出場、打率.280、251本塁打、826打点、171盗塁巨人での通算成績 524試合出場、打率.279、104本塁打、286打点、31盗塁

3位 落合博満(中日→巨人) 4票
現役通算成績 2236試合出場、打率.311、510本塁打、1564打点、65盗塁巨人での通算成績 352試合出場、打率.296、53本塁打、219打点、4盗塁

4位 工藤公康(ダイエー→巨人) 3票
現役通算成績 635試合登板、224勝142敗3セーブ10ホールド、防御率3.45巨人での通算成績 128試合登板、53勝40敗、防御率4.05

4位 杉内俊哉(ソフトバンク→巨人) 3票
現役通算成績 316試合登板、142勝77敗、防御率2.95巨人での通算成績 91試合登板、39勝22敗、防御率3.03

 1位に選出されたのは小笠原。2006年オフに日本ハムからFA移籍すると、4年連続打率3割、30本塁打をマーク。中軸を担うアレックス・ラミレスとのコンビは「オガラミ」と形容され、破壊力抜群だった。投票理由としては、「優勝から4年遠ざかっていたチーム状況で、07年からリーグ3連覇と黄金時代を築いた立役者。アベレージを残せるし、本塁打も打てる。巨人にFAで移籍して最も成功した選手だと思う」「巨人にFAで来た選手は力を発揮できないケースが多かったが、小笠原は打った試合も打てなかった試合も淡々としていた。心の芯がブレないからコンスタントに数字を残せたのでしょう」などの意見が見られた。

 2位は現役の選手で唯一ランクインした丸。一部のファンからは「広島時代に比べて目立たない」という手厳しい意見があるが、票を入れたスポーツ紙記者は反論する。「昨年は左翼・ウォーカー、右翼・ポランコと中堅で守備の負担がかかる中でも、きっちり結果を残している。丸は技術が高いだけでなく、体も頑丈で故障をしない。試合に出続けているのも一流選手の条件。過小評価されているなと感じます」

 3位は落合博満。FA制度が導入された1993年オフに初めて巨人に移籍した選手だった。プロ野球史上唯一の3度三冠王を獲得した強打者だが、巨人に移籍した時は40歳。選手としてはピークを越えていたが勝負強い打撃は健在だった。94〜96年の3年間と在籍期間は短かったが、2度のリーグ優勝に貢献。「落合はまさにプロフェッショナル。松井秀喜に打撃面でアドバイスを送るなど、数字以上のプラスアルファが大きかった」「清原が西武からFA移籍することで、落合は退団して日本ハムに移籍しましたが、2人が共存したらどうなっていたか。清原も多くのことを学べたと思う」などの声が聞かれた。

 4位は工藤、杉内の両左腕が3票で並んだ。工藤については「若手の良きお手本。大ブレークした山口鉄也も、一緒にトレーニングをして助言を送り続けていた工藤の存在が大きかった」、杉内は「巨人での後半はケガで苦しんだが、移籍初年度から3年連続2ケタ勝利ときっちり結果を残した。その間にチームはリーグ3連覇を飾っている。勝率が高いし、勝てる投手といえば杉内のイメージ」など評価する意見が。

 一方で、今回の調査で「該当する選手がいない」という意見も4票あった。その理由は「小笠原が一番近いが、巨人に移籍して5年目以降にガクッと落ちた。トータルで成功かというと難しい」「小笠原、杉内、丸と成績は残しているが、FAする前の活躍のほうが印象的なので」などのコメントが。FA移籍する選手は、年齢を考えると長期的な活躍が難しい。1位の小笠原が7票にとどまったのも致し方ないのかもしれない。(今川秀悟)