好奇心と探求心に突き動かされて、知られざる過去と対峙する。漫画家・吉野朔実氏によるコミックを初めて映画化した『記憶の技法』(11月27日公開)で石井杏奈が演じた女子高生・華蓮は、凄まじい行動力で自分の人生を切り拓く。E-girlsのパフォーマーとしても活動する石井自身も、ダンスと演技で現在のキャリアを切り拓いてきた。これまでの軌跡を振り返ったとき、石井の脳裏をかすめる一番強烈な記憶は、紅白歌合戦初出場の思い出だ。



祖母の家で家族そろって紅白歌合戦を観ながら年越しそばを食べる。それが石井の幼い頃からのルーティンだった。それが2013年末、E-girlsとして第64回NHK紅白歌合戦に初出場した。


「毎年のように“いつか出場できたらいいね”という話をしていたので、初出場は感慨深かったですし、おばあちゃん孝行もできたと思います。でも本番中のことはまったく覚えていません。人生で一番緊張していましたし、覚えているのは舞台袖とメイク中の様子くらいです。本番のパフォーマンスは番組を録画したものを客観的に見るような感じでした」とまさに頭の中は真っ白。



愛娘の快挙は家族にとっても、唯一無二の記憶だろう。「放送終了後に母から連絡をもらいました。紅白出場は母にとっても夢だったので凄く喜んでくれました。母にとっても一番大切にしたい記憶の一つになっていると思います」といまだに嬉しそうだ。





主人公の華蓮は自分が養子だと知り、自らのルーツを探すために行動を起こす。石井も行動力には一格言あるようで、最近の行動力はトイプードルを飼ったことだという。「ペットショップで抱っこした瞬間“この子!”と即決。全体は茶色だけれど、胸元に白の丸い模様が入っている。そこが魅力的。この子の洋服とエサのために頑張ろう!と決めました。家に帰ると、しっぽを振りながら顔のあたりにまで登ってくる。まるで自分の子供のようで、無邪気に元気な姿を見ると疲れも吹き飛びます」とメロメロだ。


華蓮は福岡や韓国・釜山を訪れる。撮影が行われたのは3年程前だが、コロナ禍の現在において、映画ならではのGO TO トラベルができる。コロナ禍での自粛期間中に石井が新たに始めたことは、家トレだ。「休みだからといって不規則な生活をするのは嫌だったので、しっかり運動して体を疲れさせて決まった時間に寝る。筋トレや運動メニューを毎日やって毎日汗をかいて、毎日筋肉痛でした」。不規則にならないのと同時に、活動再開時のブランク解消にも繋がった。

三日坊主にならない秘訣はご褒美を決めることだ。「例えば美味しいお昼ご飯を食べようなど、小さなことでもいいのでご褒美の目標を立てる。嫌だと思うと続かないので、いかに自分のモチベーションを上げるか。ノルマをクリアして目標であるご褒美を自分に与える。それを続けていくとどんどん体も鍛え上げられていく」とおススメする。


それでは自粛期間家トレの石井のご褒美は?「タリアテッレ!」とイタリア北部で用いられるパスタの一種を挙げる。「きしめんのようなパスタの種類で、クリームパスタにも合いますし、イカ墨パスタも最高です。小麦粉から自分で作るくらいハマってしまいました」とさすがの行動力。「やりたい!と思ったらやってしまう。そこは共通点かもしれません」と演じた華蓮に共感を寄せる。今後も石井ならではの持ち前の突き進む力で、道を切り拓いていく。



文・写真:石井隼人

ヘアメイク  :八戸亜希子

スタイリスト:粟野多美子