天鐘(4月25日)四方を海で囲まれた島国と、多くの国と国境を接する国では事情が異なる。それは15年ほど前、経済協力開発機構(OECD)が各国の15歳の子どもを対象に実施した学力テスト「学習到達度調査(PISA)」からもうかがえる▼この調査で日本の成績は芳しくなかった。「ゆとり教育の影響ではないのか」と話題になった。しかし、設問をよく調べると、なじみの薄い問題が出題された側面が浮かび上がる▼例えば、3カ国を旅行する場合の両替についての設問。内容を理解し、通貨の交換比率を考えて計算すると正解にたどり着く。しかし、国境を越えた行き来が当たり前の国々に比べると日本は現実味が薄い。戸惑った生徒が多かったようだ▼かつては国ごとに異なる通貨が用いられたヨーロッパの多くの国で、今は単一通貨のユーロが使われている。2度の世界大戦の経験から緊密な経済関係を築いて不戦共同体を目指すEU(欧州連合)統合の流れによる▼EUには、壮大な理想を掲げた動きという評価と、先の見えない無謀な実験との批判が交錯する。実際、イギリスは離脱を決め、決戦投票にもつれ込んだフランス大統領選は親EUか離脱かが大きな焦点だ▼遠い国の出来事か。青森県は長年、EUの基準に沿ってホタテガイなどを輸出してきた。今後の成り行き次第では国ごとに対応を迫られる可能性がある。無関心ではいられない。