天鐘(8月18日)ダウンサイジングという言葉は単に小型化だけを指すのではなく、それによって効率化、高性能化を狙うことが多い。確かかつてのソニーが「小型化=高性能化」を自社製品の公式に掲げていたのを思い出す▼車のエンジンや組織論などで使われるが、例えばジャズの世界でも、20人近くになるビッグバンドの音を10人未満で再現できる編曲者は称賛される。ごまかしが利かないため、奏者にも高度な技量が必要になる▼50人のオーケストラをバイオリン、チェロ、ピアノの3人で演奏し、50人の合唱を13人で歌う。これほどダウンサイジングしたオペラもあるまい。27日、八戸市公会堂で開かれる「クオーレ・ド・オペラ」である▼最少の人数で最高のクオリティーを追求する。編曲はオリジナル、舞台も衣装も簡素化されているというが、本質を押さえていればこそ挑める歌劇のかたちであろう▼当然、出演者の力量も試されるが、八戸公演には内田智子さん(八戸市出身)加賀ひとみさん(十和田市出身)工藤和真さん(盛岡市出身)など北東北の実力派がそろうのがいい。地元ビンテージワインの、それぞれの熟成度合いを味わえる機会である▼「クオーレ・ド・オペラ」はイタリア語で「オペラの心」を意味する。その名が示す通り、この舞台芸術の本質、神髄が楽しめるはず。肩肘張らずに、けれどもじっくりと。心ゆくまで堪能したい。