十次郎の夢実現を—。十和田市の三本木原開拓に伴う産業振興で、南部藩士新渡戸十次郎が京都の陶工に焼き物を作らせてから157年。成し遂げられなかった同市の土を使った作品を完成させ、地域を盛り上げようと、市内の陶芸愛好家らが立ち上がり、幻の焼き物産業化計画が動きだした。 開拓史をまとめた「三本木平開業之記」に焼き物の歴史が記されている。それによると1860年9月に京都の瀬戸焼士・東二を呼び寄せ、現在も「瀬戸山」の地名が残る太素塚付近に窯などを整備。数年間制作したとみられるが、土が焼き物に向かなかったのか、流通するほどの物は作れず、産業として発展することはなかった。 1991年に同市の内科医森下年晃さんと青森県出身の陶芸家阿部岩男さんが協力し、同市の土に別の土などを混ぜて作ったが、それ以降、制作されていない。 関係者による初会合が5日開かれた。発起人で十次郎による開拓の歴史を伝える施設「幻の穴堰(あなぜき)」管理事務所の小笠原カオル所長と、市内の陶芸サークルの代表ら9人が参加した。 会合では小笠原さんが「十和田の土だけで焼き物を作り、先人が果たせなかった夢を実現し、陶芸で地域を盛り上げたい」と決意を述べた。参加者は「いいチャンス」「現代人が成し得るか挑戦したい」など制作に意欲を燃やした。 今後は幻の穴堰近くに同事務所が運営する陶芸施設を整備。将来は焼き物の販売や陶芸体験などを提供したい考えだ。【写真説明】十和田の土を見ながら今後の計画などを話し合う参加者