冷え切った日韓関係は2021年にどんな展開が考えられるのか。日本政府の状況や取り組みからは年が明けても前途に暗雲が漂う。AERA 2021年1月11日号から。

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 日本政府は朝鮮半島情勢にどのように取り組んでいくだろうか。新型コロナの影響もあって、戦略的な外交を展開する余裕はなさそうだ。

 政府は12月18日の閣議で、敵基地攻撃能力についての議論を先送りすることを決めた。与党のベテラン議員によれば、菅政権は元々、21年1月の解散・総選挙を狙っていたため、秋ごろには国民受けの悪い議論を先送りする方針を決めていた。

 ところが、新型コロナの感染拡大で1月解散は先送りに。現時点では、21年夏の東京都議選とのダブル選を狙う声が出ているが、与党内には「それまで菅政権の支持率が持つかどうか」という心配の声も出始めている。

 こうした状況下で、菅政権には世論受けの悪い政策を打つ余裕がない。

 例えば、文在寅政権が徴用工判決問題の解決のため、日本側に元徴用工らへの慰労の言葉などを求めてきても、応じられるかどうかはわからない。

 そして、菅首相が朝鮮半島問題で唯一、関心を持っているのが北朝鮮による日本人拉致問題だ。北朝鮮は拉致被害者らの再調査を約束した14年5月のストックホルム合意が崩壊したこともあり、「拉致問題は解決済み」との立場を強調している。菅政権が拉致問題を前面に出せば出すほど、北朝鮮は逃げていくという構図で、東京五輪を契機にした関係改善も難しいかもしれない。

 現時点では、日本と朝鮮半島との関係は上昇よりも墜落となる気配が色濃くなっている。(朝日新聞編集委員・牧野愛博)

※AERA 2021年1月11日号より抜粋