新型コロナウイルス感染拡大の影響により、異例の2月スタートとなった大河ドラマ『青天を衝け』の第1話がいよいよ放送される。「日本資本主義の父」と呼ばれ、近代日本社会に大きな影響を与えた渋沢栄一の生涯を描く本作の見どころを紹介していきたい。

新しい吉沢亮が観られる!?


主人公・渋沢栄一を演じるのは、大河ドラマ初出演にして主演に抜擢された吉沢亮。“国宝級イケメン”と呼ばれるなど、ビジュアルの美しさは誰もが認めるところだが、これまでの作品を観ても、そのルックスに頼ることなく癖のある役も手の内に入れるなど、性格俳優的な一面も強く、一言で言い表せない多面的な功績を持つ渋沢をどのように演じるのか、注目が集まる。


先日行われた会見では、脚本を務めた大森美香が、吉沢の魅力を「地に足がついた力強さ」と表現していたが、過去に演じたキャラクターでも、弱さや脆さを絶妙に演じてきた吉沢だけに、大森の描く“力強さ”を根底に、どこまでふり幅を持たせた感情表現をするのか、非常に楽しみだ。


吉沢自身も会見で「非常に挑戦的な役。新しい吉沢亮の扉が開いている」と意欲満々に話しており、視聴者をアッと驚かせてくれることは必至だろう。


草なぎ剛が演じる徳川慶喜はもう一人の主役

そんな吉沢演じる渋沢にとって大きな出来事となるのが、徳川幕府最後の将軍となる・一橋慶喜との出会いだ。慶喜を演じるのは、草なぎ剛。

慶喜と言えば、これまで大河ドラマでも度々登場し、描かれ方も名将、愚将と評価もさまざまだ。制作統括を務める菓子浩氏も「優秀だけれどつかみどころがない複雑な人間」と話していたように、一筋縄ではいかない人物。


過去に大河ドラマで慶喜を演じた俳優も、『西郷どん』(2018年)の松田翔太、『八重の桜』(2013年)の小泉孝太郎、『龍馬伝』(2010年)の田中哲司、『篤姫』(2008年)の平岳大、『徳川慶喜』(1998年)の本木雅弘など、バラエティに富んでおり、西郷隆盛や坂本龍馬ら他の幕末の英雄たちほど、固定されたイメージはない。


渋沢は1840年生まれ、慶喜は1837年生まれと、年齢的には3歳違いだが、慶喜が将軍職を朝廷に返上し、上野の寛永寺に謹慎、さらに駿府に蟄居したあと晩年に至るまで、渋沢との交流があったことは伝えられており、本作でも、二人の関係性は、物語の軸として据えられているという。


その意味で、渋沢と並び、本作の中心的な役割を担う草なぎ演じる慶喜の描かれ方、またどのように役を組み立てていくのか、こちらも本作の大きな注目点と言えるだろう。


大河ドラマならではの超豪華キャスト 篤姫役、上白石萌音に注目!

劇中では、武蔵国・血洗島村の農家に生まれた渋沢と、そこから約150キロ離れた水戸藩で、徳川斉昭の七男として生まれた七郎麻呂(のちの徳川慶喜)の物語がパラレルに展開する。


血洗村島パートでは、のちに栄一の妻となる千代を演じる橋本愛、栄一の従弟・平九郎役の岡田健史、従兄・長七郎役の満島真之介ら若手に、高良健吾、玉木宏、さらには栄一の両親である小林薫、和久井映見らが、水戸藩パートでは、慶喜の父・斉昭の竹中直人、正室・美賀君役の川栄李奈、斉昭の側近・藤田東湖役の渡辺いっけい、東湖の息子・小四郎役の藤原季節のほか、堤真一、木村佳乃など豪華メンバーが顔を揃える。

さらに江戸城パートでは、渡辺大知扮する第13代将軍・徳川家定の正室・篤姫役を上白石萌音が演じる。篤姫も大河ドラマではお馴染みのキャラクターで、2008年に放送された『篤姫』では宮崎あおいが、その10年後に放送された『西郷どん』では北川景子が演じているが、女性ながらに滅びゆく江戸幕府を支えた凛とした佇まいを、篤姫と同じ鹿児島県出身の上白石がどのように演じるのかも大きな楽しみの一つだ。


徳川家康が幕末に!?

これまで幕末〜明治維新にかけての物語は数多く描かれてきたが、主義主張の違いにより、その解釈は真逆とも言える。そこが「幕末は難解」と言われるゆえんだが、そんな難しさに対して、本作では、ストーリーテラーとして、北大路欣也演じる徳川家康が登場するというサプライズも発表された。約250年続いた江戸幕府が幕を下ろした混沌とした時代を、江戸幕府を開いた徳川家康が語り部となり俯瞰で見るという発想は非常に斬新だ。


ずぶぬれで泥だらけになった吉沢の顔が印象的なポスタービジュアル。「ここまで含むことなくありのままの感情を出す人物を演じたことがない」と話していた吉沢の言葉通り、ほとばしるエネルギーが物語を牽引していってくれるのではないか……そんな期待を持ちながら本日20時からの放送を待ちたい。



1話あらすじ

武蔵国血洗島村(現在の埼玉県深谷市)で養蚕と藍玉作りを営む農家の長男として生まれた栄一(子役・小林優仁)。人一倍おしゃべりの剛情っぱりで、いつも大人を困らせていた。ある日、罪人が藩の陣屋に送られてきたことを知った栄一は、近くに住むいとこの喜作(子役・石澤柊斗)らと忍び込もうとたくらむが・・・。一方、江戸では、次期将軍候補とすべく、水戸藩主・徳川斉昭(竹中直人)の息子、七郎麻呂(子役・笠松基生)を御三卿の一橋家に迎え入れる話が進んでいた。


『青天を衝け』
サブタイトル:(1)「栄一、目覚める」
放送日時:2月14日(日) 20:00〜20:58   NHK総合


文:磯部正和

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