「サブカルは無駄で役に立たない無意味なもの」。そんな劇中のセリフにドキッとさせられるのは、コロナ禍の現代において“エンタメ不要不急論”が湧き上がったからか。連続ドラマから劇場版に進出した『リトル・サブカル・ウォーズ 〜ヴィレヴァン!の逆襲〜』(10月23日公開)は、サブカルを害悪と捉える異世界を舞台にする。コロナの時代に撮影されたことから、今を反映させたワードもしっかりと組み込まれ、サブカルを取り戻そうとする主人公たちの熱い思いも真に迫る。ヴィレヴァン店員の一人を演じた森川葵も、本作を通じてエンタメの必要性を感じた張本人だ。エンタメは本当に不要不急なのか?話を聞いた。


「映画の撮影は自粛期間が明けて1ヶ月後くらいのタイミングでした。もちろんみんな心配や不安があったと思いますが、感染拡大防止についてしっかりと気をつけながら撮影を進めました」とアフター・コロナ時代ならではの名古屋ロケを振り返る。


“サブカルは無駄”というテーマも含め、まさに今日的議論が物語に反映されている。「コロナ禍での撮影ということもあり、物語の中に“ディスタンス”などのワードが使われたりしていて、今の時代だからこその作品になったと思います。コロナ禍の世界の現状は歴史的にも後々語られ続けることですから、その時代を反映させた証拠のようなものを作品として残せるのは貴重です」と価値を感じている。

森川にとっては自粛明け後初の仕事だった。休んだ期間は約3か月という。15歳からスタートしたキャリアの中でもここまでの長期休暇は異例のこと。「自粛期間中はとにかく寝て、起きて、食べて、テレビを見たりしていました。仕事の予定も3か月くらいなかったので、何もすることがありませんでした。15歳からこの仕事を続けていますが、ここまで休んだのは初めて。やることがまるっきり何もなかったので、何をしていいのかわかりませんでした」と困惑ばかりがあった。

女優業でブランクを感じたのも初めてのことだ。「3か月近く現場から離れていたので、頭と体が追い付かない瞬間がありました。でもそれを感じられるのも撮影現場での仕事があってこそ。みんなと直接顔を突き合わせてものを作るのは断然面白い。やはり仕事はなければ困ります!」と笑いつつも「自粛中はエンターテインメントが不要不急だと言われたり、なくてもいいもののような扱い方をされたりしてショックでした。でもエンタメのない世界はきっと生きづらい。エンタメとは心の休憩所のようなものですから」と必然性を痛感した。

だから劇中のキャラクターたちの熱い想いにも共鳴できた。「サブカルは無駄というようなセリフがあります。たしかに自分として興味がないものは不要だと思うこともあるかもしれません。でもそれは自分以外の誰かにとっては必要なものなのかもしれない。だから存在している。そう考えると、この世にあるもので不要なものって存在しないと思うんです」。心のわだかまりを言語化できたのが、何よりもの収穫だ。


取材・文:石井隼人

撮影:稲澤朝博

ヘアメイク:石川奈緒記

スタイリスト:平田雅子