映画『すくってごらん』(3月12日公開)で金魚すくい店を営む生駒吉乃を演じた百田夏菜子は、奇縁を感じている。実写映画でヒロインを演じるのは初めて。それだけに不安や緊張もあったというが、劇中での重要アイテムに心を“救われた”という。百田は幼少の頃から無類の金魚好きなのだ。





漫画家・大谷紀子による同名コミックを、斬新な映像と音楽表現で実写化したポップなエンターテインメント作。エリート銀行マン(尾上松也)が左遷先の田舎町で美女の悩みと金魚をすくう。百田は和装に身を包んで妖艶に歌い、ピアノの弾き語りにも初挑戦するヒロイン・生駒吉乃に扮している。


明るく元気な百田のイメージを封印した、大人びた京女的役どころ。それだけに「最初はなぜ私に来たのかな!?と思いました。私で大丈夫かな!?と不安に思うことも沢山ありました。実写作品でのヒロイン役は初めてなので、ヒロインって何?というところから考えてしまって…。撮影前は緊張と不安でドキドキしながら過ごしていました」とプレッシャーに襲われた。



そんな心のコリをほぐしてくれたのは、煌びやかに展示された水槽の中を泳ぐ金魚たちだ。「小さい頃から金魚は身近な存在で、実家にもいましたし、祖父母の家でも飼っていました。夏祭りですくったものが結構大きくなったりして、金魚はいつでも私を癒してくれる。今回の撮影現場には沢山の水槽に金魚がいて、撮影前の誰もいない瞬間は、まさに自分だけの金魚空間!ボーっと金魚を眺める時間は癒しでした」と気心知れた友達に囲まれているような気分だった。




スポーツのように描かれる金魚すくいシーンも見所の一つだが「役柄的に私は金魚すくいを見守るような立場だったので、一度も金魚すくいはできませんでした…」と残念そうだが「撮影後に金魚を飼い始めました。この映画をきっかけに母が金魚関連のグッズを沢山買って送ってくれるようになったので、私の周りはまた金魚だらけです」と奇縁を感じている。



奇縁はもう一つ。本作でピアノの弾き語りに初挑戦したことをきっかけに、音楽を見つめ直す作業をおうち時間に充てるようになった。「この映画に出会ってピアノに触れたことで、改めて音楽について勉強するようになりました。どうやって音楽はできているのか、その構成やコードの成り立ちなど、実技というよりも座学に近い形で基礎を学び直しています」とアーティストとしての糧を増やしている。



「できることをできる範囲で全力で」。これが百田のコロナ禍でたどり着いた心の持ちようだという。「できない方に目を向けても意味がないし、前進もしない。この状況下で何が最善なのかを考えながら、今できることをできる範囲で全力でやる。今の流れの中で一番の選択をすることが大切だと思うようになりました」。自分で導いたその答えに忠実に、百田は音楽の知識を学び蓄積している。いつか放出できるその日を前向きに待ちながら。


文・写真:石井隼人

スタイリスト:関 志保美 

ヘアメイク:チエ(KIND)



映画『すくってごらん』 3月12日公開

出演:尾上松也 百田夏菜子 柿澤勇人 石田ニコル ほか

原作:大谷紀子『すくってごらん』(講談社「BE LOVE」所載) 

監督:真壁幸紀 

脚本:土城温美 

音楽:鈴木大輔

主題歌:生駒吉乃(Vo.百田夏菜子)「赤い幻夜」[EVIL LINE RECORDS]

製作幹事・企画:東通企画 

制作プロダクション:ROBOT 

製作:映画「すくってごらん」製作委員会 

配給:ギグリーボックス


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