新しい元号への関心が高まるのと同時に、地名が現在の元号「平成」と同じ地域が、再び活気づいている。

 一つは、岐阜県旧武儀町(現関市下之保)にある平成(へなり)地区。1989年1月、元号が昭和から平成に変わり、全国で唯一、「平成」という漢字2文字の地名とあって、一躍脚光を浴びた。改元の翌日から9世帯35人(当時)の小さな地区は、観光客でごったがえした。急遽発売された記念のテレホンカードや特産の平成しいたけクッキーなどが飛ぶように売れたという。

 時とともにフィーバーは落ち着いたが、「平成」が終わりを迎えようとしている今、再び特需に沸いている。2017年末、関市武儀事務所などによるありがとう!平成時代実行委員会は様々なイベントを企画。現在、「平成」とついていればタオルでもなんでも売れてしまう状態だという。

 イベントの企画・運営に携わる西部英利さんは話す。

「初めは、最低ロットで作っていた。しかし、昨年の秋ごろから、追加注文した商品が到着する前に店頭からなくなってしまうようになった。在庫をかき集めても、10分足らずで売り切れました」

「令和」の時代の幕開けとともに、特需は終わるのではと心配になるが、そこは商魂たくましい。今後は、「令和」と「平成」のコラボグッズとして、クリアファイルを売り出そうと考えているという。

「地域の特産が売れ、とにかく平成という元号には感謝の気持ちです」(西部さん)

 もう一つ、「平成」という名がつく地域は、新潟県小千谷市中心部にもある。89年、五つの町を合わせた新町名を決める際に「時代に合ったものを」と住民が投票して選んだ。つまり、元号にちなんで、地名がつけられた地域だ。

 平成地区は04年、中越地震の甚大な被害を受けた。震災で地区の商店街の店舗はほぼ全壊だったが、復興に取り組もうと、平成商店街協同組合を05年に発足。人口減少に直面しながら、加盟店数を減らすことなく踏ん張ってきた。平成商店街協同組合理事長の山岸豊司さんはこう語る。

「現在は商店の組合員も2代目、3代目で、平均年齢が40代半ばと他の商店街に比べると若い。5月1日には、商店街で改元祝いのイベントを企画したい」

 一つの時代が幕を下ろそうとしているが、二つの「平成」にはまだまだ活気があふれている。(本誌・田中将介)

※週刊朝日  2019年4月19日号