今年のノーベル平和賞は、飢えに苦しむ人に食料を届ける国連世界食糧計画(WFP)に贈ると10月9日、ノルウェーのノーベル委員会が発表した。12月10日にノルウェー・オスロで授賞式が開かれるが、新型コロナ流行の影響でWFP代表団は授賞式には参加しない方向という。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」12月号では、世界の飢餓の様子や最前線で食料援助をしているWFPの活動について紹介した。

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 みんなは、世界でいま6億9千万人が飢えに苦しんでいることを知っているかな? これは世界人口のおよそ11人に1人の割合だ。世界で飢えに苦しむ人のうち、2分の1以上はアジア人だ。けれども、人口に対する割合としてはアフリカのほうがより深刻だ。特にルワンダやマダガスカルなどの地域は3人に1人が飢餓に苦しんでいる。

 今年のノーベル平和賞は、飢餓に苦しむ途上国を中心に、戦地や被災地などの過酷な現場で食料を届けている国連世界食糧計画(WFP)に贈られた。

 今年はさらに新型コロナウイルスの感染拡大や気候変動による災害が多く、食べられない人が増えている。世界の飢餓と闘うWFPの活動について日本事務所広報の我妻茉莉さんに伺った。

――新型コロナウイルスの感染拡大によって、今までの食料支援と変わったところはありますか?

 WFPは、世界で最低限の食料さえ入手困難な「急性」の飢餓ニーズへの対応に力を入れています。2019年に、世界で急性の食料不安を抱えている人は推定1億4900万人でした。しかし、新型コロナの感染拡大による世界各国での経済危機や、国境閉鎖などを原因としたフードシステムの混乱のため、このまま何もしなければ急性の食料不安を抱える人々の数は80%増加し、2億7千万人になると予想されています。これは国連WFPの事務局長が発言しているとおり、「飢餓のパンデミック」になる恐れがあります。

――とくに今年に入り、どのような地域への緊急支援が必要となっていますか?

 ラテンアメリカでは急性の食料不安に直面している人々が269%も増加。西・中央アフリカ(135%増)、南部アフリカ(90%増)でも急増しています。コロナ禍に加え、今年は気象災害も多く、アフガニスタン、バングラデシュ、南スーダンなどの国々では洪水が起こり、緊急食料支援を開始しました。しかし、紛争、豪雨、洪水などにより道が寸断されてしまい、孤立してしまった村などに食料を届けるのも大変です。今までのように大型トラックで現地まで行くことができず、小型の水陸両用車で向かうなど、どうやったら支援物資を届けられるか探りつつ、臨機応変に行っています。

――食料支援の最大の目的は何ですか?

 食料支援はコロナと闘う人々の底力となります。飢餓は食料の争奪を起こし、新たな紛争をもたらします。食料がなければ、不安や抗議行動、移民や難民の増加、紛争の深刻化、そしてそれまで飢餓から免れていた人々の間にも栄養不足が蔓延する可能性があります。明日の食事に困る人をひとりでも減らすために、WFPは支援が必要な人のもとへ食料を届けなければならないと考えています。

――ノーベル平和賞受賞後、WFPは世界各地で命がけの努力をしてきたことが認められたとし、さらに「飢えがある間、私たちは決して平和な世界を達成することはありません」と声明を出した。

 日本で、自分たちがどれだけ食料を捨てていて、その廃棄される食料は世界で支援している食料の1.5倍ほどにもなることを知ってほしいです。また食品ロスを減らすためにどんなことができるか考えてみてください。

■子どもの未来のために学校給食支援

 世界には、一日に一度の食事すらできずに、おなかをすかせたまま学校に通う子どもたちがたくさんいます。また、学校に通えない子どもたちは5900万人もいます。

 WFPは食べ物が足りない地域の学校で給食を出す活動にも力を入れています。学校で食事がとれるとわかれば、親たちは子どもを家で働かせないで、学校に行かせてくれます。そして学校で熱心に勉強した子どもたちが、その国の未来をつくる人になってくれるのです。

※月刊ジュニアエラ 2020年12月号より