発行部数約190万部を誇る人気漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」が、来年7月に創刊50周年を迎える。この節目に向け、ジャンプを発行する集英社では、現在様々なイベントを企画している。その中の一つが、7月18日から森アーツセンターギャラリー(東京都港区)で開かれる「週刊少年ジャンプ展VOL.1」だ。第三弾まで開催予定で、第一弾は1968年の創刊から1989年までの63作品、350点以上の原画などが展示されている。



 一般にジャンプ作品と聞くと、80年代のものでも「ドラゴンボール」「キャプテン翼」「北斗の拳」など、現在でもメディア展開がされているものも多く、あまり古さを感じさせない。だが、プレス向けの内覧会が開かれ、会場に足を踏み入れてみると、そこには“ジャンプ作家”とは連想されない“漫画界の巨匠”の名前もあった。

 会場内は会場限定の映像が見られる「シアターゾーン」。「ドラゴンボール」や「北斗の拳」など著名作品11作品を、それぞれの作品世界の演出を交えて原画などを展示する「作品体感ゾーン」。それ以外の52作品の原画を展示した「原画結集ゾーン」の3つに分かれている。

「作品体感ゾーン」に入ると、いきなり「ハレンチ学園」の作品名が登場する。作者はこの作品の後に「デビルマン」「マジンガーZ」「キューティハニー」などを手がける永井豪。創刊号から1972年まで連載され、当時の流行の発端となったスカートめくりをはじめ、男女ともに肌の露出度が高い絵が並んでいる。今のジャンプならそのまま載せられないであろう表現をいきなり突きつけられた格好だ。

 その後は、「男一匹ガキ大将」(本宮ひろ志)、「シティーハンター」「キャッツ・アイ」(北条司)、「キャプテン翼」(高橋陽一)、「聖闘士星矢」(車田正美)、「キン肉マン」(ゆでたまご)、「北斗の拳」(武論尊・原哲夫)、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(秋本治)、「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」(鳥山明)と続く。どれも一度は聞いたことのある作品ばかりだ。

 これらの名作群を抜け、「原画結集ゾーン」へと入る。一際目を引いたのが「はだしのゲン」(中沢啓治)の展示だ。広島への原爆投下による作者自身の被爆体験に基づいて描かれた自伝的作品で、世界的に知られている名作でもある。国内でも小中学校の図書館に置かれているところも多く、手に取ったことのある人も少なくないだろう。だが、「はだしのゲン」が少年ジャンプで連載されていたことを知る人はどのくらいいるだろうか。

 このほか、「ど根性ガエル」(吉沢やすみ)、「サーキットの狼」(池沢さとし)、「東大一直線」(小林よしのり)など、名前は聞いたことのある作品もジャンプで連載していたのかと驚かされた。どれも1970年代の作品だ。

 約200点はあろう原画の展示を抜け、出口のほうに向かうと、そこには1968年から1989年にかけて、ジャンプで執筆したことのある全ての漫画作品と作者名が一覧になっていた。数百作品以上はあり、文字がとても小さく並べられている。眺めていると、「光速エスパー」(松本零士)、「おれはゲバ鉄!」(赤塚不二夫)、「悪魔くん復活 千年王国」(水木しげる)、「ライオンブックス」(手塚治虫)など、漫画界の巨匠の名前も散見される。連載時期はどれも創刊初期から1970年代初頭までの間に限られるが、こんな大作家まで、初期の週刊少年ジャンプに連載していたのかと感嘆させられた。

 このように、知られざるジャンプの歴史について触れることができるのだが、現在の雑誌の読者層とは明確に異なる。これについて、「週刊少年ジャンプ展VOL.1」を運営する、集英社の担当は「1980年代にジャンプに親しんでいた人達は今や所帯持ちも多い。親子連れでいらして楽しんでいただければ」と話す。今や親子二代でジャンプファンも珍しくないようだ。

 「週刊少年ジャンプ展VOL.1」の展示期間は7月18日から10月15日までで、入場料は一般2000円(税込み)。2018年春には1990年代の作品を扱う「VOL.2」、創刊50周年を迎える18年夏には、2000年代から現在までの作品を扱う「VOL.3」が開かれる予定だ。(ライター・河嶌太郎)