2000年に本のECサイトとして日本に上陸したアマゾン。いまやあらゆるものを扱い、他の追随を許さない巨大ECサイトに成長した。一方で、アエラが行ったアンケートでは、回答した137人のうち「アマゾンを使っている」と答えた人が96%。同時に、「できれば使いたくない」と答えた人が44%もいた。拡大の原動力は。便利なのに不安にさせるものの正体は。AERA 2017年7月24日号では「アマゾン」を大特集。

 便利に使っているのに、なぜか「こんなに使ってしまっていいのか」と不安になる。そんなアンビバレントな存在がアマゾンだ。どう付き合えばいいのか。流通コンサルタントの角井亮一氏に話を聞いた。

*  *  *
 間違えてはいけないのは、アマゾンはネット通販企業ではなく、ロジスティクスカンパニーだということです。ロジスティクスとは、調達から販売までの、企業におけるモノの流れです。ロジスティクスは非常に参入障壁が高く、外からまねることが難しい。一から構築しようとすれば膨大なお金と時間がかかります。「アマゾン一強」の状態は、鉄壁のロジスティクスから作り出されています。

 今年4月、ヤマト運輸が宅配便の基本運賃を今秋に引き上げると発表しました。アマゾンにとっても痛手です。しかし、アマゾンはそれを逆手に取って、自社の配送網で百貨店やドラッグストアと組んで、注文があった商品を提携先の店舗から配送する新しいサービスも始めました。ヤマトの値上げに応じてコスト増を受け入れるより、その分を物流強化に回そうとしたんだとすれば、いかにもアマゾンらしいと思いました。

 日用雑貨を定期的に、早く、便利に届けることにおいて、アマゾンにはライバルはいません。「楽しくない買い物」の市場では無敵。ダッシュボタンを押せば、洗剤、水などがすぐに届く。安売りメインのドラッグストアなどは分が悪いでしょう。現に、ココカラファイン、マツモトキヨシなどは、今年4月からアマゾン「プライム ナウ」の配送網を使った宅配サービスに参画しています。

 でも、そこに「モノを選ぶ楽しさ」はありません。逆に「楽しい買い物」に関しては、対抗する余地が十分にある。

 ファッションなら「ゾゾタウン」が、若者向けのブランドを取りそろえ、独自のアプリでコーディネートを投稿し合えるようにするなどの工夫をこらして感度の高い消費者のニーズを満たしています。アスクルが運営する「ロハコ」は、飲料、化粧品メーカーなどと独自商品を開発して、働く女性を中心に大きな支持を受けています。

 消費者が買い物に求めるのは「楽しさ」。ネットでも同じです。そこを満たすことが、アマゾンへの対抗策になるのではないでしょうか。

(構成/編集部・作田裕史)

※AERA 2017年7月24日号