世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。

■世間では異世界に行きたい人が多いらしい

 ケニア、ウガンダ、タンザニアにまたがるビクトリア湖のなかのミギンゴ島。草木もはえない孤島には、1日に最大1000人が出入りすると言われている。実際に住んでいるのは200〜300人らしい。



 この島に住む人の多くは漁師。島周辺で巨大な白身魚「ナイルパーチ」がとれるため漁師たちが集まったのがはじまりだ。その後、漁師が稼ぐ金を目当てに商売人たちが次々と島に集まってきたというわけだ。

 島に上陸して歩いてみれば、ホテル、薬屋(兼病院)、床屋、服屋、雑貨屋、携帯電話屋、飲み屋、レストランなど、生活に支障がないほどの充実ぶりだ。売春宿まである。電気はソーラーパネルと発電機。燃料は毎日陸から運ばれる。この島にある物資は、飛ぶように売れていく。景気が良いのだ。

 しかも、島内の買い物はケニアを中心に普及しているモバイル決済サービスが利用されていて、現金はあまり使われない。

 取材を通じて、住人たちの暮らしを浮き彫りにしていくなかで、不自由のない暮らしなのに、自分の暮らしている場所とは違うという感覚だった。その感覚をあえて言語化するなら、「異世界感」だろう。今になってそう思うのだ。

 昨今では、小説の世界などで異世界転生ものがはやっているらしいが(調べたところ、「お前ら、そんなに現世が嫌なのか!」と思わず突っ込みたくなるほどのラインアップがあるようだ)、私にとって世界中を見渡して、もっとも異世界だったのは、この島だった。

■なにをもって地球なのか?

 島にいたときのことを思い出し、写真を眺めながら、我々が暮らしている場所と違う世界であると認識(錯覚)するのはなぜなのかを考えた。私の結論としては、植物だと思う。人間以外の生き物の形が同じかどうか。それによって認識が生まれるのだろう。要するに生態系がどうなのかということで、少し落ち着けば小学生でもわかる理屈なのだ。

 この島には植物らしきものがほとんどなかったので、異世界っぽいなと思うに至ったのだ。異世界旅行してみたいなら、アフリカのこの島を目指してみるのもいいかもしれない。(文/丸山ゴンザレス)