テレビ朝日系『土曜ナイトドラマ M 愛すべき人がいて』(毎週土曜よる11:15)。今夜、SNSで話題沸騰の“ヤバイ”シーンが続々登場する『第2・3話リミックスバージョン』がオンエアされるが、このドラマが証明してくれたのは、昭和臭演出の一周回った新しさや怪演を披露する田中みな実ら女優陣の高い潜在能力だけではなかった。


プロデューサー・マサを演じる三浦翔平の俳優としての対応力も炙り出してくれた。


アユ(安斉かれん)をトップアーティストにするべく孤軍奮闘するマサの前には、対立するA・VICTORY社長の大浜(高嶋政伸)、マサの“独眼竜”秘書・姫野礼香(田中みな実)、アユの同級生でありイジメの首謀者・玉木理沙(久保田紗友)ら強烈な個性を放つ様々な障害が立ちはだかる。



その中でも一番ややこしいのが、眼帯秘書・礼香。マサの隠し撮り写真集「メモリー・オブ・マサ」を自作し、婚姻届けも用意する固執ぶり。のちに放送される第4話には、ウエディングドレス姿で勤務するという衝撃場面もある。礼香はアユに対して猛烈に嫉妬し、秘書としての立場を装いながらもアユを貶めるべく暗躍する。ところがマサは礼香の静かなる暴走に対して静観することしかできない。背景には礼香が眼帯姿になった理由があるらしい。


このマサの静観の姿勢を体現する三浦の演技が素晴らしい。俳優にとって「なにもしないこと」こそが実は難しいという話はよく聞く。セリフがない場面であってもカメラに自らの姿が捉えられている以上は、表情の変化や動きで芝居を成立させたいという欲求が生れる。相手役の反応がある場面ではもちろんのこと、今回のドラマでの田中の異質な演技の前ではなおさらだ。



しかし三浦は完全なる無に徹する。濃厚接近した田中から耳に息を吹きかけられようとも、もぎったマスカットの粒を唇にグリグリとしつこく押し付けられようとも、表情一つ変えずに視線一点集中して感情をシャットアウト。そんな三浦に対し、左目を見開いた田中がグイグイと異様な演技を仕掛ける。そのギャップから生まれる滑稽さが対峙シーンの醍醐味であり、三浦の集中の演技が田中の存在をより強烈なものにしている。マサと礼香の謎めいた主従関係も自然と匂いたち「この二人の過去には一体何が?」というミステリー要素としても機能しているのだから巧い。



一点集中演技から一転、アユに対して感情を爆発させるシーンでの三浦の姿はまさに新境地。本作出演にあたり「僕に断る権利なんてない」と答えている三浦だが、『会社は学校じゃねぇんだよ』『奪い愛、冬』『ワケあって火星に住みました〜エラバレシ4ニン〜』など他作品でも鈴木おさむとは長い仲。気心も知り、生み出す世界観も十分に承知している。マサ役に対して三浦は、己の俳優としての底力を存分に披露するチャンスだと捉えたに違いない。



とくに第2話で見せた、崖の上からずぶ濡れになってアユを叱咤激励する絶叫演技は今後、俳優・三浦翔平を語る上で欠かせないターニングポイントとして記憶されるべき重要場面だ。何かが吹っ切れたいまだかつてない三浦は、持ち前の対応力を持って第4話以降もマサのエモーション道を爆走していく。Mを三浦翔平のMにするために。


なお本日5月16日は第2・3話のリミックスバージョンとして放送。和気あいあいとした現場の様子が伝わってくるNG場面も初公開される。


土曜ナイトドラマ『 M 愛すべき人がいて』番組情報

毎週土曜 よる11:15〜0:05 テレビ朝日系24局

「ABEMA」配信日程:毎週土曜よる0:05頃より配信開始