「もうヘタな芝居はいいですよ」

「もうヘタな芝居はいいから」

互いに“ヘタ”だというが…観ているこちらは毎回鳥肌ものである。


正義感は強いが、慌てん坊で空回りの刑事・望月彩子(綾瀬はるか)と、頭脳明晰だがサイコパスでシリアルキラーの経営者・日高陽斗 (高橋一生)の魂が入れ替わってしまう、日曜劇場『天国と地獄〜サイコな2人〜』 。



※第8話ネタバレあり

<>入れ替わった後の人物名


「攻守逆転かも」

瞳に生気を宿し、つぶやいた日高<彩子>演じる高橋一生。


「何考えてんだよ…兄さん」

焦りとイラつきを抑えられない彩子<日高>演じる綾瀬はるか。


幕開けから「東朔也」を軸に対照的な二人の姿が映し出された第8話。幾度となくその凄すぎる入れ替わりの演技で魅了してきた高橋一生と綾瀬はるかだが、この回はもはや完璧すぎて言葉を失った(といいつつ、続けます)。


「もうヘタな芝居はいいですよ」

「八巻さんも今までお疲れ様でした」

コ・アース社を訪れるなり、彩子<日高>は、日高<彩子>と八巻にこう言い放つ。

「いつからお気づきになられて…」と焦る八巻をよそに、構わず続ける。

「コ・アースの社長を辞任してください」

「はあ!?今さらなんで」

「あなたが捕まるかもしれないからですよ」

「私が捕まる?」「なんで私が捕まるの?」

ここまでのカット割りは綾瀬はるかと高橋一生の表情のみを交互に映し出す。“対等”に徐々に高まっていく緊張感。


しかし…

「犯人はこの人なのに」

満を持して「東朔也」の派遣登録記録書をドン!

二人の表情のみのアップだったのが、一瞬、引きの構図へ。並行線上に

日高<彩子>——八巻(中腰姿)——彩子<日高>

二人の間に八巻を挟み、「こっこれが犯人っていうことですか!?」緊張感の中に八巻の絶妙なポンコツ感をスパイス。視聴者を置いてきぼりにしない。


そして「もうヘタな芝居はいいから」

“攻守逆転”だ。


「お兄ちゃんをかばいたい。それは何となくわかるけど、どんな理由があるにせよ、人殺しは人殺しでしょ」


ソファに座る彩子<日高>の目の前まできて、見下ろす日高<彩子>。

さらに彩子<日高>の両腕を掴み

「死守すべきルールってもんが人間にはあると思わない」

「自分の顔でド正論ぶつけられるっていうのも照れるもんですね」

「それはあなたにも良心ってもんがあるからじゃないの」

優位な日高<彩子>に、焦りを隠し平常心を装う彩子<日高>。

ガチンコシーンはまたも二人の表情だけ。張り詰めた緊張の糸、これ以上引っ張ったら切れる…。

とその時、八巻の身震いするような何とも言えない表情をオン。本当に良い仕事をする。


ここまでのたった4分間、“緊張”と“笑い”の緩急で視聴者を惹きつけながら、二人の“表情と声”が説得力を持たせる見事な構図で「攻守逆転」を描く。


高橋一生と綾瀬はるか、ストーリー上の“一瞬”で伏線を回収できる演技力、という言葉では乏しい――精巧で高度な職人芸に完膚なきまでにやられたが、そのスイッチが「ヘタな芝居はいいから」なのがまたにくい。森下脚本さすが…。

そして第8話最後では、またも歩道橋から落ちた彩子と日高。起き上がった綾瀬はるかが顔を触ったところで…終了。この最高の“To be continued”に「戻ったの?戻らなかったの?どっちーーーーーー」と視聴者も大興奮。

さらに「東朔也が湯浅ってのは分かるけど、そのまま単純に受け取っていいのかな?」「でもこのままだと、彩子の中の日高が女っぽかった理由と近くに住んでいたおじいさんのナゾが残ってるぞ。」と腑に落ちない部分を指摘する声も。いずれにせよこのまま一筋縄では終わりそうにない(終わるはずがない)展開にどんな結末が待っているのか、クライマックスまで片時も目が離せない。



【9話あらすじ】

歩道橋から転がり落ちた彩子<日高>(綾瀬はるか)と日高<彩子>(高橋一生)。


警察は、連続殺人事件への関与が濃厚な日高陽斗と東朔也に緊急配備をかける。その東朔也=師匠は日高の双子の兄で、陸(柄本佑)ととある場所に向かっていた。


一方、河原(北村一輝)は捜査一課とは別に単独行動に出て…。


 

日曜劇場『天国と地獄  〜サイコな2人〜』
毎週日曜よる9:00〜9:54

(C)TBS