癒しと刺激。一見、相容れないような二つの感覚が、ドラマ『珈琲いかがでしょう』を観ているとなんだか同時に感じられる。



小沢健二のやわらかくも熱いオープニングテーマが、毎話違ったアレンジで届けられるドラマ『珈琲いかがでしょう』(テレビ東京系、毎週月曜よる11時6分から)。いつものように移動珈琲店「たこ珈琲」の開店準備をする青山(中村倫也)は穏やかな表情。ドリッパーにお湯を注げば、むくむくと珈琲豆がふくらみ、たちまちいい香りがしてきそうだ。湯気に包まれたような優しい空間。しかし、曲がフェードアウトすることはない。いつもストンと止まり、ストーリーが始まる。


先週第3話の1杯目「男子珈琲」では、いきなり筋肉体操をしている飯田(戸次重幸)の姿。すでに出オチ感すらあるコミカルさ。

しかし、“仕事もルックスも完璧なサラリーマン”“同僚にも慕われている”と思っていた飯田(戸次重幸)が、陰では「超勘違い」「筋肉つけてる暇があるならちゃんと仕事してほしい」などと言われているのを聞いてしまう。そして、ずっとどんくさいと思っていた同僚が自分より先に出世する。


「外見ばかり気にして中身が伴ってなかったのは俺の方だったんだな。」


青山は、“煮詰め過ぎた麦茶みたいな味”のする珈琲豆を飯田に飲ませる。単独で飲むと飲めたものではない。しかし他の豆とブレンドされることで味わい深くなる豆だった。


「それぞれがそれぞれに、自分らしさを持っているから、愛されるんだと思います。」


青山の珈琲と言葉がそっと飯田に寄り添った。飯田の妻は、香水ではなく“煮詰め過ぎた麦茶”みたいな加齢臭が良いのだと言った。

「君は?ブレンド?それともストレート?」と聞かれた青山。

閉口して一瞬で表情に立ち込める暗雲。そして、視線を落としたまま口角を上げた青山に何が過ったのか。


さらに、ぺい(磯村勇斗)の姿を見たときの青山の尋常ではない慌てよう。血相を変えてワゴンに身をひそめる。

気になる一瞬は突然訪れる。



二杯目「金魚珈琲」は滝藤賢一が演じるスナックのママ・アケミの美しさが話題となった。

迫力の画面4分割、凄まじい目力で中森明菜を歌い上げるママの姿は最高に楽しい。その一方で、「一緒にいるとこ見られたくない」と母親からのグサリと刺さる言葉。上っ面の記号的な見方をして、アケミに怪しげなサプリを勧めてくる同級生。内容はやはりディープ。


アケミの店のヘルプに入った青山は、前髪をあげた黒シャツのバーテンダー姿。

「僕、飲むとすぐ眠くなっちゃうんで」と可愛さも見せていたが、同級生が執拗にアケミに詰め寄った際、青山が豹変。寝ぐせのついた髪にとろんとした表情から、眉間にしわを寄せたこわ〜〜〜いお顔へ。

第2話の「人を殺したことのある目」と言われたときよりも、さらに凄みを増している。


それでも、「あったかいですね、アケミさんの世界」と言い、アケミとのハグシーンはなんとも優しくじんわりくる。2人の演技に引き込まれる。

そんなアケミが気付いた青山の過去。「あ、あの子…」。

映っていたのは金髪ジャージ姿で暴力をふるう青山の姿。アケミにかけた言葉は「早く行け、ババァ」。言葉も状況も最悪だが、このとき青山はアケミの命を助けている。今まで見てきた青山のやわらかな物腰とはまるで違う残虐な背中、冷徹な目で言う「早く行け、ババァ」という乱暴な言葉に人情が含まれているのだ。ダークな過去と人情がつながる最たる言葉。痛々しいシーンだが、何度も観たくなる…そんなシーンだった。


少しずつ見えてきた青山の過去。第4話は…


「ガソリン珈琲」

ワゴン車のタイヤがパンクした青山一(中村倫也)は、ガソリンスタンドに立ち寄る。厳つい風貌の店主・ゴンザ(一ノ瀬ワタル)とは知り合いのようで、笑顔を見せる青山に「昔のお前を知っていると身の毛がよだつ」と言いながら整備をしている。

そんな中、一台のトラックがやってくる。セルフでガソリンを入れ始めた運転手の菊川貞夫(野間口徹)は、どこか不機嫌そう。

ゴンザ曰く、たまに来店する、声をかけても挨拶すらしない無愛想な客だという。そんな菊川が、思わず動きを止める。青山の珈琲の香りにつられたようだ。「淹れたての珈琲いかがでしょう?」――その声に我に返ったのか珈琲を飲まずに慌てて去ってしまうが、どこか寂し気な様子が気になった青山は、しばらくガソリンスタンドで「たこ珈琲」を開くことに。実は菊川は珈琲を“飲めない”のではなく“飲まない”、ある複雑な事情を抱えていた。


「ファッション珈琲」

青山は、元バリスタチャンピオンとして珈琲界では有名なカフェ店主・モタエ(光浦靖子)にコピ・ルアックの豆を届ける。

“幻の珈琲豆”と言われるインドネシアの高級珈琲豆だ。2人でその珈琲を堪能していると、まもなく始まるワークショップの生徒が来店。その中に垣根志麻(夏帆)の姿を見つけた青山は、思わず影に隠れてしまう。

そんなことを知る由もない垣根は、珈琲に興味を持つきっかけとなった青山との出会いを語り始める。

一方、珈琲について純粋に教えたいモタエは、“箔付け”のために通う生徒たちとのズレに悩んでいて…。


その頃、ぺい(磯村勇斗)はとあるヤクザ事務所にいた。組員の花菱(渡辺大)に呼び出されたからだ。なにやら青山について話している2人。果たして2人と青山の関係は…?


そして青山の隠された過去が徐々に明らかになっていく。




■『珈琲いかがでしょう』
第4話 4月26日(月) 23:06〜23:55

©「珈琲いかがでしょう」製作委員会