このところハリー王子とメーガン妃の“口撃”の矛先が王室から離れ、ターゲットを変えたようだ。行き過ぎた王室批判を反省したのかと思いきや、狙いは別のところにあるようで……。

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 エリザベス女王の国葬が行われた翌日、ハリー王子(38)とメーガン妃(41)は民間機でロンドンを発ち、9月20日に米カリフォルニア州の自邸に帰った。チャールズ3世は26日まで喪に服すよう王室メンバーに求めていたが、“敵”ばかりの英国からは早々に立ち去りたかったようだ。

 米国に戻ってくびきから解き放たれたのか。メーガン妃はさっそく、スポティファイの番組「アーキタイプス」を再開させた。10月18日配信の6回目のゲストには、“元祖お騒がせセレブ”のパリス・ヒルトンが登場。見かけはよいが知性に欠ける女性を意味する「Bimbo(ビンボー)」がテーマで、ヒルトンが「おバカな女のふりをしていた」と打ち明けたことが話題を呼んだ。

 ただ番組の多くはメーガン妃の「自分語り」だった。彼女は2006〜07年に米テレビ局NBCのゲーム番組「Deal or No Deal(ディール・オア・ノー・ディール)」で、賞金が入ったブリーフケースを持つアシスタントを務めたが、34回で降板した。理由は「モノ扱いされた。『マークル、おなかをへこませて』と叫ばれたこともあった。見た目だけを重視され、頭が空っぽと思われるのがいやだった」と話した。

 彼女は大学で国際関係学を学んだ後、アルゼンチンの米国大使館でインターンをした経験を持ちだし、「(その時は)重要人物と同じ車に乗った。頭脳で判断されていると感じられた」。それに比べてテレビは「出演料で生活費は稼げたが、貶められている」ことに耐え切れなかったという。

 すぐに批判したのは、俳優のウーピー・ゴールドバーグだった。「もしあなたがそう感じたとしても、ほかの女性を嫌な気持ちにさせる必要はなかった。あなたがその仕事をする女性たちをそう見ただけ。問題は自分自身にある」と指摘した。

 メーガン妃と同じ時期にアシスタントを務めたクラウディア・ジョーダンは「モノ扱いされたと感じるのは、あなたの受け止め方のせい。プロデューサーは出場者と楽しく話せる積極的な人にマイクを向けた。番組でチャンスをつかんだ人は少なくない」と反論。英国のメディアには「自分は頭もよく美貌でもあると言いたいだけ」とのコメントが寄せられている。

 番組降板の2年後、テレビドラマ「新ビバリーヒルズ青春白書」に出演したメーガン妃は、車内で男性俳優を相手にきわどいシーンを演じていた。ふしだらとみなされるのを嫌ったはずなのに……。

 次は10月19日発売の週刊誌「バラエティ」でのインタビューが物議を醸した。女王が亡くなる前に収録したため、王室批判が盛り込まれていたようだ。だが女王への追悼と新国王への期待が盛り上がりをみせるなか、「ふさわしくない」とやり直しを要求したのだ。

 その結果、ハリー王子との結婚約1カ月後、女王と専用列車で地方公務に行ったことを挙げ、温かい心遣いに感謝すると述べた。また女王はリーダーシップの輝かしいお手本であるなど、手のひらを返したような賛辞をぶちあげた。英メディアは、「それならなぜ女王の避暑先であるバルモラル城への招待を断ったのか。クリスマスのお招きさえも受けなかったではないか」と書きたてた。

 ハリー王子とメーガン妃は20年の王室離脱後、米国のテレビや雑誌のインタビュー、暴露本などで容赦ない王室批判を繰り広げ、最晩年の女王に多大な心労を与えた。女王は和解の望みを捨てなかったが、夫のフィリップ殿下の葬儀に彼女が欠席すると知り、「よかった。メーガンは来ないのね」と思わずホンネを漏らしている。王室評論家は「女王をあれほど苦しめた張本人が、今頃感謝するとか温かい人だとほめるとは、白々しい」とコメントした。

 また、夫妻が進めるネットフリックスのドキュメンタリー番組についての発言も議論を呼んでいる。メーガン妃は「バラエティ」のインタビューで、リズ・ガルバス監督について触れ、「彼女を尊敬はしているものの、どのように描かれるかは監督次第で、自分たちの考えとは違う。作品は他の人のレンズを通したものだ」と語り、にわかに距離を取ったのだ。

 ガルバス監督はエミー賞の受賞歴があり、ドキュメンタリーを得意とする。虐げられた女性を描くことも多く、インスタグラムでは女性の中絶の権利を求める意見を発表した。メーガン妃はドキュメンタリーが自分の望む内容にならない場合に備えて、「責任を回避、予防線を張っている」と英メディアは分析した。

 これは「デジャブ(既視感)」とも言われる。20年に発売された暴露本『自由を求めて』はジャーナリストのオミッド・スコビーらが作者だが、当初、メーガン妃は「情報提供するなどして協力したので、内容は正確だ」と胸を張っていた。しかし、本の評判が芳しくなく売れ行きも悪いと知ると、「いっさい関わっていない」と言いだした。それが、メーガン妃のスタッフへのいじめ裁判の過程で、彼女が作者に詳細を伝えたことが発覚すると、「忘れていた」と話した。

 王室批判が急速にトーンダウンしたのは、王室のスリム化を進めるチャールズ3世の動きと無関係ではない。

 君主が外遊や健康問題で不在の時、摂政として代行する上級王族メンバーから、ハリー王子とアンドルー王子を除外するため、国王は近く関係法令の改正案を議会に提出する予定だ。

 また国王の戴冠式は来年5月6日にロンドンのウェストミンスター寺院で行うと決めた。ちょうどハリー王子とメーガン妃の長男アーチー君の4歳の誕生日と重なる。夫妻は戴冠式への参列を優先させるとみられるが、招待状が送られてくるかわからない。

 夫妻を見守ってきた女王はもういない。王室の義務は避けるが権利は要求するやり方は、新国王に通じるだろうか。(ジャーナリスト・多賀幹子)

※週刊朝日  2022年11月11日号