「お城博士ちゃん」こと栗原響大(ひびき)さん(12)は、小学生だった当時、テレビ番組「博士ちゃん」で豊富すぎるお城の知識を披露し一躍有名になった中学1年生。小学校1年生で城の魅力にはまり、これまで足を運んだ城の数は292にも上る。日本に2万〜3万カ所もあるという城は、実はとても身近な存在。栗原さんに、城の楽しみ方と、一生に一度は行きたい「オススメの城」、そして彼が「お城は身近なテーマパーク!」と力説する理由を聞いた。

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「お城博士ちゃん」こと栗原響大さんが城の魅力にはまったのは小学校1年生のとき。日本初の世界文化遺産としても知られる姫路城(兵庫県姫路市)をおとずれたことがきっかけだった。江戸時代以前に建設され、今もその姿をとどめる天守をもつ「現存十二天守」のひとつで、白鷺(しらさぎ)城とも称される白い天守を擁する。

「お城のことを何も知らないときに見たのですが、すごく心を打たれまして、そこからお城をどんどん知りたいと思うようになりました」

 幼稚園のころから図鑑の影響で歴史好きだったというが、姫路城に心打たれてからは「城沼」にどっぷりはまった。以来、「現存十二天守」をはじめ日本中の城に足を運び、2022年7月末現在で「日本100名城」79カ所、「続日本100名城」69カ所を含む292の城を踏破した。日本全体で城は2万〜3万あるというから、まだまだ行くべき城はたくさんあると情熱を燃やす。

 それにしても、なぜ「城」が好きなのか。

(1)城は奥が深い!

 城といえばいわゆる「天守閣」(天守)をイメージする人が多いだろう。だが城の要素はそれだけではない。城を取り囲む「石垣」や「土塁」、敵の侵入を防ぐ「堀」。出入り口である「門」や、敵を攻撃する拠点となる「櫓(やぐら)」などさまざまな構造物がある。立地ひとつをとっても、山の上にある「山城」、小高い山にある「平山城」、平地に築いた「平城」など、種類はさまざまだ。

「非常に奥が深く、調べていくうちにどんどん興味がわいてきて、『沼』にはまっていくんです」

 栗原さんが城のなかで特に好きなのは「堀」。多くの人は、江戸城(現・皇居)などにある水を張った堀を思い浮かべるかもしれないが、山城では水を張っていない堀(空堀)が主流だ。これもいろいろな形があり、城を築いた大名豪族によって、特徴や違いがある。

「ちょっとしたくぼみを見て、ここが堀だったのではないかと想像をめぐらせるのも楽しいです」

(2)城はいろいろな学問に通じる!

 たとえば天守やそのほかの建物を見ると建築の勉強になるし、堀や土塁のつくり方を見ると土木の勉強にもなる、と栗原さんは言う。

「もちろん歴史にも強くなるし、古文書にも触れることができる。お城を起点にして、いろいろな学問分野に興味の幅を広げることができるんです」

 城探索を通じて、足腰も鍛えられるのだ。

(3)城は想像力を鍛えられる!

 前述の「堀」もそうだが、城に足を運んだときはぜひ「土塁」も探してほしいと栗原さんは語る。

「土塁は土を堤防のように盛って敵の侵入を防ぐものですが、これもいろいろな種類がある。どんな城にも土塁があるのですが、年月を経て小さくなっているものもあります。地面の凹凸を観察しながら、ぜひ想像力を働かせて土塁を見つけてほしいです」

 このくぼみは堀だったのではないか、ここはもしかして土塁の跡――。現地に足を運び、かつての姿を想像しながら歩くことで、城の楽しみ方は何倍にも広がる。

 栗原さんオススメの城も聞いてみた。初心者向けには、やはり姫路城だという。

「ぜひ人生で一度は訪れてほしい。天守以外にも櫓や門などが江戸時代から残っていて、当時の城を知るには一番いい城です」

 城に少し興味が出てきたら、足を運んでほしいのが「熊本城」。「大きな空堀があり、門も櫓もとにかく規格外」という。

 さらに興味が増したら、「山中城」(静岡県三島市)もオススメだ。戦国時代、関東地方を領有した北条氏が豊臣秀吉の侵攻を食い止めるためにつくった山城である。堀の中に障子の桟(さん)のような形をした盛り土をして、堀に落ちた兵士の動きを制限した「障子堀」など、多様な堀が楽しめる。

 最近気になった城は、新潟県村上市にある「大葉沢城」。戦国時代末期に廃城となった山城だが、山の斜面を上から下に向けて掘られ、斜面を兵がのぼってくることを防ぐ「竪堀」がたくさんあることで有名という。

「竪堀がたくさんあると逆に守備側が兵を分散させる必要があり、守りには不利とも思えるので、なぜこんなに竪堀があるのか不思議なんです」

 今回、栗原さんには、8月5日に朝日新聞出版が発売する『最強の城へタイムワープ』も読んでもらった。ひょんなことから、戦国時代の武将・竹田信玄衛門(たけた・しんげえもん)にとりつかれてしまった少年テツ。信玄衛門の願いは、生前建てられなかった立派なお城を建てることだった。同級生でお城大好き少女ナナも加わり、信玄衛門の力で戦国時代にタイムワープ! 江戸城、熊本城、今治城など天下の名城とされた城をめぐり、その「最強のポイント」を調査。熊本城では、あの加藤清正と戦う。栗原さんオススメの「山中城」も登場する。

「僕がいろいろな本を読んで得た知識が、この一冊につまっています。破風(はふ、屋根の形状)や懸魚(げぎょ、屋根のかざり)など、マニアックなところまで踏み込んでくれていて、すごく面白い。いろんなお城のいいところも描いてくれているので、いろんなお城に行きたくなる本です」
(生活・文化編集部 福井洋平)