天鐘(9月21日)「抑止力」は軍事用語としてよく使われる。「受動的、防御的な印象を与えるが、実際は相手に脅威を感じさせる」(坂本義和著『軍縮の政治学』岩波新書)意味という。仮想敵国に脅威を感じさせ、攻撃を思いとどまらせることだろう。米国内では、北朝鮮の基地などを攻撃する能力を日本に持たせようという声が強まってきたとか▼日本が独自の攻撃力を保有したとすれば、「力強い抑止力になる」と指摘する意見さえあるという。ただし攻撃的な抑止力によって、2国間の緊張は一層高まるだろう▼北朝鮮から攻撃を受けるとの想定で、日本はミサイル迎撃体制の整備を進めている。ただ北朝鮮の脅威を前面に掲げて、基地攻撃の強硬論に傾くのは配慮に欠けまいか▼日本の国内事情も簡単ではない。海外の軍事施設を攻撃する場合、平和憲法との兼ね合いが生じる。それを踏まえた従来の「専守防衛」を転換することにもなる。これらが歯止めになり、抑止力の議論はほとんど聞かれない。戦争になりかねないからだ▼基地を破壊する武器に代えて日米韓など国際社会の圧力を強化するべきだろう。国連が採択した制裁に関して各国がどれだけ確実に実施するかに懸かっている。北朝鮮の軌道修正に粘り強く取り組むほかない▼北朝鮮は一方的に自国の正当性ばかりを繰り返している。国際社会の意見にも耳を貸さなければ、自滅を招こう。