動画アプリTikTok(ティックトック)で、今10〜20代を中心に大人気の「Kevin’s English Room」は、1分前後で英語を学べる動画を配信している3人組のTikTokerだ。現在発売中の『AERA English 2020 Autumn&Winter』では、彼らを取材。「お勉強感」のまったくない3人の英語学習動画が若者を引き付ける理由とは。

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 英語学習+エンタメ。そんな新しいジャンルの動画が、人気を博している。配信を行うのは、「ふつうの日本人」かけさんと、「フランス留学経験あり。英語も勉強中」のやまさん、そして「生まれも育ちもアメリカだけど日本語ペラペラ」のケビンさんによる「Kevin’s English Room」だ。

 大学の同級生として出会い、今はそれぞれ違う仕事をする3人が動画配信を始めたのは、2019年11月。20年8月末現在、TikTokのフォロワー数は約64万人だが、今後さらに増えそうだ。

「僕たちが紹介しているのは、アメリカの生活や日常会話に興味がある人向けの"カルチャー英語"。試験に役立つ"アカデミック英語"とは別物なので、TOEIC対策には不向きです(笑)」(ケビンさん)

「ケビンは英語を勉強した経験がないので、文法の解説は苦手。でも一方で、日本人には到達できないレベルの知識も持っている。動画ではそんなケビンの知識から、特に日本人が知りたい部分を抽出しています」(かけさん)

■ネイティブならではのこなれた表現が満載

 動画の長さはTikTokならば30秒から1分程度、YouTubeならば5分から15分程度なので、空き時間にも気軽に視聴できる。なお、Kevin’s English Roomで紹介される英語に過激なスラングはほとんどないので、中高年の学習者もご安心を(「上品な方でも使えるスラング特集」という動画もあるので、興味がある方はぜひ)。

 いかにもネイティブが使いそうな「こなれ感」のある会話フレーズが知りたければ、まずはYouTubeの「初対面のアメリカ人と仲良くなれる英会話」(画像2枚目)を見てみよう。相手を食事に誘うときの言葉としてケビンさんが選んだのは、grab(つかみ取る)を使った表現。アメリカでは「食事系の会話」でよく使う言葉なのだという。

「grabが入ることで会話がライトになる」「実際に手でつかめる食べ物にしか使わない」といったケビンさんの解説がわかりやすいのはもちろんのこと、「ここでeatを使うのは変なの?」と、日本人学習者の気持ちを代弁してくれるかけさん、やまさんの質問も絶妙だ。

■スキマ時間に見ても笑えて学べて楽しめる

「視聴者からは、英語講師役のケビンが日本の学校独特のルールに異議を唱える『熱血ALTシリーズ』も好評です。ケビンが外国人の立場で『そんなのおかしい!』と憤るのが面白いし、嫌味にならないのかな、と思います」(かけさん)

「語学を初めて学ぶ人にとって、ハードルの低さは大切。ケビンの英語を聞いて、楽しんでもらえたら嬉しいです」(やまさん)

 3人がめざすのは、学びの要素を含みつつ「スキマ時間に見ても、一つのエンタメとして楽しめるコンテンツ」。ハーバード大卒のバイトリーダー、陽気すぎるアメリカ人店員など、ケビンさんが演じるクセ強めの英語キャラも要注目だ。

(文/木下昌子)

※『AERA English (アエラ・イングリッシュ) 2020 Autumn & Winter』より